JIS X 4153:2002
(ISO/IEC 10179:1996/Cor.1:2001)

文書スタイル意味指定言語 (DSSSL) 追補1 解説



この解説は,本体及び附属書に規定した事柄,並びにこれらに関連した事柄を説明するものであって,規格の一部ではない。


1. 制定の趣旨

ISO/IEC 10179:1996の発行の後, JIS化のための翻訳が行われると共に, 幾つかのシステムにDSSSLが実装された。それによって規定内容の詳細が再検討され, UK, 日本から訂正・拡張の要求[1], [2], [3]が提出された。原規格のISO/IEC 10179:1996/Cor.1:2001の内容は, これらの訂正要求に基づく。

日本からの訂正要求の中で, JIS化の検討の際に明らかになった, 議論の余地のない訂正については, 既にJIS X 4153:1998の中に反映されている。その結果, JIS X 4153の何人かの読者から, ISO/IEC 10179の記述と異なるJIS X 4153の記述について, 翻訳の誤りではないかとの問合せをいただいた。

そこで, この追補1ではCor.1をその記述のまま翻訳し, 既にJIS X 4153に反映済みの訂正項目に関しては, 参考としてその旨を明らかにすることによって, JIS X 4153の読者の混乱を軽減する。このCor.1が発行された段階で, (財)日本規格協会の情報技術標準化研究センター(INSTAC)に設けられた"文書処理及びフォントの標準化調査研究委員会"(DDFD)は, 経済産業省からの要求に応じて, JIS化への検討を開始した。Cor.1を翻訳し, JIS X 4153追補1原案が作成され, 2002年5月に経済産業省に提出された。

2. 制定の経緯

ISO/IEC JTC1/SC34は, UK, 日本からの訂正・拡張の要求[1], [2], [3]をレビューし, 要求課題をCor.1として扱う課題とそれ以外の課題(Amd.1の課題, 今後の検討課題)とに分類[4]して, Cor.1の原案[5]作成を行った。

原案は投票で承認され, 2000年12月にJTC1/SC34は, 投票コメントに対する対処方針[6]を承認して, それに従った最終テキストを提出することをエディタに指示した。

このCor.1に含まれなかった, ISO/IEC 10179:1996に対する幾つかの要求課題については, Amendment 1(Amd.1)の中で扱うことがJTC1/SC34において検討されている。


3. 審議中の主要検討課題

3.1 訂正項目の表記

原規格のISO/IEC 10179:1996/Cor.1:2001は, 訂正項目に対して順序付けしていないが, この追補1では, 見易さを考慮して, a), b), c), ...の順序付き箇条として訂正項目を示している。

3.2 JIS X 4153に対する正誤票

JIS X 4153:1998に対しては, 制定後の原案委員会でのレビュー, 読者からの問合せ等によって誤りが明らかになり, 正誤票を発行した。追補1を読む際の参考として, 正誤票内容の主要部分を解説表1及び解説表2に示す。

解説表1 訳文, 訳語の訂正
連番位置1位置2
(1)9.6p.88, 行8 リテラルの関連リテラルとの関連
(2)9.6p.90, 行29 総称識別子共通識別子
(4)9.6p.104, 行8 原始要素型ソース要素型
(5)9.6p.105, 行5 原始要素型ソース要素型
(6)9.6p.105, 行10 原始要素型結果要素型
(7)9.6p.108, 行11 入手不能標識利用不可テキスト指示子
(8)9.6p.108, 行17 公開文言語公開テキスト言語
(9)9.6p.108, 行21 公開文指定順序公開テキスト指示順序
(10)9.6p.108, 行25 公開文表示版公開テキスト表示版
(11)10.3.3p.135, 行16 原始手続きプリミティブ
(12)12.4.7p.161, 行24 参照と垂直位置とが同じに制約 参照と同じ垂直位置に制約
(13)12.4.7 a), 2), 備考p.162 領域を基準に, 直前, 同じ, 次のページ, さらにその次のページのいずれかにあると制約される。 領域の最初のページ, その直前のページ, 最初のページの次のページ, さらにその次のページのいずれかにあるとの制約を受ける。
(14)12.5.4.1p.167 基本公称
(15)12.5.4.1p.167 名目公称
(16)12.5.4.1p.167 最小, 基本, 最大のそれぞれのサイズの値最小, 公称及び最大のサイズの値
(17)12.5.4.1p.167 最小, 名目, 最大サイズを使用し最小, 公称及び最大のサイズを使用し
(18)12.5.4.1p.167 基本サイズ, 最大サイズの小さい方,最小サイズの大きい方をそれぞれ使用する。 公称サイズ,最大サイズの小さい方, 及び最大のサイズの大きい方を使用する。
(19)12.5.4.1p.167 双方がforceであった場合, 名目値, 最小値, 最大値はそれぞれ加えられる。 どちらもforceであった場合, 公称値, 最小値及び最大値は加え合さられる。
(20)12.6.4, d)p.175, 行26 最後最初
(21)12.6.5, a)p.179, 行16 特性特質
(22)12.6.6, f)p.189, 行25 表示大きさ行外サイズ
(23)12.6.15, ab)p.213, 行23 行外行内
(24)12.6.16, ab)p.217, 行12 行外行内

