SPDLの一般的体系

この節では、SPDLの一般的体系について述べる。 からまでにおいて、以下この規格に固有のオブジェクトや構造は、固有の名前(太字で示す名前)が付けられる。一方、一般的なオブジェクトは、普通の名前(細字で示す名前)によって表す。

文書処理モデル

. ]]>基本的な文書処理モデルは、に示すとおり、三つのプロセスと二つの文書表現形式によって構成する。 文書処理モデル

Creation and Editing Process generates the character text and graphics which comprise the logical content of the document, and the logical document structure. ]]>作成編集プロセスは、文書の論理内容を構成する文字テキスト及び図、さらに論理文書構造を生成する。 revisable form document. ]]>この情報は、編集可能形式文書として表現する。 Composition and Layout Process formats the character text and graphics contained in the revisable form document for presentation, and incorporates the composition and layout decisions in a final form document. ]]> 組版割付けプロセスは、編集可能形式文書に含まれる文字テキスト及び図を提示用に書式化し、最終形式文書中の組版と割付けに関する決定を具体化する。 Presentation Process renders the final form document in visible form. ]]>提示プロセスは、最終形式文書を目に見える形にする。 これらのプロセスについて、順次詳しく述べる。 このモデルは、都合により、大幅に単純化してある。 実際の文書処理では、通常何回も反復が行われる。 編集可能形式文書は、校正刷り用に書式化され、組版割付けプロセスの結果は評価用に提示されなければならない。 さらに、多くのアプリケーションは複数のプロセスを含んでいる。 文書編集システムは、しばしば文書プレビュー用の組版割付けプロセス及び提示プロセスを含んでいる。一方、幾つかのプリンタは、提示プロセスに組版割付けプロセスを結び付けている。

作成編集プロセス

作成編集プロセスは、文書の論理構造及びその内容を構成する文字テキスト及び図の生成を分担する。 作成編集プロセスは、組版割付けプロセスが提示用に文書内容をどのように書式化すべきかを指定する情報を生成してもよい。

編集可能形式文書

編集可能形式文書は、作成編集プロセスによって生成された文書の論理的な内容及び構造を表現する。 これはまた、作成編集プロセスが生成し、文書内容を提示用にどのように書式化すべきかを指定する一切の情報をも含む。

組版割付けプロセス

組版割付けプロセスは、文書の文字テキストを組版し、図形要素を書式化し、さらに組版された文字テキスト及び図を、提示用に割付けする。 すべての組版、書式化及び位置決めに関する決定は、組版割付けプロセスが行う。 これらの決定は、次のものを含む。

組版割付けプロセスに指示を与える書式指定は、編集可能形式文書の一部分であってもよく、その文書から分離されていてもよい。 &isoiec10179;は、編集可能形式文書とは分離した形で書式指定を与えるための一つの形式を定義している。

組版割付けプロセスに対する入力は、編集可能形式文書及び書式指定に加えて、最終形式文書に組み込むべき書式化済み要素を含んでいてもよい。

最終形式文書

最終形式文書は、組版割付けプロセスによって決定された、組版、書式化、及び位置決めの結果を表現する。 文書の論理的な構造、書式指定、又はそれらの決定の目的を表現する必要はない。

提示プロセス

提示プロセスは、文書を適当な媒体上に可視化することによって、その提示を行う。 提示プロセスはまた、文書提示の一部である任意の仕上げ処理(例えば化粧裁ち、ステープル処理、製本処理など)をも実行する。

SPDL文書

SPDLは、最終形式文書の形式とする。 それは、組版割付けプロセスによって行われた決定を効率よく表現するための手段を提供する。 SPDLは、文書の論理的な構造を表現するための手段を提供するものではない。

SPDL文書の供給元

編集可能形式文書への組版割付けプロセスの適用が、 SPDL文書の主な供給元となる。 これに加えて、SPDL文書は、次に示す処理によって生成されてもよい。

SPDL文書提示

SPDL文書は、組版割付けプロセスによって指定された理想的な像を表現する。 組版割付けプロセスによって指定された記述を可能な限り近似できるよ うに文書の可視化処理を提示装置の制約に適合させることは、SPDL提示 プロセスの分担とする。

SPDL文書は、異なった時刻及び/又は場所において、何度も提示されてよい。 このため、特定の提示に固有なパラメータにも対処できなければならない。 Document Production Instructions. ]]>これらのパラメータは、文書作製命令によって指定する。

