段階スタイルシート 水準1(CSS1)は, World Wide Web Consortium(W3C)によって1996年12月の勧告発表以前から, HTML文書に対する簡便なスタイル指定の規定として多くの利用者の注目を集めると共に, ブラウザベンダによってその実装が行われてきた。(社)日本事務機械工業会の標準化委員会 実装規約小委員会は, この動向に着目して調査研究を継続し, "技術標準等の早期公開によるJIS化の前提となるコンセンサスの形成を促進する" という標準情報(TR)によるCSS1の公表の必要性を通商産業省工業技術院に提言した。
通商産業省工業技術院は, 1998年4月に(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の中に電子出版技術調査研究委員会を設立し, CSS1の翻訳作業の委託を行った。電子出版技術調査研究委員会では作業グループWG1がこの作業を担当し, 設立直後からW3C Recommendation 17 Dec 1996(REC-CSS1-961217)の翻訳に着手して, 1998年8月に標準情報の原案を完成した。
訳語選定に際しては,HTMLの基本を規定しているSGMLに関するJIS X 4151, 及びフォントに関するJIS X 4161(フォント情報交換 第1部 体系)との整合を配慮した。しかしその後にJISとして出版されたSGML関連規格において,適切な理由に基づいてJIS X 4151の訳語を変更している用語については,なるべく新しいSGML関連のJIS又は標準情報(TR)の訳語を採用している。
この標準情報(TR)で採用した主な訳語の例を次に示す。
原語 | 訳語 |
anchor | アンカ |
border | 境界 |
bottom | 下部 |
box | ボックス |
canvas | 描画面 |
cascade | 段階 |
common effects | よく使う組み効果 |
conflict | 競合 |
content | 内容 |
core feature | コア機能 |
face | 書体 |
fictional tag sequence | 仮想タグ列 |
font face | 書体 |
font family | フォントファミリ |
font style | フォントスタイル |
formatting | フォーマット化 |
Gamma correction | ガンマ補正 |
glyph | グリフ |
HTML extension | HTML拡張 |
inheritance | 継承 |
initial letter | 頭文字 |
initial character | 最初の文字 |
inline | 行内 |
inner bottom | 内下部 |
inner top | 内上部 |
intrinsic dimension | 基本寸法 |
justify | 均等割りする |
leading | リーディング |
left inner edge | 左内辺 |
left outer edge | 左外辺 |
letter | 字 |
ligature | リガチャ |
margin | 余白 |
multiple pseudo-element | 複数疑似要素 |
normal face | 本文書体 |
padding | パディング |
property | 特性(font propertyの場合だけ,属性) |
pseudo-class | 擬似クラス |
pseudo-element | 擬似要素 |
render | 可視化する |
rescale | 再スケール化 |
scaling factor | スケール倍率 |
selector | 選択子 |
shine through | 透けて見える |
simple selector | 単純選択子 |
small caps | スモールキャップ |
sort | ソートする |
specificity | 固有性 |
target anchor | 目標アンカ |
tokenizer | トークン化子 |
top | 上部 |
type face | 書体 |
typographical items | 表示上の項目 |
visual effects | 可視的効果 |
weight | 重み |
whitespace | 空白 |
原規定における用語表記の揺れは, この標準情報(TR)の訳文中では次のとおり統一して表記している。
原語 | 訳文中での表記 |
UA | UA |
User Agent | UA |
small caps | スモールキャップ |
small-caps | スモールキャップ |
W3Cの規定は, 必ずしもJIS又は標準情報(TR)の様式には整合していないため, 整合化の対応が必要である。しかしTRの読者が原規定を参照する際の便を考慮すると, 章・節構成はなるべく原規定のそれを保存することが望まれる。そこで, 次に示すだけの修正(章・節番号の変更なし)を施して, この標準情報(TR)を構成した。
原規定は, HTML及びCSS1を用いて記述されている。この標準情報(TR)も原則として, 原規定のタグを保存することにしたが, 特に次の点に留意した。
翻訳作業の過程で原規定における編集上の問題点の幾つかが明らかになり, 次に示すエラーレポートをW3Cに通知してある。それらの問題点は既に翻訳に反映されている。
この標準情報(TR)原案を作成した(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の電子出版技術調査研究委員会及び作業グループWG1の委員構成を, その順に次に示す。
氏名 | 所属 | |
---|---|---|
(委員長) | 池田 克夫 | 京都大学 |
(幹事) | 小町 祐史 | 松下電送システム株式会社 |
(幹事) | 大久保 彰徳 | 株式会社リコー |
(幹事) | 長村 玄 | ソウルシステム株式会社 |
(幹事) | 高沢 通 | 大日本スクリーン製造株式会社 |
内山 光一 | 株式会社東芝 | |
小笠原 治 | 社団法人日本印刷技術協会 | |
前沢 克俊 | 大日本印刷株式会社 | |
橋爪 邦隆 | 通商産業省工業技術院標準部 | |
(事務局) | 大川 和司 | 財団法人日本規格協会 |
氏名 | 所属 | |
---|---|---|
(主査) | 小町 祐史 | 松下電送株式会社 |
内山 光一 | 株式会社東芝 | |
大久保 彰徳 | 株式会社リコー | |
奥井 康弘 | 株式会社日本ユニテック | |
梶本 和博 | セイコーエプソン株式会社 | |
堀越 裕太郎 | 通商産業省工業技術院標準部 | |
(事務局) | 大川 和司 | 財団法人日本規格協会 |