日本工業規格 JIS X 4159:2002

拡張可能なマーク付け言語 (XML)
解説


1. 制定の趣旨

XML(Extensible Markup Language) 1.0は,World Wide Web Consortium (W3C)によって1996年11月に最初の案が発表され,1998年2月にW3C勧告として制定された。2000年10月には,正誤票を取り入れたSecond Editionが発行された。現在,XML 1.0は世界的に普及しており,HTML(JIS X 4156)の発展形であるXHTML(TR X 0037)もXML 1.0に基いている。そこで,XML 1.0を国内においてさらに普及させるために,JIS規格を制定することにした。


2. 制定の経緯

財団法人 日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)のマルチメディア/ハイパメディア調査 研究委員会, 高速Webにおける標準化に関する調査研究委員会及び次世代コンテンツ調査研究委員会は,1996年からXML 1.0に注目し,原案及び勧告案の翻訳 及びW3Cへのコメント提出を行ってきた。初期には, 1996年11月版の原案,1997年3月版の原案,1997年12月版の勧告案を翻訳して公開した。1997年8月には,WG主査がW3C XML作業グループに加入した。1997年12月版の翻訳は,TR X 0008:1998として,1998年5月1日に公表した。1999年3月には,W3C勧告(1998年2月)に対応した改正版であるTR X 0008:1999を公表した。

次世代コンテンツ調査研究委員会は,経済産業省産業技術環境局からの委託を受けて2001年度の活動として,その作業グループ(WG2)において,XML 1.0の翻訳及びW3Cへのコメント提出を行った。とくに,TR X 0008:1999のメンテナンスとして,W3Cが2001年10月に発行した勧告"Extensible Markup Language (XML) 1.0 (Second Edition)" の翻訳を行った。この翻訳は日本工業規格原案として,2002年2月に経済産業省に提出された。


2. 審議中に問題となった事項

XML 1.0の初期の原案には,国際化についてのいくつかの問題点があった。たとえば,名前文字の国際化,符号化の判定手段についての問題である。これらについての検討結果は,W3C XML作業グループ,W3C XML構文作業グループ,及びXMLコア作業グループに提出され,XML 1.0の改良につながった。

訳語選定に際しては,SGMLを規定しているJIS X 4151との整合を配慮した。しかしその後にJISとして出版されたSGML関連規格において,適切な理由に基づいてJIS X 4151の訳語を変更している用語については,なるべく新しいSGML関連JISの訳語を採用している。(解説表1参照)

解説表1 原語及び訳語
原語 訳語
well-formed 整形式
valid 妥当
validity 妥当性
parsed entity 解析対象実体
unparsed entity 解析対象外実体
escape 別扱い
adaptations annex 適用附属書
root ルート
validating 妥当性を検証する
content particle 内容素子
mixed content 混合内容
match マッチ
character value 文字番号
bypass 処理しない
identify 特定する
token トークン
literal リテラル
extender エクステンダ


4. 懸案事項

規格の原勧告についての正誤票は,W3Cによって頻繁に発行される。正誤票のうち,2002年9月16日以前のものはすべて,この規格に反映されている。今後,発行される正誤票は,この規格の正誤票として反映することを予定している。規格とその原勧告が技術的に相違していることが発見されたときは,この規格への正誤票を発行する予定である。


5. その他

5.1 規格の原勧告と規格の技術的な一致

この規格は,規格の原勧告と技術的に完全に一致している。この規格を実装するときは,規格の原勧告及び正誤票も参照することが望ましい。

5.2 この規格の原勧告との編集上の相違

この規格の原勧告との編集上の相違は次のものに限られる。


6. 原案作成委員会の構成表

原案作成委員会の構成表を次に次に示す。

解説表2 次世代コンテンツの標準化調査研究委員会
氏名 所属
(委員長) 池田 克夫 大阪工業大学
(幹事) 小町 祐史 松下電送システム株式会社
平山 亮 金沢工業大学
村田 真 日本アイ・ビー・エム株式会社
(委員) 内山 光一 株式会社東芝
木戸 達雄 経済産業省
久保田 靖夫 大日本印刷株式会社
黒川 利明 株式会社CSK
斎藤 伸雄 凸版印刷株式会社
二本松 勝 株式会社日立製作所
藤原 洋 株式会社インターネット総合研究所
松本 充司 早稲田大学
柳町 昭夫 株式会社NHKアイテック
(事務局) 山中 正幸 財団法人日本規格協会

解説表3 作業グループ(WG2)
氏名 所属
(主査) 村田 真 日本アイ・ビー・エム株式会社
内山 光一 株式会社東芝
奥井 康弘 株式会社日本ユニテック
海田 茂ネクストソリューション株式会社
高橋 亨株式会社日立製作所
上村 圭介 国際大学グローバルコミュニケーションセンター
山本 陽平 株式会社リコー
川俣 晶 株式会社ピーデー
小町 祐史 松下電送システム株式会社
(事務局) 山中 正幸 財団法人日本規格協会