文書作製命令は、SPDL文書の一部分として提示プロセスに伝えてもよく、別の機構によって利用可能にしてもよい。 文書の一部分ではない文書作製命令を提示プロセスで利用できるようにする方法は、この規格の適用範囲外とする。

SPDL文書の用途

SPDL文書の主要な用途は、SPDL提示プロセスへの入力として用いることとする。 これに加えて、SPDL文書は、文書内容中の書式化済み部分を表現するために使ってもよい。 そのような予め書式化された文書内容は、他の文書中に組み込むために組版割付けプロセスへの入力として使ってもよい。

SPDL文書体系

structure and content. ]]>SPDL文書は、構造及び内容をもつ。 構造は、内容を分離可能な部分に組織化し、各々の部分のための資源要求を識別する。 構造は、自己完結しており、内容を処理することなく処理することができる。

内容は、ページ記述言語の形式をとり、ページ像をどのように生成するかを指定する。 内容の処理は、構造の処理に依存する。構造の処理は、内容の処理を可能にするための文脈を構築する。

提示プロセスは、フォント又は格納されたSPDL文書の一部分等、SPDL文書から参照しうる付加的データのさまざまな供給元を利用可能にしてもよい。 environment of the Presentation Process. ]]>そのようなデータ全体を総称して、提示プロセスの環境と呼ぶ。

文書構造

文書構造は、文書を、より小さな部分へと繰り返し分割した結果とする。 structure elements. ]]>その結果として得られる各部分を構造要素と呼ぶ。 . ]]>文書構造の例をに示す。 文書構造の例

文書構造は階層的とする。 その最上位の構造要素を文書構造要素とする。 文書構造要素は下位のページ集合構造要素及び/又はページ構造要素を含んでもよい。

ページ集合構造要素は再び下位のページ集合構造要素及び/又はページ構造要素を含んでもよい。 ページ構造要素は、提示媒体の単一の実現値の上に提示される文書のその部分についての記述を含む。

ページ構造要素は、下位のピクチャ構造要素及び/又はトークン列構造要素を含んでもよい。 ピクチャ構造要素は、下位のピクチャ構造要素及び/又はトークン列構造要素を含んでもよい。 トークン列構造要素は、文書内容を含む構造要素とする。

文書構造要素及びページ構造要素は、意味的には区別されるが構文的には区別されない。 単に構造の階層中で最上位水準にあるページ集合構造要素又はピクチャ構造要素を文書構造要素とする。 同様に、単にピクチャ構造要素の階層中で最上位水準にあるピクチャ構造要素をページ構造要素とする。

文書の小部分への分割を表現することに加えて、文書構造は、次のことを支援する。

文書提示以外の目的でSPDL文書構造を処理するプロセス(例えば、他の文書への組み込みを目的としてピクチャ構造要素を抽出する組版割付けプロセス、又は、一つのシートに複数の画像を結び付けることにより新たな文書を生成する面付けプロセス)は、この規格の適用範囲外とする。

文書内容

content of a document is the data contained in TOKENSEQUENCE structure elements. ]]>トークン列構造要素に含まれるデータを文書の内容とする。 tokens. ]]>各トークン列構造要素の中の文書内容は、トークンの並びからなる。 文書内容処理は、各トークン列構造要素中のトークンの並びを解釈していくことからなる。 トークンを解釈するプロセスの全体を、仮想状態機械としてモデル化する。

外部構造要素

External Structure Element is a structure element which is included in an SPDL document by reference. ]]>参照によってSPDL文書中に包含される構造要素を、外部構造要素とする。 参照によって外部構造要素を包含するSPDL文書は、それを外部宣言構造要素中で宣言しなければならない。

資源

resource is an information object which is available in the environment of the Presentation Process. ]]>提示プロセスの環境内において利用可能な情報オブジェクトを資源とする。 資源は、この規格の規定に従って定義してもよく、この規格の適用範囲外のプロセスを用いて提示プロセスの環境中で利用可能にしてもよい。 資源は、SPDL文書内容中で参照によって利用してもよい。 資源を参照するSPDL文書は、それを資源宣言構造要素中で宣言しなければならない。

