4.2 文字表現関連規格 (1) ISO/IECとJIS ISO/IEC JTC1/SC18/WG8(現在のISO/IEC JTC1/WG4)は, 文書の処理と記述のための一連の規格開発を行い, 文字表現に関連する次の規格を制定している。 - ISO/IEC 10179 DSSSL(Document Style Semantics and Specification Language - ISO/IEC 10180 SPDL(Standard Page Description Language) - ISO/IEC 9541 Font Information Interchange - ISO/IEC 10036 Registration Procedure of Font Objects DSSSLは, SGML(Standard Generalized Markup)によって構造記述された文書の各論理要素に対して, スタイル指定を行う情報の交換を可能にするための規定を与える。SPDLは, フォーマティング済み文書を装置非依存に交換するための記述言語であり, ISO/IEC 9541に基づいて12種類のフォント情報をも規定している。 ISO/IEC 9541は, フォント情報そのものを交換の対象にするために, フォント情報の体系と交換様式を規定している。ISO/IEC 9541で用いるグリフ識別子, ISO/IEC 10180で用いるフォントオブジェクトの登録手続きを, ISO/IEC 10036が規定している。 これらの国際規格に対応して, 既に次のJISが制定されている。 - JIS X 4153 (ISO/IEC 10179) - JIS X 4154 (ISO/IEC 10180) - JIS X 4161, 4162, 4163 (ISO/IEC 9541-1, -2, -3) (2) ISO/IECの最近の活動 ISO/IEC 9541-1の附属書A の書体デザイン分類に関してAmendmentが作成されており, 主として, アラビアの書体を追加している。既にDAM投票が終わって承認され, Dispositionも終了している。 ISO/IEC 9541-1については, 別のAmendmentとして, 日本語環境で用いる拡張フォント属性(オプション)の追加が検討されている。標準化のステータスは, DAM投票が終わった段階である。 フォントアプリケーションがフォントリソースにアクセスして必要なリソースデータを獲得するために必要なファシリティを規定するフォントサービスが以前から検討されている。1997年3月を期限とするCD投票が行われ, そのコメントdisposition(SC18/WG8 N1913)を反映したDISテキストが配布されている。 (3) W3C W3Cは, SGMLのDTDであるHTMLを規定し, さらにそれと同様の環境でもっと柔軟な構造記述を可能にしたXMLを規定している。それらで記述された文書の要素に対するフォーマット指定に関して, CSS(Cascading Style Sheet), XSLの開発を行っている。さらに, これらの文書におけるフォント指定を容易にすると共に, その文書情報の交換性を高めることを目的として, Web Fontsの規定を開発中である。 Web Fontsは,CSS1のフォントモデルを拡張し, スタイルシートにおけるフォント記述(Font description)を可能にすることによって - クライアントでの適切なフォントの選択 - 代替フォントの生成 - Web上のフォントのダウンロード を可能にする。そのために, 次のようなフォント記述子を規定している。 - フォント選択用記述子 - フォントデータ制限用記述子 - 数値存在時記述子 - 参照用記述子 - マッチング用記述子 - 生成用記述子 - 並び用記述子