JIS X 0607:2001    
(ISO/IEC 13346-2,3,4:1999)

非逐次記録を用いる追記形及び書換形の情報交換用媒体の
ボリューム及びファイルの構造 追補1
解説



  この解説は,本体及び附属書に規定した事柄,並びにこれらに関連した事柄を説明するものであって,規格の一部ではない。


1. 制定の趣旨

1.1 制定の趣旨

最近の主要なオペレーティングシステムは, ファイルストリームをサポートしている。そこで, ISO/IEC 13346:1995のファイルシステムにおいてもファイルストリームのサポートへの要求が高まり, その充足のために, ISO/IEC 13346-2, 3, 4(Information technology -- Volume and file structure of write-once and rewritable media using non-sequential recording for information interchange -- Part 2: Volume and boot block recognition, Part 3: Volume structure, Part 4: File structure)が発行された。

ISO/IEC 13346:1999に基づくUDF(Universal Disk Format) Revision 2.00[1]は, その後, DVD ForumによってDVDのボリューム構造及びファイル構造に採用されている。

1.2 追補による制定

原規格ISO/IEC 13346-2, 3, 4のDIS投票に際して, 情報規格調査会の技術委員会は"対応するJISの制定, 改正"について, 追補として制定することを回答した。それは次の理由による。

a) 原規格はその改正部分が軽微であり, 本来ならTechnical Corrigendaとして発行される内容であった。しかし, この原規格が提出されたときには, 第1版の開発を行ったJTC1/SC15が解散しており, その担務が未だどのSCにも引き継がれていなかったため, Technical Corrigendaの手続きを実行する組織がなかった。そこでFast Track手続きが採用され, JTC1によるDIS(Draft International Standard)投票が行われた。

b) 原規格の第1版に対応するJIS X 0607-1996は, 原規格のPart 1〜5を1冊にまとめて要約JISとしている。当時はまだ要約方法に関する指針が示されていなかったため, JIS X 0607-1996は, 原規格の全節を要約している。原規格の改正に対応するこの要約の改正部分は, 極めて軽微である。


2. 制定の経緯

OSTA(Optical Storage Technology Association)は, CD-R/RW対応のUDF Revision 1.50[2](1997-02)を公表し, 引き続いてWindows NT対応のUDF Revision 2.00(1998-04)を発表した。UDF Revision 2.00の開発に際して必要になった複数データストリームファイルに関するISO/IEC 13346の拡張に対処するため, まずECMAが, ISO/IEC 13346:1995に対応するECMA 167 2nd Editionを改訂して, ECMA 167 3rd Editionを発行した。

ECMAはこれをISO/IEC JTC1にFast Track手続きによって提出し, JTC1によるDIS投票が1998年7月を期限として行われた。その結果, DISが承認され, ISO/IEC 13346-2:1999, 13346-3:1999及び13346-4:1999が発行された。

ISO/IEC 13346:1995に一致する日本工業規格JIS X 0607-1996の原案作成を行った財団法人光産業技術振興協会の光ディスク標準化委員会 フォーマット分科会は, ISO/IEC 13346の第2版についてもJIS化の作業に着手し, DIS投票に際しての情報規格調査会の技術委員会の回答に従って, JIS追補として原案作成を行い, 2000年10月に工業技術院に原案を提出した。


3. 変更の概要

3.1 要約記述

この追補の要約記述は, 原規格の次の各Annexに示された内容の翻訳(全訳)とした。

解説表3.1 要約記述

この追補の要約記述 対応する原規格の記述
1. JIS X 0607-1996 第2部に対する変更ISO/IEC 13346-2:1999, Annex A, Changes from ISO/IEC 13346-2:1995 to this second edition
2. JIS X 0607-1996 第3部に対する変更ISO/IEC 13346-3:1999, Annex A, Changes from ISO/IEC 13346-3:1995 to this second edition
3. JIS X 0607-1996 第4部に対する変更ISO/IEC 13346-4:1999, Annex B, Changes from ISO/IEC 13346-4:1995 to this second edition

