附属書Aは,この規定で用いる主な用語の定義を示す。
原規定において,"MUST","MUST NOT","REQUIRED","SHOULD","SHOULD NOT","RECOMMENDED","MAY"及び"OPTIONAL"が用いられている場合,RFC 2119 [RFC2119]に規定するとおりに解釈する。
参考 この標準情報(TR)では,対応する用語として次を用いる。
この語は,RFC 2119には含まれていない。NEED NOTは,この規定との適合性を主張する際,実装しなくてもよい事項を表す。"MAY NOT"という語は,禁止の意味があるので,"NEED NOT"を使用する。
参考 この標準情報(TR)では,NEED NOTに対応して,"…する必要がない。"又は"…しなくてもよい。"を使用する。
キーワードは,抽象モデル内の意味実体の識別子(4.1.2.3参照)とする。属性名,幾つかの属性値,属性構文及び属性グループ名は,キーワードとする。
属性は,IPPオブジェクトのインスタンスに関連付けられる情報項目とする。一つの属性は,一つの属性名及び一つ以上の属性値からなる。それぞれの属性は,それぞれ特定の属性構文をもつ。すべてのオブジェクト属性は,3.3.5に定義する。すべての操作属性は,3.に定義する。
Job Template属性は,4.2に示す。クライアントは,生成要求(Jobオブジェクトを生成する操作要求)において,Job Template属性を与える。Printerオブジェクトは,そのPrinterのサポート値及びデフォルト値を定義する関連する属性をもつ。
属性は,属性名によって一意に識別できる。属性名は,キーワードとする。そのキーワードである属性名は,その属性を規定する箇条の題名として与える。この規定では,属性名を2重引用符号(")で囲んで示す。この場合,2重引用符号自体はキーワードの一部ではない。
互いに関係のある属性は,名前の付いたグループにまとめられる。この属性グループの名前は,キーワードとする。属性グループ名は,その属性グループに属するすべての属性に明示的に名前を付ける代りに用いてもよい。属性グループは,3.に定義する。
それぞれの属性は,一つ以上の値をもつ。属性値は,その属性のために指定された構文型で表される。この規定では,属性構文がキーワード,整数値,テキストなどかどうかにかかわらず,属性値を1重引用符号(')で囲み示す。1重引用符号(')自体は,キーワードの一部ではない。
それぞれの属性は,明示的な構文型を用いて定義される。この規定では,それぞれの構文型は,特定の意味をもつキーワードとして定義される。"符号化及びトランスポート"規定[IPP-PRO]では,それぞれの構文型のための実際に回線上を流れる符号化規則を示す。属性構文型は,4.1に定義する。
定義によって,Printerオブジェクトは,ある属性に対する問合せの応答において,幾つかの値をもつ対応する属性を用いる場合に限り,その属性をサポートする。Printerオブジェクトは,ある値が"supported values"属性の一つである場合,その属性値をサポートする。Printerオブジェクトの背後にある装置は,あるIPP属性に対応する振る舞いを示すかもしれない。しかし,Printerオブジェクトがその属性に対する問合せを受けたときにその属性を用いて応答しない場合,IPPに関する限りは,その実装はその機能をサポートしない。Printerオブジェクトの"xxx-supported"属性が特定の値をもたない場合,その値がその属性に対して正当な値であるとしても,そのPrinterオブジェクトは,その特定の値をサポートしない。
適合実装は,すべての必す(須)属性をサポートしなければならない。しかし,必す(須)属性であっても,IPPへの適合性は,すべての可能なジョブ処理の動作及び機能を表現するすべての可能な値を,すべての実装がサポートすることを必す(須)とはしない。例えば,Printerの与えられたインスタンスがある文書フォーマットだけをサポートする場合,そのPrinterは,その属性に対して定義された可能な値の完全な集合の中から取られた値の集合(この集合に含まれる値は一つだけかもしれない。)をもつ"document-format-supported"属性で応答する。この限定された値の集合は,Printerがサポートする文書フォーマットの集合を表現する。属性及びその属性に対する値の集合をサポートすることで,IPPエンドユーザは,その属性及びその値に関連する機能を認識し,使用可能となる。ある属性又は幾つかの特定の値をサポートしないことを実装が選択した場合,IPPエンドユーザは,IPPそれ自体の環境では,その機能を使うことはできない。しかし,IPPを意識しない既存のシステムのために,"unsupported"機能を制御又は要求するIPPの適用範囲外の他の機構(例えば,文書データ自体に組み込まれた命令など。)が存在するかもしれない。
例えば,"finishings-supported"を考える。
PrinterオブジェクトによるJob Template属性に対するサポートがオプションであっても,Printerオブジェクトの背後にある装置が,IPP属性及び何らかの関連する値に対応する特徴又は機能を実現できる場合には,その実装は,そのIPP属性及び値をサポートするほうがよい。
サポートされた値属性のいずれにおける値の集合も,IPP/1.1規定の適用範囲外の管理処理又は自動検知機構によって設定される。管理方針及び制御上の理由のために,管理者は,可能な値の一部だけをエンドユーザに見せる選択をするかもしれない。この場合,抽象化されたIPP Printerの背後にある実際の出力装置は,ある機能を実行可能だが,管理者は,その機能へアクセスをIPPプロトコルを通してエンドユーザには開示しない指定をしている。Printerオブジェクトは(物理的な装置だけでなく)論理的な印刷装置を表現するかもしれないので,値をサポートする実際の処理は,未定義とし,実装に任せられる。しかし,Printerオブジェクトがある値をサポートする場合,その値に関連する意味上の動作を実現するために何らかの手動操作が必要となるかもしれない。ただし,エンドユーザの操作は要求しない。
例えば,"finishings-supported"属性の値の一つが'staple'の場合,実際の処理は,装置に送信される命令によって制御される物理装置による自動ステープル止め動作かもしれない。ステープル止めの実際の処理が,操作者が含まれるPrinterオブジェクトにおける操作者による手動操作かもしれない。
サポートされる属性がどのように機能するかのもう一つの例として,すべての印刷ジョブを制御し,紙を節約するためにジョブシートを印刷しないことを望むシステム管理者を考える。ジョブシートを印刷しないことを強制するために,そのシステム管理者は,"job-sheets-supported"属性でサポートする値を'none'だけに設定する。この場合,クライアントが'none'以外の任意の値を要求するとき,("ipp-attribute-fidelity"の値に依存して,)生成要求が拒否される,又は"job-sheets"の値が無視される。すべてのジョブでジョブ開始シート及びジョブ終了シートを使用することを強制するには,管理者は,"job-sheets-supported"属性に値'none'を含めない。この場合,クライアントが'none'を要求したとき,("ipp-attribute-fidelity"の値に依存して,)生成要求が拒否される,又は"job-sheets" の値が無視される。
印刷ストリームページは,文書データを表現するために使用する言語で書かれ,ページの定義に従ったページとする。
刷りは,一つのメディアページに組み付けられた画像(異なる構成での多くの印刷ストリームページなど)とする。