JIS X 4157:2002
SGML応用 — トピックマップ
解説
この解説は,本体及び附属書に規定した事柄,並びにこれらに関連した事柄を説明するものであって,規格の一部ではない。
ウェブの普及によって, ウェブ環境には大量のハイパ文書が蓄えられている。それらの文書へのアクセスを容易することは, ウェブ利用者にとっての大きな要求課題であり, 既にさまざまな対応が検討されている。
その一つの方策として, ハイパリンクをもつ電子文書においてインデクス対象を一貫性をもって記述し, 関連する文書セット及びそこでのインデクス対象としての共通トピックを識別するための体系形式を規定し,関連するトピック間の関係を規定するというアプローチが, 1994年から始まったGCA(Graphic Communications Association)の"Conference on the Application of HyTime"において, トピックナビゲーションマップという名称で行われてきた。
日本のJTC1/SC18/WG8(後のJTC1/SC34)関係者は, この技術の重要性に着目し, 当時からこのConferenceに参加して,動向を把握してきた。議論に際しては, 市販のHyTimeエンジンを内蔵した処理系(EnLIGHTen)による動作確認が行われ, 実装を前提とする規定内容の検討が続けられた。
この規定内容は, JTC1/SC18/WG8に提案され, さらにJTC1/SC34に引き継がれて, 2000年1月にISO/IEC 13250として制定された。
これらの国際及び国内の技術動向を踏まえ, 通商産業省(当時)の工業技術院は, (財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)に対して2000年度の活動として, ISO/IEC 13250のJIS化作業を委託した。INSTACでは"文書処理及びフォントの標準化調査研究委員会"(DDFD)がこの作業を担当し, 2001年8月に原案を提出している。
ISO/IEC JTC1におけるトピックマップの検討は, 1996年のNP/CD投票によって開始された。その投票の結果, JTC1/SC34/WG8にプロジェクトが設立され, 1999年2月期限のFCD投票では, 多くのコメントが各国から提出された。
1999年4月のJTC1/SC34会議では, FCD投票のコメントをレビューし, 対処文書を承認している。日本のコメントはすべて受理され, 新テキストに反映されることになった。新テキストに対するFDIS投票は, 1999年11月期限で行われ, 承認されてた。
ISO/IEC 13250については, 発行された後もSC34において議論が続けられ, 技術訂正の発行が検討[1]されている。そこには, このJISの作成に際して明らかになった問題点の指摘[2], [3]が含まれている。
訳語選定に際しては,トピックマップがその構文として引用しているJIS X 4155:1999 ハイパメディア及び時間依存情報の構造化言語(HyTime)に使用している訳語及びSGML関連規格において使用している訳語との整合を配慮した。
この規格で採用した主な訳語(3. 定義に示す用語は除く。)を次に示し, 今後の関連規定の作成等に際しての参考とする。
原語 | 訳語 |
addressing mechanism | 番地付け機構 |
architectural form | 体系形式 |
attribute | 属性 |
characteristic | 特質 |
characterize | 特徴付け |
delivery platform | 配布基盤 |
facility | 機能 |
feature | 機能 |
generic identifier | 共通識別子 |
identity | 識別性 |
instance | インスタンス |
meta-DTD | メタDTD |
property | 特性 |
render | レンダリングする |
scheme | 方式 |
top name | トップ名 |
valid | 有効な |
variable link | 可変リンク |
原規格(Web版)は, HTMLの1ファイルで構成されている。JIS原案作成に際しては, まえがき, 目次, 規格本体, 及び附属書をそれぞれ独立したファイルとして再構成し, ページ境界を付けていると共に, 附属書の後にこの解説を配置している。
規格本体においては, 原規格のIntroductionを0. 導入とし, 以降の節番号に関してISO/IEC 13250とJIS X 4157との一致を保っている。
原規格には, 微妙な英語表記が使われていて, 翻訳によってはその意味を充分に伝えきれない可能性がある。そこで, 原規格の5.をそのまま附属書1として附属書Bの後に配置した。
この規格は, 原則として, 原規格(Web版)のHTMLタグを保存することにしたが, 次の点に留意しタグの修正等を行った。
a) | 箇条内容は, a), b), ...を前置した順序付きリストとする。 |
c) | word間スペースは, 翻訳においては除去する。 |
d) | 日本語表現上意味のない括弧は, 翻訳に際して削除する。 |
この規格には, 抽象的記述が多用され, 必ずしも容易に理解できる規定内容ではない。内容理解に役立つ関連規定として, XMLに基づくトピックマップ[4]がTopicMaps.Orgから公表されている。それは, 既に翻訳されて, 標準情報 TR X 0057:2002[5]として公表されているので, 併せて参照されることを推奨する。
[1] JTC1/SC34 N0220, Defect Report on Topic Maps (ISO/IEC 13250:2000), 2001-05-24
[2] JTC1/SC34 N0238, Defect Report on ISO/IEC 13250:2000, 2001-08-07
[3] JTC1/SC34 N0239, Response to the defect Report on ISO/IEC 13250:2000, 2001-08-11
[4] XML Topic Maps (XTM) 1.0, TopicMaps.Org, 2001-08
[5] TR X 0057:2002, XMLトピックマップ(XTM) 1.0
原案作成委員会である(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の"文書処理及びフォントの標準化調査研究委員会"(DDFD)は, 学識経験者, 生産者及び利用者で構成され, その委員会の中に設置された作業グループ1(DDFD-WG1)が翻訳作業を行った。それらの構成員を次に示す。
氏名 | 所属 | |
---|---|---|
(委員長) | 池田 克夫 | 京都大学 |
(幹事) | 鯵坂 恒夫 | 和歌山大学 |
(幹事) | 小町 祐史 | 松下電送システム株式会社 (SC34専門委員会委員長) |
安達 淳 | 株式会社沖データ | |
内山 光一 | 株式会社東芝 | |
小笠原 治 | 社団法人日本印刷技術協会 | |
高沢 通 | 大日本スクリーン株式会社 | |
高橋 亨 | 株式会社日立製作所 | |
加藤 幸司 | 凸版印刷株式会社 | |
窪田 明 | 経済産業省機械情報産業局 | |
木戸 達雄 | 経済産業省産業技術環境局 | |
大久保 彰徳 | 株式会社リコー | |
宮本 義昭 | 日本ユニシス株式会社 | |
(オブザーバ) | 高橋 昌行 | 経済産業省産業技術環境局 |
(事務局) | 内藤 昌幸 | 財団法人日本規格協会 |
氏名 | 所属 | |
---|---|---|
(主査) | 小町 祐史 | 松下電送システム株式会社 (SC34専門委員会委員長) |
(幹事) | 内山 光一 | 株式会社東芝 |
(幹事) | 高橋 亨 | 株式会社日立製作所 |
安達 淳 | 株式会社沖データ | |
今郷 詔 | 株式会社リコー | |
小笠原 治 | 社団法人日本印刷技術協会 | |
奥井 康弘 | 株式会社日本ユニテック | |
内藤 求 | 株式会社シナジーインキュベート | |
内藤 広志 | 大阪工業大学 | |
海田 茂 | ネクストソリューション株式会社 | |
萩野 剛二郎 | 電気通信大学 | |
渡部 賢一 | 財団法人日本規格協会 | |
(オブザーバ) | 浅利 千鶴 | 浅利会計事務所 |
大久保 彰徳 | 株式会社リコー | |
高橋 昌行 | 経済産業省産業技術環境局 | |
(事務局) | 内藤 昌幸 | 財団法人日本規格協会 |