日本工業規格

JIS X 6281:1992    
(ISO/IEC 10149:1989)    

120 mm再生専用形光ディスク(CD-ROM)

Data interchange on read-only 120 mm optical data disks (CD-ROM)



日本工業規格としてのまえがき

この規格は, 1989年に発行されたISO/IEC 10149 [Information technology — Data interchange on read-only 120 mm optical data disks (CD-ROM)]を翻訳し, 技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお, この規格で側線又は下線(点線)を施してある“参考”は, 原国際規格にはない事項である。


1. 適用範囲

この規格は,情報処理システム間の情報互換及び情報蓄積に用いる120 mm再生専用形光ディスク(以下, ディスクという。)について次の項目を規定する。

この規格が規定する光ディスクは,利用者への配布前に情報が記録され,ディスクからの再生だけが可能な種別とする。この規格は,次の規定を行う。

これらの特性はディジタルデータを記録するトラックについて規定するが, ディジタル音声信号を記録したトラックを含んでもよい。そのようなトラックは,IEC 908の規定に従って記録しなければならない。


2. 適合性

ディスクは, この規格のすべての条件を満たしているとき, この規格に適合しているものとする。


3. 関連規格

関連する規格を, 次に示す。

IEC 908:1987 Compact disk digital audio system

ISO 9660:1988 Information processing — Volume and file structure of CD-ROM for information interchange

  参考 JIS X 0606 (情報交換用CD-ROMのボリューム及びファイルの構造)が, この国際規格と一致している。


4. 定義

4.1 オーディオトラック (audiotrack) ディジタルコード化した音声情報を含む情報トラック。

4.2 同心度 (concentricity) 二つの円の中心が必ず存在する円形公差領域の直径。

4.3 制御バイト (control byte) F2フレームに加える, アドレス情報を含む98バイトのテーブルの中の8ビットバイ ト。

4.4 ディジタルデータトラック (digital data track) セクタに分割したディジタルユーザデータを含む情報トラック。

4.5 F1フレーム (F1 frame) スクランブラの出力でCIRCエンコーダの入力となる24個の8ビットバイト。

4.6 F2フレーム (F2 frame) CIRCエンコーダの出力となる32個の8ビットバイト。

4.7 F3フレーム (F3 frame) F2フレームに制御バイトを付加して8-14エンコーダの入力となる33個の8ビットバイト。

4.8 情報領域 (information track) リードイン領域, ユーザデータ領域及びリードアウト領域からなる物理トラック領域。

4.9 情報トラック (information track) ユーザ情報を含むディスクの領域。

4.10 物理トラック (physical track) ディスク円周上の連続したら(螺)旋トラックの360度分の経路。

4.11 半径方向加速度 (radial acceleration) 規定の回転速度での物理トラックの半径方向の加速度。

4.12 半径方向振れ (radial runout) 1回転中に生じる一つの物理トラックの半径方向の振れ。

4.13 セクション (section) 一つの完全なテーブルとなる98個のF3フレーム。

4.14 セクタ (secter) 情報領域内のディジタルデータトラックの最小のアドレス可能な部分。

4.15 ユーザデータ領域 (user data area) 情報領域のうち, ユーザデータを記録する部分。


5. 環境

5.1 測定条件

5.1.1 光学ヘッド

測定に用いる光学ヘッドは, 次の特性とする。

項目 規格値
波長λ780±10 nm
偏光円偏光
開口数0.45±0.01
対物レンズの瞳の縁での強度最大強度値の50%以上

情報層近くのビームの波面収差の実効値(rms)は0.07λ以下とする。ディスクの波面収差への寄与は, 0.05λ以 下とする。

5.1.2 クランプ

ディスクは, 直径29〜31 mmの間を1〜2 Nの力で保持する。

5.1.3 標準測定環境

規定がない限り, 次のとおりとする。

項目規格値備考
温度25±10 ℃結露がないこと
相対湿度45〜75 %
気圧96±10 kPa
試験前放置時間最低24時間

5.1.4 特定測定環境

特定測定環境は, ディスクの近傍で測定し, 次のとおりとする。

項目規格値備考
温度23±2 ℃結露がないこと
相対湿度45〜55 %
気圧96±10 kPa
試験前放置時間最低24時間

5.2 使用環境

使用環境は, ディスクの近傍で測定し, 次のとおりとする。

使用前に少なくとも2時間, 動作する使用環境になじませなければならない。

項目規格値備考
温度-25〜+70 ℃結露がないこと
相対湿度10〜95 %
絶対湿度0.5〜60 g・m-3
最大許容衝撃温度50 ℃
最大許容衝撃相対湿度30 %

5.3 保存環境

保存環境は, 次のとおリとする。

項目規格値備考
温度-20〜+50 ℃結露がないこと
相対湿度5〜90 %
最大湿球温度29 ℃
気圧75〜105 kPa
備考ディスクの保存性の試験方法を附属書F(参考)に示す。


