標準情報(TR)  TR X 0066:2002

書換形コンパクトディスク(CD-RW)システム

ReWritable Compact Disc (CD-RW) Systems

序文

この標準情報(TR)は, 1998年8月に発行されたOrange Book: Recordable Compact Disc Systems, Part 3 CD-RW version 2.0を翻訳して, 技術的内容を変更することなく作成した標準情報(TR)(タイプU)である。本文中に指定された項目については, 原文の同項目の内容を引用するものとし, それら以外については, 原文を全文翻訳した。

1. 一般

1.1 適用範囲

この標準情報(TR)は, コンパクトディスク(CD)の情報を書き込み, 消去し, 重ね書きし, 及び読み取ることを可能にする書換形コンパクトディスク(CD-RW)システムについて規定する。記録されたCD-RWディスクは, "JIS S 8605互換"のディスクより低い反射率をもつので, "CD-RW可能なCDプレーヤ"で再生しなければならない。CD-RW可能なCDプレーヤは, この標準情報(TR)に規定されるCD-RWディスクの他, CD-Rディスク及び従来のCDディスクを読み出すことができる。CD-RWフォーマットは, オーディオ及びデータの両方の記録を可能にする。

1.2 一般規定

CD-RWシステムにおいて, ディスクは, 記録によって反射率減少を示し, 消去によって反射率増加を示し, 重ね書きによって反射率の減少又は増加を示す記録材を含む。記録後, CD-RWディスクは, 従来のCDのディスクと比較すると低い反射率をもつが, Red Bookのディスク規定の節に示すほとんどすべての残りの規定を満す。CD-RWディスクは, トラッキング, CLVの速度制御及びタイミングのための蛇行案内溝をもつ。記録は, 溝で行う。

この標準情報(TR)は, 標準速, 2倍速, 4倍速の公称CD速度を定義する。2.の"ディスク規定"に規定する参照速度は, 2倍速公称CD速度とする(4.4.1を参照)。

CD-Rシステムと比較し, CD-RWシステムは, 消去可能で重ね書き可能な検索システムの利点をもつ。

 備考1 CD-DAシステム(Red Book 84〜86ページ)と同様に, CD-RWシステムは, 8cmの"シングルCD"の可能性を提供する。

 備考2 Red Bookのディスク規定の節を参照する際には, 74〜83ページ(CD-Videoの規定)は除く。

 備考3 データ応用については, オーディオ情報の代わりにデータを記録するために必要であれば, この標準情報(TR)における"Red Book"という用語は, JIS X 6281又は"Green Book"に置き換えられなければならない。

1.3 引用規定及び適合性

CD-RWは, この規定が示す必須の要件に適合しなければならない。この規定のすべての部分は, 推奨, オプション又は参考として特に指示されない限り, 必須とする。

備考

技術の進歩及び市場要求によって, システム記述は, 後日拡張する必要があり得る。つまり, 新しいサブコードのモード及びポインタ, 新しいATIPフォーマット, 予約済みのビット又はバイトに関する新しいデータ構造又はデータ定義などの新しい項目をシステム記述に追加する必要があり得る。

システム設計者は, この点に注意を払い, 次のとおり機器設計を行うことが望ましい。つまり, システム記述の将来版に新しく追加される項目は, 先行リリースに適合する機器によって無視される。

CD-RWは, 次に示すシステム記述又は国際規格の適用可能な部分にも適合する。

JIS S 8605-1993, コンパクトディスクディジタルオーディオシステム(CD-DA)
 備考1 IEC 908:1987, Compact disc digital audio systems が, この規格に一致している。IEC 908:1987は, 既に改訂されて, IEC 60908:1999として発行されている。
 備考2 Red Book: Compact Disc Digital Audio System Description は, IEC 60908:1999に一致している。この標準情報(TR)では, JIS S 8605に含まれないRed Bookの規定内容については, このRed Bookを参照する。

JIS X 6281-1992, 120mm再生専用形光ディスク(CD-ROM)
 備考1 ISO/IEC 10149:1995, Data interchange on read-only 120mm optical data disc (CD-ROM) の前の版(1989年)が, この規格に一致している。
 備考2 Yellow Book: Compact Disc Read Only Memory System Description が, この規格に対応している。