解説表2 訳語の揺れの訂正
連番位置1位置2
(1)目次, 10.2.4 核照会言語中核照会言語
(2)8.1p.25, 行35 静的スコープ静的適用範囲
(3)8.5.9.5p.59, 行12 有効言語現言語
(4)8.5.9.6p.59, 行26 有効言語現言語
(5)10.2.4p.127, 行37 核照会言語中核照会言語
(6)12p.143 問い合せ言語照会言語
(7)12.3.1, 図5p.147
(8)12.3.2, 図13p.151 そろ(揃)え並び
(9)12.3.4, 図14p.152 そろ(揃)え並び
(10)12.6.4.1, 図15p.177
(11)解説, 3.3, 3)p.257, 行14 核照会言語中核照会言語
(12)解説, 3.3, 3)p.257, 行14 核式言語中核式言語


4. 参考文献

[1] ISO/IEC JTC1/SC18/WG8 N1883, Proposal for TC for ISO/IEC 10179, 1996-11

[2] ISO/IEC JTC1/SC18/WG8 N1918, Error Report for ISO/IEC 10179:1996(DSSSL), 1997-05

[3] ISO/IEC JTC1/SC34 N0153, Defect Report on DSSSL (ISO/IEC 10179:1996), 2000-05

[4] ISO/IEC JTC1/SC34/WG2 N43, Discussion on the Defect Reports to DSSSL, 2000-06

[5] ISO/IEC JTC1/SC34 N0157, Proposed Technical Corrigendum to ISO/IEC 10179:1996, 2000-06

[6] ISO/IEC JTC1/SC34 N0191, Disposition of comments on SC34 N0157: Proposed Technical Corrigendum 1 to ISO/IEC 10179:1996, 2000-12


5. 原案作成委員会

原案作成委員会である(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の"文書処理及びフォントの標準化調査研究委員会"(DDFD)は, 学識経験者, メーカ及び利用者で構成され, その委員会の中に実際の翻訳作業を行う作業グループ1(DDFD-WG1)が設置されている。それらの構成員を解説表3及び解説表4に示す。

解説表3 文書処理及びフォントの標準化調査研究委員会 構成表
氏名 所属
(委員長) 池田 克夫 大阪工業大学
(幹事) 鯵坂 恒夫 和歌山大学
(幹事) 小町 祐史 松下電送システム株式会社 (SC34専門委員会委員長)
安達 淳 株式会社沖データ
内山 光一 株式会社東芝
小笠原 治 社団法人日本印刷技術協会
高沢 通 大日本スクリーン株式会社
高橋 亨 株式会社日立製作所
岩田 悟志 経済産業省商務情報政策局
木戸 達雄 経済産業省産業技術環境局
大久保 彰徳 株式会社リコー
宮本 義昭 日本ユニシス株式会社
(オブザーバ) 高橋 昌行 経済産業省産業技術環境局
(事務局) 内藤 昌幸 財団法人日本規格協会

解説表4 作業グループ1(DDFD-WG1) 構成表
氏名 所属
(主査) 小町 祐史 松下電送システム株式会社 (SC34専門委員会委員長)
(幹事) 内山 光一 株式会社東芝
(幹事) 高橋 亨 株式会社日立製作所
安達 淳 株式会社沖データ
今郷 詔 株式会社リコー
小笠原 治 社団法人日本印刷技術協会
奥井 康弘 株式会社日本ユニテック
内藤 求 株式会社シナジーインキュベート
内藤 広志 大阪工業大学
海田 茂 ネクストソリューション株式会社
渡部 賢一 財団法人日本規格協会
(オブザーバ) 浅利 千鶴 浅利会計事務所
大久保 彰徳 株式会社リコー
高橋 昌行 経済産業省産業技術環境局
(事務局) 内藤 昌幸 財団法人日本規格協会