6. 燃焼性

ディスクは, マッチの炎によって着火してもよいが, 静止した二酸化炭素雰囲気中で燃焼し続けてはならない。


7. 材料

ディスクの材料は, 情報領域について8.6によるほか, この規格を満足するものであれば材料は問わない。 ディスクの質量は, 14〜33gとする。


8. ディスクの機械的特性及び物理的特性

8.1 基準面

基準面は, クランプ領域(8.4参照)の底面を第一の基準面Pとし, クランプ領域の上面の基準面Pと平行な平面を基準面Qとする。

8.2 中心孔

ディスクの中心孔の直径d1は, 中心孔の中心を基準とし, 次のとおりとする(図1及び図2参照)。

d1 = 15.0+0.10 mm

直径d1は, 特性測定環境で測定しなければならない。

中心孔底部の縁を面取りする場合, その高さh1及び面取り角度αは, 次のとおりとする。

h1 ≦ 0.1 mm
α = 45°

なお, この縁は, 0.1 mm以下の半径で丸くしてもよい。

中心孔の上縁には, バリがあってもよいが, その高さh2は, 次のとおりとする。

h2 ≦ 0.2 mm

8.3 第1領域

ディスクの第1領域は, 図1に示す直径d1d2とし, 次の条件を満足しなければならない。

d2 = 20+60 mm

第1領域の上面は, 基準面Qから次の高さh3低くてもよい。

h3 ≦ 0.2 mm

第1領域の底面は, 基準面Pから次の高さh4高くてもよい。

h4 ≦ 0.2 mm

ただし, 第1領域の20 mm ≦ 4 ≦ 26 mmの部分については, 次のとおりでもよい。

基準面Qからディスク上面までの高さh5 : h5 ≦ 0.4 mm
基準面Pからディスク底面までの高さh6 : h6 ≦ 0.4 mm

8.4 クランプ領域

クランプ領域は, 図1に示す直径d2の最大値及びd3の間とする。

d2 ≦ 26 mm
d3 ≧ 33 mm

クランプ領域の底面は, 基準面Pとし, その平面度は, 0.1 mm以下でなければならない。

クランプ領域の上面は, 基準面Qとし, 基準面Pとの平行度は0.2 mm以下でなければならない。基準面Pからの ディスク上面の高さh7は, 次のとおりとする。

h7 = 1.2+0.3-0.1 mm

8.5 第2領域

ディスクの第2領域は, 図1に示す直径d3及びd4の間とし, 次の条件を満足しなければならない。

d4 ≦ 44 mm

この領域では, ディスク底面は, 基準面Pからh8h9の範囲にあり, ディスク上面は, 基準面Qからh10h11の範囲とする。

h8 ≦ 0.4 mm
h9 ≦ 0.4 mm
h10 ≦ 0.4 mm
h11 ≦ 0.4 mm

8.6 情報領域

情報領域は, 図1に示すように, 直径d4d5の間とする。

d5 ≦ 118 mm

情報領域は, 次の区域で構成する。

— 内周バッファ区域  直径d4d6

d4 + 1 mm ≦ d6 ≦ 46 mm

— リードイン区域  直径d6d7

d7 = 50.00-0.4 mm

— ユーザデータ区域  直径d7d8

d8 ≦ 116 mm

直径d6, d7及びd8は, 特定測定環境で測定しなければならない。

— リードアウト区域  直径d8d9

d9d8 + 1 mm

— 外周バッファ区域  直径d9d5

d9 + 1 mm ≦ d5 ≦ 118 mm

直径d4d5の間のディスクの構成は, 次のとおりとする(図3参照)。

ラベルは, 直径d4d5を超えてもよい。

基準面Pからラベルまでの高さh12は, 次のとおりとする。

h12 = 1.2+0.3-0.1 mm

透明基板の厚さeは, 次のとおりとする。

e = 1.2±0.1 mm

なお, 透明基板の底面は, 基準面P上とする。

透明基板の屈折率は, 1.55±0.1とする。

透明基板の複屈折は, リターデーション(平行光, 円偏光, 垂直入射, ダブルパス)で表し, 最大100 nmとする。

透明基板及び反射層の反射率は, 垂直入射の平行光によって, 情報領域の未記録部を測定したとき, 最小70 %とする。

反射率の100 Hz以下の周波数の相対変化は, ディスクが走査速度で回転しているとき, 3 %以下とする。

これらのパラメータ測定は, 5.1.1の波長による。

8.7 周縁領域

周縁領域は, 図1及び図4に示すように直径d5d10とし, 次の条件を満足しなければならない。

d10 = 120.0±0.3 mm

直径d10は, 特定測定環境で測定しなければならない。

直径d10と中心孔の最大円との同心度は, 0.2 mm以下とする。

周縁領域の内, d5d11の範囲では, 次の条件を満足しなければならない。

d11d5
117.7 mm ≦ d11 ≦ 118.3 mm
ディスクの底面: 基準面P上
基準面Pからのディスク上面の高さ = h12

直径d11d10の区域では, ディスクの底面は, 基準面Pからh13低く, ディスク上面は, h12よりh14高くてもよい。

h13 ≦ 0.1 mm
h14 ≦ 0.1 mm

ただし, h13及びh14は, 次の条件を満足しなければならない。

h12 + h13 + h14 ≦ 1.5 mm

この区域での, ディスクの厚さは, 次のとおりとする(図4参照)。

ディスクの厚さ = h12 - h15 ≧ 0.6 mm

8.8 全般の注意

8.で高さを規定したh1は, 各々独立した値とし, 相互に関係しない。例えば, 第1領域の上面が基準面Qからh3まで低くなっても, この領域の底面は, 基準面Pからh4まで高くなくてもよい。更に, クランプ領域及び情報領域の上面の高さ並びに許容差(h7及びh12)は, 同じ数値でも実際の値が同一とならなくてもよい。