Green Book: CD-i(Compact Disc Interactive) Full Functional Specification, N.V. Philips and Sony Corporation

System Description CD-ROM XA (Compact Disc Read Only Memory eXtended Archtecture), N.V. Philips and Sony Corporation

TR X 0025:2000, 追記型コンパクトディスク(CD-R)システム
 備考1 Orange Book: Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0 が, この規格に対応している。
 備考2 CD-WO(Compact Disc Write Once)の名前は, CD-Rに変更された。

Multisession CD: Mutisession Compact Disc Specification, N.V. Philips and Sony Corporation

JIS X 0201:1997, 7ビット及び8ビットの情報交換用符号化文字集合
 備考 ISO/IEC 646:1991 ISO 7-bit coded character set for information interchange が, この規格に対応している。

1.4 定義

1.4.1 用語の定義

1.4.1.1 <x> パラメタxの平均値。

1.4.1.2 Δx Δx=x-<x>は, パラメタXの瞬時値の平均値から偏差を示す。

1.4.1.3 ATER (ATIP error rate) フレーム全数に対する, 10秒間の平均誤ATIPフレームの個数。

1.4.1.4 ATIP (absolute time in pregroove) 蛇行の変調を付加されて, 溝に含まれる時間コード情報。4.を参照。

1.4.1.5 オーディオディスク (audio disc) データディスクでない記録済みディスク。

1.4.1.6 オーディオセション (audio session) オーディオトラックだけを含むセション。

1.4.1.7 オーディオトラック (audio track) データトラックでないトラック。

1.4.1.8 ブロック (block)JIS X 6281が定義する2352バイトの単位。

1.4.1.9 CD-RW可能CDプレーヤ (CD-RW enabled CD-player) CD-RWメディアからのデータを読む要件を満たすCDオーディオ又はCD-ROMのドライブ。

1.4.1.10 CLV (constant linear velocity) 一定線速度。

1.4.1.11 民生用CDレコーダ (Consumer CD-recorder) 民生用に, CD-DAフォーマット(Red Book)に従って信号を記録するためだけに, 設計され, 製造されたCDレコーダ。

1.4.1.12 CW (continuou wave) 連続波。レーザ光出力は一定レベルとする。

1.4.1.13 CW-消去 (CW-Erase) "物理消去"を参照。

1.4.1.14 データディスク (data disc) 各セションが1個以上のデータトラックを含むディスク。

1.4.1.15 データセション (data session) 1個以上のデータトラックを含むセション。

1.4.1.16 データトラック (data track) サブコードQチャネルのCONTROLに"Data track"と指定されたトラック。

1.4.1.17 直接重ね書き(DOW) (direct overwrite) 既に記録済みの情報の上に新しい情報を記録する動作。

1.4.1.18 DOW(n) n番目の重ね書きサイクル。

1.4.1.19 効果長 (effect length) 時間間隔分析によって測定される特定の(I3〜I11)マーク(ピット)又はランドの平均長(Red Bookを参照)。

1.4.1.20 EFM (eight to fourteen modulation) 8-14変調。6.を参照。

1.4.1.21 EFMフレーム(EFM frame) 1個のEFM同期パターン, 1バイトのサブコード情報, 24バイトの利用者データ, 及び8バイトのCIRCエラー訂正パリティ記号(Red Bookを参照)を表わす588チャネルビットの1個のグループ。公称速度での継続時間は, 約136μsに等しい。

1.4.1.22 終了化 (finalization) (部分的に)未記録又は論理消去されたトラックを終了し, リードイン領域及び/又はリードアウト領域を, 適切なTOCサブコードで記録又は重ね書きする動作。

1.4.1.23 最終セション (final session) CD-RWディスクの最後のセションは, 最終セションとして指定できる。最終セションの後のセション追加はできない。

