SC34(Document Description and Processing Languages/文書の記述と処理の言語)総会報告

SC34専門委員会
委員長 小町 祐史 (大阪工業大学)

1. 開催場所

ソウル(韓国)


2. 開催期間

2006-05-29/06-01(各WGの会議もほぼ同時に開催.)


3. 参加国数/出席者数

8ヶ国/29名

議長(Ken Holman,カナダ [Jim Mason,米の代理]),
セクレタリアート(Ken Holman,カナダ),
日本(4: 小町祐史[大阪工大],内藤求[シナジー・インキュベート],上村圭介[グローバルコミュニケーションセンター],村田真[国際大学]),韓国(9),米(4),英(3),ノルウェー(3),オーストラリア(2),カナダ(1),オランダ(1),リエゾン(2 [Ecma, OASIS])


4. 特記事項

4.1 総会とWG会議との同時開催

これまでとは会議の運営を変えて,Idealliance主催のXMLコンファレンスとは独立して,日程と会場が設定された.初日の5月29日(月曜)に各WGでの議論を行い,次の日の午前にOpening Plenaryを開催して,その後さらに各WGでの議論を継続した.6月1日(水曜)の午前にClosing Plenaryを行い,総会を終了した.

総会の翌日には,総会と同じ会場で韓国標準局が主催するAsian Topic Maps Summit (AToMS 2006)が開催された.

4.2 総会での主な報告と議論

(1) ODFのPAS投票結果

2006-05-01を期限とするISO/IEC DIS 26300 (ODF: Open Document Format for Office Applications)のPAS投票の結果,反対投票なしでDISが承認された.そこでJTC1セクレタリアートの助言に従って,以前に計画した投票結果対処の会議を取消すことにした.OASISのODF TCがこれからコメント対処を行い,改訂テキストとコメント対処とをSC34セクレタリアートが各国に送付して,30日デフォルト投票にかけることにした.

SC34総会直前に議長のJim MasonがSC34メンバに宛てたEmailの中で,Keld SimonsenのSWG Directives Zuerich会議報告(SC34 N733)に言及し,“ODFに関するKeldの主張がSC34の考えでなくKeld個人の考えである”と言っていることが報告され,議論(注1)された.

結局,KeldをSWG Directives会議に送ることは承認(日本と英国は棄権)したが,SC34の主張はSC34 N749として文書化し,それをSWG Directives会議に提出することをKeldに指示した.

注1: Keld Simonsenは,パスポートを紛失して韓国入国管理局にしばらく拘束されたため,この議論には参加できなかった.

(2) リエゾン

ISO/IEC 10036登録機関の上村が,文字鏡からのグリフ識別子の登録要求に応じて,9万件の登録を完了したことを報告(SC34 N742)した.

総会のagenda項目には含まれていなかったが,Ecmaが開催直前にリエゾン参加の意思表明を行い,Microsoftと共にSC34総会に参加した.Ecma代表は,Ecma Office Open XMLを12月にfast-track提案する予定であること,SC34のメンバは各国二人までEcmaの審議に参加できることなどを報告(SC34 N760)した.これは,Ecma Office Open XMLのfast-track提案がSC34で審議されることになるであろうことを見越してのEcmaの行動と思われるので,SC34はEcma TC45へのリエゾン代表としてMartin Bryanを指名した.

SC29/WG11のOpen Font Format(ISO/IEC 14496-22)に関するリエゾンの要求を満たすため,SC34はSC29/WG11へのリエゾン代表として小町を指名した.RDFを用いたダブリンコアメタデータとトピックマップを用いたそれとの互換性の確認のため,SC34はW3Cへのリエゾン代表としてSteve Pepperを指名した.

(3) WG勧告の承認

Closing Plenaryにおいて,WG1,WG2およびWG3の勧告(それぞれSC34 N751,N752およびN753)をレビューし,承認した.WG勧告に示された主要な決定事項を以降に示す.

4.3 文書スキーマ定義言語(DSDL,ISO/IEC 19757)

パート2(RELAX NG)についてはAmd.1(簡潔構文)が発行され,パート3(Schematron)とパート4(NVDL)のFDISテキストが投票で承認されたことを受けて,次の議論と決定が行われた.