図1 ディスクの断面概要図


図2 中心孔の詳細断面図


図3 惰報領域の拡大断面図


図4 ディスク周縁部の詳細断面図


9. ディスク表面の機械的変位

ディスク表面の機械的変位の規定は, 静止状態でのディスク及び5.1.2によってクランプし, 11.4の走査速度で回転しているディスクに適用する。

情報領域の底面(再生光の入射面)は, 直径d6d11の間で, 基準面Pの±0.4 mmでなければならない。1回転にわたる実効値は, 0.3 mmとする。

入射面の法線が基準面Pの法線となす角度は, 直径2 mmの領域の平均で, 0°36′以下とする。光ビームが基準面Pの法線に沿ってディスクヘ入射するとき, 基準面Pの法線から半径方向への反射ビームの角度の偏りは, ±1°36′以内とする。この値は, 情報層と入射面の平行度の許容差を含む。


10. 光反射層の変位

5.1.2によってクランプし, 11.4の走査速度で回転しているディスク反射層の変位は, 光学ヘッドからみて, 基準面Pからの公称位置の軸方向の偏差となる。したがって, 厚さ, 屈折率及び入射面の変位の許容差からなる。この変位は, 直径d4d5の間で測定したとき, 次のとおりとする。


11. 物理トラックの幾何学的状態

11.1 物理トラックの形状

直径d6d9に物理トラックを設け, それぞれのトラックは, 連続したら(螺)旋状の線の360度で形成する。

各々の物理トラックは, 光学ヘッドによって検出できる連続して存在しているくぼみ(以下, ピットという。)で構成する。コード化した情報は, ピット長及びピット間隔の変化によって表す。ピット深さは, 12.2の要求を満足しなければならない。

11.2 回転方向

ディスクの回転方向は, 光学ヘッドからみて反時計方向とする。このとき, 物理トラックは外径側へ向かう。

11.3 トラックピッチ

物理トラックピッチは, 1.6±0.1 μmとする。

11.4 走査速度

記録中の走査速度は, 1.20〜1.40 m/sとし, 4.3218 Mbit/sのチャネルビットレートをもつ(19.参照)。記録時のディスクの速度変動は, ±0.01 m/sとする。

11.5 トラックの半径方向の振れ

物理トラックの半径方向の振れは, ディスクが走査速度で回転するとき, 次のとおりとする。


12. 光再生システム

12.1 HF信号

HF信号は, 図6に示すように, AC結合前段階で測定する。基本周波数は, 720 kHz及び196 kHzの2種類とし, 検出器電流のピーク値を, それぞれI3及びI11で示す。HF信号の最大値は, 最小基本周波数で得られるが, 図6に示すようにItopで示す。

HF信号に含む情報は, HF信号が判定レベルIDと交差する位置で引き出す。この判定レベルIDは, I3のピーク値の半値とする。

12.2 変調振幅

変調振幅I3及びI11は, 次のとおりとする。

0.3 ≦ I3/Itop ≦ 0.7
I11/Itop ≧06

12.3 対称性

HF信号の対称性は, 次のとおりとする。

-20 % ≦ (1/2 - Ib/I11)×100 ≦ +20 %

12.4 クロストーク

クロストークは, ビームを二つのトラックの中央に置いたとき及びビームをトラック上に置いたときのHF信号振幅の比で表し, 0.5以下とする。

12.5 HF信号の品質

12.5.1 チャネルビットの位置ジッタ

チャネルビット(19.参照)の位置ジッタは, チャネルビットレート(11.4参照)の周波数変調を引き起こす。許容最大ジッタは, 図7に示すように単一変調周波数に対する時間誤差で表す。時間誤差の測定は, 一定走査速度(11.4参照)による。

12.5.2 フレームエラー

フレームエラーは, 1バイト遅延後(附属書C図C.2参照)のC1デコーダの入力で, 1フレーム内に1バイト以上の誤りが起こったときとし, フレームエラーレートは, どの10秒間で平均しても, 3×10-2以下とする。

12.5.3 バーストエラー

バーストエラーは, 1バイト遅延後のC1デコーダの入力で1フレームに2バイト以上の誤りが起こったときとし, 訂正不能となる。

連続する訂正不能なフレームの数は, 7以下とする。

12.6 半径方向のトラック追従信号

走査スポットがトラックから半径方向にずれると, ディスクの半径方向に非対称な回折パターンとなる。対物レンズの開口の二つの半面(トラックの反対側に位置する。)に回折して入る光パワーI1I2の差分は, 遠視野で測定したとき, 半径方向のトラック追従用のサーボ信号Is=I1-I2となる。

このサーボ信号Isは, 時定数15 μsのローパスフィルタを通す。図8ではトラッキング信号を, スポットの半径方向位置の関数として与えている。走査スポットの半径方向の位置は, スポットがデイスク中心から遠ざかっている場合, Isが正の傾きでゼロを横切るときトラックの中心にある。トラッキング信号のこの極性は, ピットの幾何形状及び検出器の配置によって決まる。

12.6.1 トラッキング信号の振幅

正の傾きでゼロを横切るトラッキング信号がトラック中心から半径方向に0.1 μmオフセットしたとき, 信号の変化値は円偏光を用いて測定したとき, 次の式を満足しなければならない。

0.04 ≦ Is/Itop ≦ 0.07

トラッキング信号の振幅は, 同一ディスク内で±15 %変化してはならない。

12.6.2 欠陥

欠陥は, その直径で表し, 次のとおりとする。

トラックに沿って近接した欠陥同士の間隔は, 20 mm以上とする。


図6 HF信号


図7 チャネルビットの位置ジッタ対変調周波数


図8 ラジアルトラッキング信号対ディスク中心からの半径方向スポット位置


13. 記録の全般に関する事項

13.1 惰報トラック

情報トラックは, 情報領域の中の情報を含むトラックとする。各情報トラックは, 物理トラックによって構成する。

ディジタルデータを含む情報トラックを, ディジタルデータトラックという。これらのトラックについては, 14.21.に記載する。オーディオ情報を含む情報トラックは, オーディオトラックという。これらのトラックについては, IEC 908の規定による。CD-ROMは, ディジタルデータトラックだけ, 又はディジタルデータトラック及びオーディオトラックの両方を含むことができる。