3.2 ストリームディレクトリ

この追補が要約記述であるため, その本体に明示的に現れていないISO/IEC 13346-4:1999の9.2のストリームディレクトリに関する規定を次に示す。

ファイル内のすべてのデータストリームは, ストリームディレクトリによって識別される。ストリームディレクトリを記述するICBは, 拡張ファイルエントリ(4/14.17.19参照)内のストリームディレクトリICBエントリによって識別される。ストリームディレクトリは, ファイル内の各ストリームを識別するファイル識別記述子(4/14.4参照)の集合を含む。

ディレクトリ内の記述子は, 次のとおりとする。

ストリームディレクトリは, 図4/5(原文参照)のスキーマに従って記録する。


4. 審議中に特に問題となった事項

4.1 訳語

この追補においては, JIS X 0607-1996との整合のため, そこで採用している訳語をそのまま用いた。

4.2 翻訳表記上の規則

この追補は, 原則として原規定の表記に従っているが, JISの体裁への整合のため, 次の点に留意し修正を行った。

a箇条内容は, a), b), ...を前置した順序付きリストとする。
bword間スペースは, 翻訳においては除去する。


5. 参考文献

[1] Universal Disk Format(UDF) Specification Revision 2.00, OSTA, 1998-04-03
備考 TR X 0035:2000 ユニバーサルディスクフォーマット(UDF) 2.00 が, この規定に一致している。

[2] Universal Disk Format(UDF) Specification Revision 1.50, OSTA, 1997-02-04
備考 TR X 0039:2001 ユニバーサルディスクフォーマット(UDF) 1.50 が, この規定に一致している。


6. 原案作成委員会

この追補の原案は,財団法人光産業技術振興協会に設置された光ディスク標準化委員会のフォーマット分科会で作成され,光ディスク標準化委員会のレビューを受けた。これらの委員会の委員構成を, それぞれ解説表6.2及び解説表6.1に示す。

解説表6.1 光ディスク標準化委員会の構成
氏名所属
(委員長)板生 清東京大学
(副委員長)小町 祐史松下電送システム株式会社
石井 正則日本電気株式会社
土屋 洋一三洋電機株式会社
吉岡 誠富士通株式会社
増井 久之財団法人マルチメディアソフト振興協会
木目 健次朗三菱電機株式会社
入江 満三菱電機株式会社
八田 勲通商産業省工業技術院
横川 文彦パイオニア株式会社
菅谷 寿鴻株式会社東芝
入江 英之株式会社東芝
高橋 正彦株式会社日立製作所
徳丸 春樹日本放送協会
田辺 隆也日本電信電話株式会社
応和 英男ソニー株式会社
松林 宣秀オリンパス光学工業株式会社
戸島 知之NTTインテリジェントテクノロジ株式会社
三和 邦彦日本アイ・ビー・エム株式会社
村上 善照シャープ株式会社
山田 昇松下電器産業株式会社
金沢 安矩
橋本 進財団法人日本規格協会
(事務局)増田 岳夫財団法人光産業技術振興協会
杉森 輝彦財団法人光産業技術振興協会
田辺 正剛財団法人光産業技術振興協会

解説表6.2 光ディスク標準化委員会 フォーマット分科会の構成
氏名所属
(統括)小町 祐史松下電送システム株式会社
(副統括)八谷 祥一株式会社アプリックス
(副統括)高橋 正悦株式会社リコー
石井 正則日本電気株式会社
伊藤 精悟株式会社東芝
工藤 芳明大日本印刷株式会社
後藤 芳稔松下電器産業株式会社
沢田 要川鉄情報システム株式会社
徳丸 春樹日本放送協会
徳光 健司株式会社日立製作所
中根 和彦三菱電機株式会社
八田 勲通商産業省工業技術院
吉岡 誠富士通株式会社
(事務局)増田 岳夫財団法人光産業技術振興協会
松川 茂樹財団法人光産業技術振興協会