(1) パート1(DSDL - 概要)

FCD投票で承認されたことを受けて,WG1はM. Bryanに対して,コメント対処(SC34 N744)に示す変更を組込んで,FCDの改訂を行うことを要求する.そのFCDの改訂版(2nd FCD)を,WG1メンバによるレビューの後,投票のためにセクレタリアートに送付することを,WG1は勧告する.

(2) パート2(DSDL - 正規文法に基づく妥当性検証(RELAX NG))の技術訂正

Amd.1に幾つかの誤りを認めたので,それに関する技術訂正案(SC34 N736)を,セクレタリアートが投票にかけることを,WG1は要求する.

(3) パート3(DSDL - 規則に基づく検証(Schematron))およびパート4(DSDL - 名前空間に基づく検証委譲言語(NVDL))

FDIS投票で承認されたことを受けて,WG1は,承認されたテキストを出版のためセクレタリアートに提出することを要求する.

(4) パート5(DSDL - データ型)

WG1は,A. Brownに対して,J. Tennisonが提案しWG1会議中に修正された変更を組込んで,FCDの作成を行うことを要求する.そのFCDを,WG1メンバによるレビューの後,投票のためにセクレタリアートに提出することを,WG1は勧告する.

(5) パート7(DSDL - 文字レパートリについての検証)

WG1は,村田に対して,コメント対処(SC34 N632)における承認済み変更を組込んで,8月のWG1会議での議論に間に合わせて,CD(注2)の改訂を行うことを要求する.そのCDの改訂版(2nd CD)を,WG1メンバによるレビューの後,投票のためにセクレタリアートに提出することを,WG1は勧告する.

注2: 1st CDは,2005-04に投票された.

(6) パート8(DSDL - 文書スキーマ再命名言語)

WG1で議論されたCDに基づいてFCDテキストを準備することを,パート8のエディタに要求する. そのFCDを,WG1メンバによるレビューの後,投票のためにセクレタリアートに提出することを,WG1は勧告する.

(7) パート9(DSDL - データ型および名前空間を認識するDTD)

CD投票で承認されたことを受けて,WG1はエディタに対して,コメント対処(SC34 N748)に示す変更を組込んで,CDの改訂を行うことを要求する.そのCDの改訂版(2nd CD)を,WG1メンバによるレビューの後,投票のためにセクレタリアートに提出することを,WG1は勧告する.

(8) パート10(DSDL - 検証管理)

W3Cの規定"XML Processing Model Requirements and Use Cases"をレビューして,WG1は次の決定を行った.パート10の要件がこのW3Cの要件に含まれるので,WG1は,このW3Cの規定の次の版をレビューしてから,パート10としてのTRの進め方を決める.

4.4 規格文書交換のための構造記述およびスタイル指定(ISO/IEC 9573-11)のAmd.1

WG1は,エディタに,SC34 WGsの必要性を組込むための変更を含めて,PDAMを準備することを要求する.WG1メンバによる7月までのPDAMレビューの後,その改訂テキストを,投票のためにセクレタリアートに提出することを,WG1は勧告する.

4.5 フォント情報交換(ISO/IEC 9541)

(1) SC34/WG2からSC29/WG11へのリエゾンステートメント

WG2は,SC34 N743(OpenType format version 1.4を変更しないというSC29の方針に合意し,編集上のコメントを提示する.)をSC29/WG11からSC34へのOpen Font Formatに関するリエゾンステートメント(SC29/WG11 N7977)に対する回答として受理し,それをSC29に送付することをSC34セクレタリアートに指示する.

(2) Amd.2 to ISO/IEC 9541-2 (フォント情報交換 - 交換フォーマット)

WG2は, エディタに対して,Amd.2のWDを改訂して,ISO/IEC 9541-2をISO/IEC 14496-22の規定に整合させることを指示する.

(3) Amd.4 to ISO/IEC 9541-1 (フォント情報交換 - 体系)

ISO/IEC 9541-1をISO/IEC 14496-22の規定に整合させるため,WG2は,次に示すとおりに既存のプロジェクトを細分割し,ISO/IEC 9541-1のAmd.4を開発する.

プロジェクト
番号
標題 エディタ

JTC1.34.27.01.04
(ID: is9541-1a4)

Information technology - Font Information Interchange - Part 1: Architecture - Amendment 4: Extension to font resource archtecture

小熊 新一,
小町 祐史

WG2は,エディタに対してWDを開発することを指示する.