13.2 ユーザデータの符号化表現

13.2.1 基準

ユーザデータ領域の内容は, 情報の符号化表現についての関連規格に準拠する。

  参考 これらの基準の検証は, 受渡当事者間の協定での課題となる。

13.2.2 符号化手法


14. ディジタルデータトラックのセクタ

情報トラックに記録したディジタルデータは, 8ビットからなるバイトによって, セクタを構成する。セクタは, アドレス設定可能な最小単位の情報とし, 単独でアクセスできる。情報トラック上のセクタ数は可変とし, セクタ数は, 情報トラックに記録している情報量に依存する。

セクタは, 2352バイトからなり, 図1012に示すレイアウト構造とする。セクタのレイアウトは, セクタモードのバイトのセッティングに依存する。図1012の中で, バイトの位置は, “0”から番号を付け, 0番地は, セクタの最初のバイトに対応する。()の中は, 16進数のバイトの内容を示す。

図10 セクタモード(00)

図11 セクタモード(01)

図12 セクタモード(02)

14.1 同期信号領域

同期信号領域は, 0〜11番地からなる次の12バイトで構成する。

14.2 ヘッダ領域

ヘッダ領域は, 次のセクタアドレス3バイト及びセクタモード1バイトの4バイトで構成する。

14.2.1 セクタアドレス

14.2.2 セクタモードバイト

15番地のセクタモードバイトは, 次のとおりとする。

(00)の場合: 16〜2351番地すべてのバイトを, (00)とする。
(01)の場合: 16〜2063番地すべてのバイトを, ユーザデータバイトとし, 2064〜2351番地のバイトを14.314.6に準拠してセットする。ユーザデータは, EDC(誤り検出コード), ECC(誤り訂正コード)及びCIRCによって保護する。
(02)の場合: 16〜2351番地すべてのバイトを, ユーザデータバイトとする。ユーザデータは, CIRCだけで保護する。

14.3 EDC領域

EDC領域は, 2064〜2067番地に記録する4バイトによって構成する。EDCは, 32ビットCRCとし, 0〜2063番地に適用する。データバイトの最下位ビットを最初に記録する。EDCのコードワードは, 次の多項式P(X)によって割リ切れなければならない。

P(X) = (X16 + X15 + X2 + 1)×(X16 + X2 + X + 1)

重み付けの最も小さいパリティビット(X0)は, 2067番地の最上位ビットに記録する。

14.4 中間領域

中間領域は, 2068〜2075番地に記録する8バイト(00)で構成する。

14.5 Pパリティ領域

Pパリティ領域は, 2076〜2247番地にある172バイトによって構成し, 附属書Aに示すように12〜2075番地に演算結果を記録する。

14.6 Qパリティ領域

Qパリティ領域は, 2248〜2351番地にある104バイトによって構成し, 附属書Aに示すように 12〜2247番地に演算結果を記録する。


15. スクランブリング

スクランブリングは, 各セクタの12〜2351番地のバイトを附属書Bによって処理し, 結果を図13に示すように配置する。

図13 スクランブル後のセクタ


16. F1フレーム

F1フレームは, 次による。

スクランブル後の各セクタは, 連続したフレーム上に配置する。各フレームは, 24個の8ビットバイトで構成し, 0〜23番地の番号を割り付ける。セクタの0番地は, フレームの4n番地に配置する。ここで, nは, 0, 1, 2, 3, 4又は5とする。続くセクタのバイトは, 同様に続くフレームのバイトに配置する。セクタの2351番地の直後には, 次のセクタの0番地が続く。

最終的に, フレーム上でそれぞれ偶数と奇数の番号を付けたバイトの対配列は, 0, 1. 2, 3, 4, 5…のバイト配列が, 1, 0, 3, 2, 5, 4…のバイト配列のように置き替わる。このように, データ入れ替え後の24個の8ビットバイトで構成したフレームを, F1フレームという。セクタの0番地のバイトは, F1フレーム上の位置で, 4n + 1とする。ここで, nは, 0, 1, 2, 3, 4又は5とする。

17. F2フレーム

F2フレームは, 次による。

F1フレームは, 附属書Cに従ってCIRCエンコーダに入力する。24バイトからなる各F1フレームは, 32バイトからなる各F2フレームに変換する。F1フレームの24個からなる各8ビットバイトのビットパターンは, 変化しないが, バイト自身は置き替わり, 106個のF2フレーム上に分散する。F2フレームは, パリティ情報をもった8個の8ビットバイトを付加して, 32バイトで構成する。


18. F3フレーム及びセクション

18.1 F3フレーム

F3フレームは, 32バイトからなる各F2フレームの最初のバイトに, 制御バイト1バイトを付加した33バイトからなる新たなフレームとする。

制御バイトは, 22.で定義する98バイトのテーブルから作成する。制御バイトの中の情報は, 主にアドレスを付けるために用いる。テーブルの中のバイトを, CIRCエンコーダが出カする98個の連続したF2フレームに加える。テーブルの0番地は, 最初のバイトとし, 97番地は, 最後のバイトとする。

18.2 セクション

セクションは, 33バイトからなる98個のF3フレーム群とする。これらのセクションは, セクタと同期しない。例えば, セクタの最初のバイトが置き替わっているF1フレームの番号と, 最初に制御バイトを配置したF3フレームの番号との間の関係は, 規定しない。各セクションは, 制御バイトのそれぞれのテーブルをもつ。

