1998年度専門委員会関係活動報告 SC34準備委員会(文書の処理と記述の言語: Document Processing and Description Languages) 小町 祐史 1. 概要 (1) 国際会議と参加状況 - JTC1/WG4会議(1998年5月11日−15日,Paris): 7ヶ国から14名(日本から2名)が参加した. - SC34総会(1998年11月09日−13日,Chicago郊外のIndian Lakes Resort): 8ヶ国から19名(日本から2名)が参加した. (2) 投票件数等 - FCD投票 2件 - DTR投票 1件 - 規格出版 1件 2. SC34への組織改変 SC18/WG8(文書の処理と記述の言語: Document Processing and Description Languages)は既に1997年度に暫定的な組織JTC1/WG4として活動を継続してきたが,1998年6月のJTC1総会の決定を受け,Acting ChairmanのJ. Masonが中心となってSC34としての組織作りに入った. まず各国に対してSC34への参加を呼びかけ,次いでSC内の作業グループ(WG)構成についての提案が求められた.Secretariatについては,USAが引き受けることが以前から暗黙の合意となっていた.第1回のSC34総会は1998年11月にシカゴ郊外で開催されたが,その時までに11ヶ国がPメンバとして登録を終えていた.シカゴ会議では,主として各国から提案されたWG構成が議論され,3つのWGとそれらへの既存(JTC1/WG4からの引き継ぎ)プロジェクトの割当てが決まった. 1999年1月のJTC1総会によってこのSC34体制の枠組みが承認された後,各WGのConvenerの推薦とWGへのExpertの参加が各国に求められ,結局次のとおりとなった. ・Chairman: J. Mason ・Secretariat: M. Topping ・WG1 (マーク付け言語): Convener; C. Goldfarb 情報記述言語,主として次に示す標準一般化マーク付け言語(SGML)並びにSGMLの部分集合,API,試験および登録に関する補助的な規格を担当する. ・WG2 (情報表示): Convener; Y. Komachi 複合文書およびハイパメディア文書の記述と処理のための言語および資源に関する次の規格を開発する. - 論理文書の処理体系およびフォーマティング - 多言語フォント情報の交換および関連サービス - 最終形式文書の体系およびページ情報交換 - これらの文書処理のためのAPI ・WG3 (情報関連付け): Convener; S. Pepper 次に示す,SGMLに基づく情報管理および情報交換のための規格体系並びに関連規格を開発する. - 情報のリンク付けおよび番地付け - 時間依存情報の管理 - 知識構造,インデクス等の表現 - 対話形文書のbehaviour要素の管理 これらの国際動向に対応して国内でもSC34準備委員会が組織された.従来の活動との整合性を考慮して,SC18/WG8およびJTC1/WG4に対応してきた委員に新委員を加えたメンバ構成でSC34準備委員会の活動を開始し,それがそのままSC34専門委員会へと移行することになった. 3. プロジェクトの進捗 このような組織改変に伴う作業に並行して,本来の規格開発はそれぞれのプロジェクトの中で遅れることなく推進した.主要な活動を次に示す. (1) ISO-HTML W3C(World Wide Web Consortium)が開発したHTML(ハイパテキストマーク付け言語)4.0の勧告の節2,5〜15,17,24の規定をそのまま追認するものであり,1997年7月を期限とするCD投票の後,主としてonline会議でFCDテキストの編集が行なわれてきた.1999年2月期限のFCD投票の結果,ISO/IEC FCD 15445が承認された. (2) トピックナビゲーションマップ ハイパリンクをもつ電子文書においてはインデックス対象を一貫性をもって記述する必要があり,関連する文書セットとそこでのインデックス対象としての共通トピックを識別するための体系形式を規定し,関連するトピック間の関係を規定する.1999年2月期限のFCD投票の結果,ISO/IEC FCD 13250が承認された. (3) フォントサービス フォント情報交換規格が規定するフォントリソースにアクセスするためのサービスインタフェースを規定する.1998年11月のJTC1/SC34会議において,TRをターゲットとするプロジェクトが認められ,DISテキストを編集し直したDTRテキストの配布が承認された.1999年3月期限のISO/IEC DTR 15413が承認された. (4) フォント情報交換 ISO/IEC 9541-1に対するAmendment 2(フォント技術高度化)は1998年12月に発行された.1998年11月のSC34総会では,さらにAmendment 3(多言語拡張)のプロジェクトが承認され,作業ドラフトが作成されている. (5) その他 SGMLの技術訂正,HyTimeのAmendment,ISMID(可変対話形文書)などの活動が推進された.SGMLの技術訂正は,利用者の便を考慮してこれまでのTC2とTC3とを統合したものが発行される予定であり,それは主としてWebSGMLを扱う.