4.6 文書レンダリングシステムを規定する最小要件(ISO/IEC 24754)

WG2は, SC34 N745をISO/IEC 24754のCDテキストとして受理し, それらの文書をCD処理のためにSC34セクレタリアートに送付する.

4.7 セクレタリアート管理者報告へのコメント

WG2は, SC34 N746をセクレタリアート管理者報告へのコメント(主としてSC34 PoWとWG2 PoWとの整合およびステータスの更新)として受理し, SC34セクレタリアートに対してそれをセクレタリアート管理者報告の次の改訂に含めることを要求する.

4.8 トピックマップ(TM,ISO/IEC 13250)および関連規格

パート2(データモデル)のFDISテキストが投票で承認されたことを受けて,次の議論と決定が行われた.

(1) パート1(TM - 概要及び基本概念)

WG3は, ソウル会議での議論に基づいて,WG3メンバへの配布のための新ドラフトを用意することをエディタに指示する.

(2) パート2(TM - データモデル)

WG3は,FDIS投票が終了したことを受けて,出版のためにN696に対する印刷上の修正をISO中央事務局に送付することをエディタに指示する.

(3) パート3(TM - XML構文)

WG3は, ソウル会議での決定を組込んで, 直近のFDIS投票のための文書を提出することを, エディタに指示する.

(4) パート4(TM - 正準XML構文)

WG3は, N615における各国コメントに対応し,アムステルダム会議での決定を新ドラフトに組込んで, 新たなFCD投票のための文書を提出することを, エディタに指示する.

(5) パート5(TM - 参照モデル)

ソウル会議での決定を新ドラフトに組込んで, 2006-07までにCD投票のためにそれを提出することを, エディタに指示する.

(6) パート6(TM - 簡潔構文(CTM))

WG3は,Sam Oh, Gabriel HopmansおよびLars Heuerをエディタとして指名する. ソウル会議での議論に基づいてCTMの最初のドラフトを準備して, それをWG3のメンバに配布することを, エディタに指示する.

(7) パート7(TM - 図形記法(GTM))

WG3は, Jaeho LeeおよびGraham Mooreをエディタとして指名し, ソウル会議での議論に基づいてGTMの最初のドラフトを準備して, それをWG3のメンバに配布することを, エディタに指示する.

(8) ISO/IEC 18048 (TM問合せ言語(TMQL))

WG3は, 直近のCD投票のためにN731をSC34セクレタリアートに送付することを, エディタに指示する.

(9) ISO/IEC 19756 (TM制約言語(TMCL))

WG3は, N721における各国コメントに対応することをエディタに指示する.さらに, ソウル会議での議論に基づいてTMCLの新ドラフトを準備して, それをWG3のメンバに配布することを, エディタに指示する.

(10) ダブリンコアメタデータ

WG3は,トピックマップを用いてダブリンコアメタデータを表現する方法のTRについてSC34が新作業課題を提案することを要求する.

WG3は,この方法が,RDFを用いてダブリンコアメタデータを表現するのに用いる方法と互換性があることを確かめるために,SC34がW3Cとリエゾンを設立すことを要求する.このリエゾンは,RDFとトピックマップとの相互運用性についてW3Cの中で進行中の作業にも含まれなければならない.

(11) 公開サブジェクトのリポジトリ

WG3は,ISO/IEC 13250の一部として開発され,OASISの公開サブジェクトTCによってさらに改良された公開サブジェクトの原理を体系化して普及させるために,WG3のコンビナが,W3CおよびOASISとの合同作業を開始することを指示する.

WG3は,TRを可能にするために公開サブジェクト用の分散形リポジトリ機構に関する提案をSam Ohが準備することをさらに要求する.


5. 今後の会議予定

ソウルでのSC34総会およびWG会議で計画された今後の会議予定を次に示す.

日程 場所 会議
August 3 - 6, 2006 Montreal, Canada WG3
August 6, 2006 Montreal, Canada WG1
October 12-15, 2006 Leipzig, Germany WG3
December 2 - 5, 2006 Boston, USA SC34 Plenary,WG1, およびWG2
(WGおよびメンバ各国からの電子的参加も可能.)