制御バイトの生成方法は, 22.による。

19. F3フレームの記録方法

19.1 EFMエンコーディング

19.2 同期ヘッダ

同期ヘッダは, 次に示す24チャネルビットの連続とする。
    100000000001000000000010
データ転送は, 左端のチャネルビットを最初に送る。

19.3 マージンチャネルビット

マージンチャネルビットは, 附属書Eに従って配置する3チャネルビットの連続とし, 14チャネルビットの各バイト間と同期ヘッダに隣接する14チャネルビット間に挿入する。

19.4 チャネルフレーム

チャネルフレームは, 各F3フレームを次の形式に従って変換した588チャネルビットとする。
  同期ヘッダ:24チャネルビット
  マージンビット:3チャネルビット
  制御バイト:14チャネルビット
  マージンビット:3チャネルビット
  マージンビットを伴った1〜32番地のバイト:32×(14 + 3) = 544 チャネルビット

これらのチャネルビットは, 物理トラック上に記録する。チャネルビット“1”は, 反射面上でピットからランドに, 又はランドからピットに変化することによって表す。チャネルビット“0”は, 反射面上で変化しないことによって表す。


20. 情報領域のトラック構造

情報領域は, 次の領域に情報トラックを含む。

20.1 リードイン領域

リードイン領域は, リードイントラックという情報トラックだけを含む。リードイントラックは, ディジタルデータトラック又はオーディオトラックとする。ディジタルデータトラックのときは, セクタ構造とし, ポストギャップ[20.4(3)参照]で終了する。オーディオトラックのときは, IEC 908の規定による。

20.2 ユーザデータ領域

ユーザデータ領域は, ユーザデータを情報トラックに含み, ユーザデータ領域の情報トラックは, ディジタルデータトラックだけ又はディジタルデータトラック及びオーディオトラックの両方を含む。ディジタルデータを含むすべての情報トラックは, セクタ構造とする。

ユーザデータ領域の中のトラックは次による。

20.3 リードアウト領域

リードアウト領域は, 情報トラックであるリードアウトトラックによって構成し, リードアウトトラックは, ディジタルトラック又はオーディオトラックからなる。リードアウトトラックが, ディジタルトラックのときは, プリギャップを伴わないセクタ構造とする。リードアウトトラックが, オーディオトラックのときは, IEC 908の規定による。

20.4 情報トラックの連結

情報トラックの連結は, 次による。


21. 情報領域のアドレッシングシステム

21.1 セクションアドレス

セクションアドレスは, ユーザデータ領域の開始点からそのセクションまでの経過時間とする。この経過時間は, 各セクションの制御バイトの中に記録し, 絶対時間という。絶対時間は, 1/75秒の分解能とし, 次の式による。

ディスクからのデータの転送速度 = 4.3218×106 チャネルビット/s
1セクション = 588 チャネルビット×98 フレーム

21.2 セクタアドレス

セクタアドレスは, ユーザデータ領域の開始点からそのセクタまでの経過時間(絶対時間)とし, セクタヘッダに記録する。セクタのアドレスは, セクタをCIRCエンコーダに入力する直前に書き込む。

セクタヘッダの絶対時間の公称値は, セクションの制御バイトに記録した絶対時間と同じとする。ただし, セクションは, セクタの同期信号をCIRCエンコーダに入力すると同時にEFMエンコーダによって処理する。

セクタの絶対時間の公称値の許容範囲は, ±1秒とする。

ユーザデータを伴った最初のセクタのアドレスは, TOC(ディスク内容のテーブル)の中に記録する(22.3.4参照)。このように, TOCは, 制御バイトの中にある±1秒の精度の絶対時間で, 情報トラックの開始点を表す。


22. ディジタルデータトラックの制御バイトの仕様

セクションを構成するF3フレームの先頭バイトは, 制御バイトとする。各セクションの制御バイトは, 図14に示すように構成する。テーブルの内容は, セクションの長さと同じ1/75秒で更新する。

図14 制御バイト

各バイトは, b8を最上位ビットとするb1〜b8までの8ビットで構成する。図14に示すように, バイト0及びバイト1は同期信号とし, 96ビットからなるPチャネル, Qチャネル, …, Vチャネル, 及びWチャネルの8個のチャネルを設ける。

22.1 R〜Wチャネル

R〜Wチャネルの6個のチャネルで構成するF3フレームの制御バイトのb1〜b6の各ビットは, 常に0とする。

22.2 Pチャネル

情報領域のPチャネルは, 連続するセクションのすべてのPチャネルで構成する。このPチャネルは, 各情報トラックの開始を示すフラグとして用いる。フラグは1に設定した連続したビットで構成する。これ以外の場合は, Pチャネルビットは, 0とする。ここで, 1個のセクションのPチャネルのビットは, すべて同じ値でなければならない。フラグ最小長(1に設定したPチャネルの連続したセクションの数)は, 2秒(150セクション)とする。Pチャネルに1の値をもつ最後のF3フレーム(制御バイトのビットb8が, 1の値をもつ最後のF3フレーム)は, ユーザデータの最初のセクションとする。情報トラックが, 2秒より長い休止区間がある場合, フラグは, この休止区間と同じ長さとする。リードイントラックのPチャネルのビットは, 常に1とする。ユーザデータ領域内の最後の情報トラックのPチャネルは, 2〜3秒(セクションの数で150〜225個)のフラグで終了しなければならない。そのフラグの終了は, リードアウトトラックの開始を表す。リードアウトトラック内では, Pチャネルのビットは, 2〜3秒の間, 0に設定する。その後, Pチャネルのビットは2.00±0.04 Hzの半値幅で, 交互に1と0を繰り返す。