文書提示

SPDL文書は、文書構造及び文書内容から構成され、またこれらのデータは分離可能であるため、提示プロセスはそれぞれ構造及び内容を別々に処理する副次的プロセスを含むものとしてモデル化できる。 Structure Processor and the Content Processor respectively. ]]>この規格では、これらの処理は、それぞれ構造プロセサ及び内容プロセサとして参照する。 Marking and Finishing Process which renders the page images on the medium and performs any document finishing processes. ]]>提示プロセスはまた、媒体上にページ像を可視化し文書仕上げプロセスを実行するマーク付け仕上げプロセスを含む。 ). ]]>(参照。) SPDL提示プロセス 構造処理と内容処理は、論理的に分離可能なプロセスであるが、提示プロセスの実装において別々のプロセスとして存在する必要はない。 唯一必要なのは、SPDL文書の提示が、この規格で規定している通りの結果をもたらすこととする。

文書構造処理は、SPDL文書の構造要素、構造要素の型、構造要素間の階層的な関係、及び提示順序を解析することからなる。 構造処理は、提示のために次のことも行う。

  • 文書作製命令間の相互作用を解決する。
  • 文書作製命令をSPDL文書の適当なページ集合構造要素及びページ構造要素に適用する。
  • トークン列構造要素の解釈文脈を構築する。

through . ]]>文書内容処理は、各々の内容要素を意味表現と交換形式中のトークンの列として解釈すること、及び、からで規定する通り、それらのトークンを処理することからなる。

文書提示は、エラーメッセージや警告の生成を含む提示プロセスの手段のすべてを含む。

表現交換様式

and . ]]>SPDL文書は、及びで定義する表現交換様式を用いて交換する。 表現交換様式は、2進形式と平文形式の二つの形式、及び、構造表現交換様式と内容表現交換様式の二つの部分をもつ。 内容表現交換様式の2進形式は、構造表現交換様式の2進形式と共に使用する。 内容表現交換様式の平文形式は、構造表現交換様式の平文形式と共に使用する。

構造表現交換様式の2進形式は、&isoiec8825;で規定する基本符号化規則によって符号化した、&isoiec8824;で規定する抽象構文記法1(ASN.1)を用いる。 構造表現交換様式の平文形式は、 ISO/IEC 646 IRV により符号化した、ISO 8879で規定する文書記述言語(SGML)を用いる。

内容表現交換様式は、2進及び平文形式のそれぞれについて、コンパクト化と効率化のために最適化された特別な符号化を用いる。

印刷サービスとの関係

SPDL文書を印刷する能力をもつ印刷サービスは、その一部としてSPDL提示プロセスをもつ。 この節では、このような印刷サービスと、組み込まれたSPDL提示プロセスとの関係について述べる。

文書作製命令

印刷サービスがSPDL文書を印刷する場合、その印刷操作パラメータは、文書の可視化及び提示に影響を与えるパラメータを含んでいてもよい。 このようなパラメータは、補足DPIと呼ばれる文書作製命令を指定する。 印刷サービスの実装は、SPDL提示プロセスからSPDL文書及び補足DPIを 利用できるようにする処理を分担する。

SPDL提示プロセスは、特定の提示に関連する補足DPIとして与えられた文書作製命令と、SPDL文書内に含まれている文書作製命令との間の相互作用を解決する。 . ]]>この関係をに示す。 SPDL文書とDPAプリントサービスとの関係

ISO/IEC 10175との関係

ISO/IEC 10175は、標準的な(抽象)印刷サービスを提供する標準文書印刷アプリケーションを規定する。 文書の印刷は、一つの文書及び印刷操作パラメータの集合を伴った印刷操作を起動することによって行う。

ISO/IEC 10175で規定する印刷操作パラメータは、印刷ジョブ管理命令と文書作製命令からなる。

印刷ジョブ管理命令は、SPDL文書の提示には影響しない。 しかし、すべてではないが、ISO/IEC 10175で定義する文書作製命令の幾つかは、SPDL提示プロセスに適用できる。

ISO/IEC 10175印刷ジョブ管理命令の意味、及びISO/IEC 10175印刷操作パラメータとして現われうる文書作製命令の一般的な意味は、ISO/IEC 10175で規定する。 ISO/IEC 10175印刷操作パラメータとして現われることができ、かつSPDL文書の提示に適用できる文書作製命令が、SPDL文書の提示に使用された場合の特有の意味については、この規格で規定する。