22.3 Qチャネル

情報領域のQチャネルは, 連続するセクションのすべてのQチャネルで構成する。1個のセクションのQチャネル内の最上位ビットは, 2番目のF3フレームのビットとする。Qチャネルのビット番号は, セクション内のフレームの番号に従って規定する。セクション内のQチャネルの構成は, 図15のとおリとする。

図15 Qチャネルの構成

22.3.1 制御領域

制御領域は, セクション内の2〜5番目の4個のビットで構成し, 情報トラックに記録しているユーザデータのタイプを表し, 次のとおりとする。

0100: ユーザデータは, デジタルデータで, コピー禁止。
0110: ユーザデータは, デジタルデータで, コピー許可。

ここで, 左端のビットは最上位ビットとし, 左から3番目のビットは, コピービットとする。2個のセクションの間 でコピービットは変更できるが, その他の制御領域のビットは, 最短2秒の休止区間(インデックス = 00)又はリードイン領域だけで変更できる。制御領域の他の設定は, オーディオトラックについてだけに適用する(IEC 908参照)。

22.3.2 Qモード領域

Qチャネルの2番目のQモード領域は, セクション内のQチャネルの6〜9番目の4個のビットで構成し, 次に示すQデータ領域の内容を規定する(22.3.3, 22.3.4, 22.3.5参照)。

0001: Qモード1
0010: Qモード2
0011: Qモード3  オーデイオトラックだけに適用

Qモード1の情報は, 連続した10個のセクションの中に9個以上存在する。Qモード2の情報は, 連続した100個のセ クションの中に1個以上存在する。

22.3.3 ユーザデータ領域及びリードアウト領域のQモード1のQデータ領域

Qデータ領域は, セクション内のQチャネルの10番目(最上位ビット)から81番目の72個のビットで構成し, 時間情報を表す。ユーザデータ領域及びリードアウト領域の構成を図16に表す。

図16 ユーザデータ領域及びリードアウト領域のQデータ領域

次に示す各領域は, 4ビットバイトの2進法で表記し, 2けたの10進の数値を示す。領域の内容が数値でなく, 特定のビットパターンの場合は, 16進法で表記する。Qデータ領域の各領域は, 8ビットで構成する。

22.3.3.1 TNO領域

TNO領域は, 各セクションの情報トラックの番号を示す。01〜99のトラック番号は, ユーザデータ領域の情報トラック番号とする。情報トラックの番号は, 連続した番号を用いる。

最初の情報トラックは, 01とする。AAは, リードアウトトラックを表す。

22.3.3.2 インデックス領域

インデックス領域は, 情報トラックを区分するインデックス番号を示す。インデックス00は, セクションの休止区間を示す。休止区間の全長は, インデックスを00に設定したセクションの数とする。インデックス01〜99は, ユーザデータからなる情報トラックを区分するインデックス番号を表す。最初のインデックスは01とし, 連続した番号を用いる。リードアウトトラックのインデックス番号は, 01とする。

22.3.3.3 MIN, SEC及びFRAC領域

この3領域は, 各情報トラック内での経過時間である相対時間をMIN領域は分, SEC領域は秒及びFRAC領域は1/75秒の倍数で00〜74によって表す。

休止区間(インデックス = 00)の初めに, 相対時間は, 休止区間の経過時間に設定する。休止区間が進むに従って相対時間は減少し, 最後のセクションで0とする。情報トラックのユーザデータ部の最初のセクション(インデックス = 01), 及びリードアウトトラックの最初のセクション(インデックス = 01)の相対時間は0に設定し, 各トラック番号が進むに従って増加する。

22.3.3.4 ゼロ領域

この領域の8ビットは, すべて0とする。

22.3.3.5 A-MIN, A-SEC及びA-FRAC領域

この3領域は, ユーザデータ領域の開始からの経過時閻である絶対時間をA-MINは分, A-SECは秒, A-FRACは1/75秒の倍数によって00〜74で表す。この絶対時間は, ユーザデータ領域の最初の情報トラックの最初のセクションで0に設定し, リードアウトトラックの最後まで番号が進むに従って増加する。絶対時間は, 各セクションのディスク上の位置を示し, 番地を表す。

22.3.4 リードイン領域のQモード1のデータ領域

リードイン領域のQチャネルは, ディスク内容に関するテーブルを構成する。各Qデータ領域は, このテーブルの1個の項目を表す。各項目は, 3個の連続したセクションによって, 3回繰り返す。この項目のポインタは, 情報トラックの番号を表し, P-MIN, P-SEC及びP-FRACは, ユーザデータの開始番地(インデックス01の最初のセクション)を±1秒の精度の絶対時間で表す。各項目の制御領域は, ポインタが示す番号の情報トラックの制御領域と同じとする。テーブルの中に, すべての情報トラックに関する項目が順番に3回ずつ続けて記録した後, ポインタA0, A1及びA2に設定した項目を, 3回ずつ繰り返して記録する。リードイントラックでは, このテーブル全体を繰り返し記録する。リードイントラックが終了するとき, テーブルはどこで中断してもよい。リードイン領域のQデータ領域は, 図17のとおりとする。セクション内のQチャネルの10番目のビットは, 最上位ビットとする。

図17 リードイン領域のQデータ

22.3.4.1 TNOの領域

TNOの領域は, リードイン領域を表す00に設定する。

22.3.4.2 ポインタ, P-MIN, P-SEC及びP-FRACの領域

ポインタ領域は, 10進数の01〜99又は16進数のA0, A1及びA2に設定する。00〜99に設定した場含は, 情報トラック番号を表す。この場合のP-MIN, P-SEC及びP-FRACの領域は, この情報トラックのインデックス01の最初のセクションの位置を, 絶対時間で表す。A0に設定した場合, P-MINの領域は, すべて00に設定する。A1に設定した場合, P-MINの領域は, ユーザデータ領域の最後の情報トラックの番号を表し, P-SEC, P-FRACの領域は, すべて00に設定する。A2に設定した場合, P-MIN, P-SEC及びP-FRACの領域は, リードアウトトラックの開始であるリードアウトトラックの最初のセクションの番地を表す。

22.3.4.3 ゼロ領域

この領域の8ビットは, すべて0とする。

22.3.4.4 MIN, SEC及びFRAC領域

この領域で示すリードイン領域の相対時間は, リードイントラックの開始時に任意の値に設定し, トラック番号が進むに従って増加する。

22.3.5 情報領域のQモード2のQデータ領域

Qデータ領域は, ディスクのカタログ番号を表す。この場合の10〜81番目のQデータ領域の72ビットの構成は, 図18のとおリとする。

図18 情報領域のQデータ領域

22.3.5.1 カタログ領域

ディスクのカタログ番号であるN1〜N13は, 国際品番協会EANの標準品番のENA/UPCによる認識番号を2進数で表記した13けたの10進数で表す。カタログ番号は, 1枚のディスク上では同じとする。カタログ番号が必要ない場合は, N1〜N13をすべて0又はQモード2を用いなければ任意とする。

22.3.5.2 ゼロ領域

この領域の12ビットは, すべて0とする。

22.3.5.3 A-FRAC領域

この領域は, 一つ前のセクションのQチャネルのA-FRAC領域に, 1/75秒の倍数で示す絶対時間の次の倍数の絶対時間で表す。

22.3.6 CRC領域

82〜97番目の16ビットで構成するCRC領域は, 制御, Qモード及びQデータ領域にわたり算出したCRCを表す。このCRCは, 反転パリティビットを用いる。CRCの最上位ビットは, Qチャネルの82番目のビットとする。

多項式は, 次の式によって算出する。

G(X) = X16 + X12 + X5 + 1

附属書A (規定) RSPCによるエラー訂正のための符号化


A.1 一般

セクタのエラー訂正符号は, リードソロモン積符号(RSPC)とする。

A.2 入カ

各セクタの12〜2075番目のバイトは, RSPCエンコーダに入力する。これとパリティ領域の2076〜2351番目のバイトは, RSPCの演算のため, 2個の8ビットバイトからなる1170個のワードに配置する。各ワードSは, 2個のバイトBで構成し, 一つのバイトBは, 最上位バイト(MSB)とし, 他は最下位バイト(LSB)とする。n番目のワードS(n)は, 次の式によって算出する。

S(n) = MSB[B(2n + 13)] + LSB[B(2n + 12)]
ここに, n: 0〜1169

RSPCは, 最上位バイトで構成するバイト群及び最下位バイトで構成するバイト群に対してバイト単位で表す。RSPCを適用するバイトの番号は、そのバイトを含むワードの番号と等しい。

A.3 符号化

RSPCは, GF(28)の積符号とし, P及びQパリティバイトを生成する。GF(28)の領域は, 次の多項式によって算出する。

P(X) = X8 + X4 + X3 + X2 + 1
GF(28)の原始根は, α = (00000010)とする。ここで, 右端のビットを最下位バイトとする。

最上位バイトで構成するバイト群及び最下位バイトで構成するバイト群は, 次に示す行列に従って, それぞれ個別に配列する。

43列は, GF(28)の(26, 24)のリードソロモン符号のPベクトルを表す。Np番目のベクトルは, 次のバイトで構成する。

Vp = matrix_a1

24バイトにわたり算出した2個のPパリティバイトを, ベクトルの最後に付加する。Vpは, 次の式を満足する。

Hp×Vp = 0
ここで, パリティチェックのための行列式Hpは, 次の式によって算出する。
Hp = matrix_a2

26行列が, GF(28)の(45, 43)のリードソロモン符号のQベクトルを表す。Qベクトルを, 列で表した場合, 次に示す行列となる。

Nq番目のQベクトルは, 次のバイトで構成する。

Vq = matrix_a3

(44Mq + 43Nq)は, 法1118によって算出する。43ビットにわたって算出した2個のQパリティバイトを, ベクトルの 最後に付加する。

Vqは, 次の等式を満足しなければならない。

Hq×Vq = 0
ここで, パリティチェックのための行列式Hqは, 次の式によって算出する。
Hq = matrix_a4

A.4 出カ

セクタの0〜2075番目のバイトは, RSPCの演算で, その値が変わることはない。A.2によって, 1032〜1169番目のワードのパリティバイトは, セクタの2076〜2351番目に記録する。1032番目のワードの最下位バイトは, セクタの2032番目に, 1169番目のワードの最上位バイトは, 2351番目に記録する。


附属書B (規定) スクランブラ


EFMエンコーダの入力が一定のビットパターンの場合, マージンビットでディジタル総計値を減少できないおそれがある。これを避けるため, スクランブラによって, 規定の方法でセクタの12〜2351番目のバイトのすべてのビットを変換する。スクランブラは, 所定のシフトレジスタの最下位ビットと各バイトの最下位ビット側から入力する各ビットとの間で, 法2の演算を行う。15ビットの同期タイプのシフトレジスタは, 多項式, X15 + X + 1 に従ったビットのフィードバックを行う。

セクタの同期信号の後, レジスタは, 0000 0000 0000 0001に設定する。ここで1は, 最下位ビットとする。


附属書B図B.1 スクランプラ


附属書C (規定) CIRCによるエラー訂正のための符号化


C.1 一般

F1フレームのエラー訂正のための符号化を行うCIRCエンコーダは, 3段の遅延セクション, C1(附属書C図C.1参照)及びC2(附属書C図C.2参照)のエンコーダで構成する。

このCIRCは, IEC 908に準じる。

C.2 入カ

エンコーダの入力は, 各F1フレームの24バイトからなる。各バイトは, それぞれA及びBの二つの8ビットバイトの12ワードに配置する。F1フレーム番号nのバイト0は, W12n, Aと, バイト23は, W12n + 11, Bと表す(附属書C図C.1参照)。

C.3 第1の遅延セクション

第1遅延セクションのインターリブ(附属書C図C.2参照)は, ワードを二つのグループに分割し, 一つのグループは, F1フレーム時間の2倍遅延する。

C.4 エンコーダC2

エラー訂正エンコーダC2は, (28, 24)リードソロモン符号を生成し, 4個のパリティバイトQ(C.7参照)を, 入力の24バイHこ対して出力する。

C.5 第2の遅延セクション

第2遅延セクションは, F1フレーム時間の0〜27D倍28個の遅延の一組からなる。ここで, D = 4 とする。

C.6 エンコーダC1

エラー訂正エンコーダC1は, (32, 28)リードソロモン符号を生成し, 4個のパリティバイトP(C.7参照)を, 入力の28バイトに対して出力する。

C.7 パリティシンボル

C1及びC2エンコーダの8個のパリティバイトP及びQは, 次による。

Hp = Vp = 0
Hq = Vq = 0

ベクトルVp及びVqは, 附属書C図C.3に示すとおりとする。

Hp及びHqの行列式は, 次による。

Hp = matrix_c1
Hq = matrix_c2

GF(28)の領域は, 次の多項式によって生成する。

P(X) = X8 + X4 + X3 + X22 + 1

GF(28)の原始根は, α= (00000010) とする。ここで, 右端のビットは, 最下位ビットとする。

C.8 第3の遅延セクション

第3の遅延セクションは, C2エンコーダからの出力のバイトを, 1個おきにF1フレーム時間の遅延を与える。

C.9 出力

CIRCエンコーダの出力は, 附属書C図C.4に従って, F1フレームに配列する。P及びQバイトのパリティビットは, すべて, エンコーダの出力によって反転する。エンコーダの入力から出力までの最大遅延は, F1フレーム時間の108倍とし, 最小遅延は, F1フレーム時間の3倍とする。


附属書C図C.1 CIRCエンコーダ


附属書C図C.2 CIRCデコーダ


附属書C図C.3 CIRCの行ベクトル


附属書C図C.4 CIRCエンコーダの出力の構成


附属書D (規定) 8/14変換


8ビットバイトの左端のビット及び14チャネルビットバイトの左端のチャネルビットは, 最上位ビットとする。データの流れは, 最上位ビットからとする。


附属書D図D.1


附属書E (規定) マージンビット


二つの1の間に0が2〜10個になるように, 3個のマージンビットを14個のチャネルビットの間に設定する。これを達成するには, 二つのマージンビットで可能になるが, 3番目のビットは, ディジタル総計値(DSV)を最小に抑えるために付加する。ある位置でのDSVとは, ディスクの最初からある位置までのチャネルビットの総計値とする。ラジアルトラッキングの信頼性及びHF信号の交差検知の信頼性を得るには, DSVが可能な限り0に近い値とするのが望ましい。マージンビットは, 次の条件を満たすように設定する。



附属書F (参考) 保存性テスト


本体5.3の保存環境条件に従い, ディスクの保存性を評価する二つの試験方法を示す。

F.1

IEC 68-2-30:1980, 基本環境手順, 第2部, テストD6によって, 周期(12 + 12時間のサイクル), 温度40 ℃ とし, 6サイクル行う。

  参考 この規格は, JIS C 0027[環境試験方法(電気・電子)温湿度サイクル(12 + 12時間のサイクル)試験方法]と対応する。

F.2

IEC 68-2-2:1974, 基本環境手順, 第2部, テストBaによって, 温度55 ℃とし, 96時間行う。

  参考 この規格は, JIS C 0021[環境試験方法(電気・電子)高温(耐熱性)試験方法]と対応する。

F.3

各テストの終了後, ディスクは, この規格のすべての条件を満足しなければならない。

F.4

F.3の条件を満足すれば, 保存期間の経過後, ディスクに記録した情報は, 再生可能といえる。


附属書G (参考) 略語一覧


EFMエンコーデイング: 8-to-14 Encoding

EDC: Error Detttion Code 誤リ検出

ECC: Error Correction Code 誤り訂正

MSB: Most Significant Byte

LSB: Least Significant Byte

TOC: the Tab1e Of Contents ディスク内容一覧

CRC: Cyc1ic Redundancy Check 巡回符号検査

RSPC: Reed-So1omon Product-1ike Code リードソロモン積符号

CIRC: Cross Interleaved Reed-So1omon Code クロスインターリブリードソロモン符号

DSV: Digital Sum Value デジタル総計値

F1フレーム: F1-Frame

F2フレーム: F2-Frame

F3フレーム: F3-Frame

MIN: Minute 分

SEC: Second 秒

FRAC: Frame フレーム

A-MIN: Absolute minute 絶対分

A-SEC: Absolute second 絶対秒

A-FRAC: Absolute frame 絶対フレーム

TNO: Track Number トラック番号