1.4.1.24 (案内)溝 ((pre-)groove) 同一のクロッキング及び時間コードの情報が両端に見られる案内トラック。

1.4.1.25 複合形ディスク (hybrid disc) 最初のセションがスタンプ記録されている複セションディスク。複合形ディスクでは, 記録済み情報とスタンプ記録情報とが共存してよい。

1.4.1.26 ジッタ (jitter) 時間間隔分析(Red Bookを参照)によって測定した, 特定の(I3〜I11)ピット又はランドの前縁及び後縁の間の時間変化量の1σ値。

1.4.1.27 ランド (land) ランドは, 次のとおり特徴付けられる。ラジアル信号については, ランドは二つの溝の間の領域と定義される。HF信号については, 接線方向の二つのマーク(ピット)の間の領域と定義される。

1.4.1.28 レーザ変調 (laser modulation) 記録の際に, レーザが"書込み方式"に従って, ON-OFFされる。

1.4.1.29 論理消去 (logical erase) 5.4.3.1, 5.5.2.1,又は5.6.3.3.(附属書C1.4, C1.5及びC1.6も参照)に従って, モード0のサブコードを含むEFM信号でディスクを重ね書きすることによって, ディスク領域から情報を削除する方法。論理消去された領域は, 未記録領域と等価であって, 同じ方法で扱われなければならない。

1.4.1.30 マーク (marks) 記録されたI3〜I11の効果。

1.4.1.31 スタンプ記録情報 (Mastered Information) (マスタを作成するときに)ディスクの製造過程においてディスク上にピットとして記録される情報。

1.4.1.32 複セションディスク (Multisession disc) (サブコードQチャネルのモード5において最初のリードイン領域に表示される)一つ以上のセションを含む又は含むことができるディスク。

1.4.1.33 m11 2.3に示す試験条件下で得られる変調I11/Itop

1.4.1.34 <m11> 2.3に示す試験条件下で得られるディスク上のI11/Itopの平均値。

1.4.1.35 公称CD速度 (nominal CD speed) 結果として, 4.3218MHzの平均EFMビットクロック周波数又は22.05kHzの平均案内溝蛇行周波数になる一定線速度。

1.4.1.36 Nx公称CD速度 (Nx nominal CD speed) 公称CD速度のN倍である一定線速度。

1.4.1.37 正規化プッシュプル率(NPPR) (normalized push pull ratio) 記録前の正規化プッシュプル振幅が, 記録後の正規化プッシュプル振幅によって分割されるときの結果の値。1.4.4における"記録後の信号"を参照。記録前のプッシュプル振幅は, 記録前の溝レベルIgに正規化される。1.4.4を参照。記録後のプッシュプル振幅は, 記録後の平均溝レベルIga(1.4.4を参照)に正規化される。

1.4.1.38 OPC (optimum power control) 最適パワー制御。附属書C3を参照。

1.4.1.39 重ね書き (overwrite) 以前に記録された情報の上に新しい情報を記録する動作。

1.4.1.40 PBO 最適バイアスパワー。

1.4.1.41 PECW CW-消去の動作のためのパワー。

1.4.1.42 PEO 記録又は重ね書きの動作における, "ランド"の生成のための最適消去パワー(図2.1.1を参照)。

1.4.1.43 PWO OPC手続きによって決定される, 記録又は重ね書きの動作における, "マーク"の生成のための最適書き込みパワー(図2.1.1を参照)。

1.4.1.44 PCA (power calibration area) パワー較正領域。1.4.2を参照。

1.4.1.45 物理消去 (Physical Erase) 以前に記録された情報を, CWレーザ出力を用いて重ね書きすることによって消去する動作。物理消去の動作後は, CD-RWディスク上の消去された領域は, 再び未記録状態になる。附属書C1.4を参照。

1.4.1.46 Pits スタンプ記録されたI3〜I11効果。

1.4.1.47 PMA (program memory area) プログラムメモリ領域。1.4.2を参照。

1.4.1.48 案内溝 (pre-groove) クロッキング及び時間コードの情報を, FM変調された蛇行によって記録した案内トラック。

1.4.1.49 業務用CDレコーダ (professional CD-recorder) 専門家による利用のため, 又はCD-DAフォーマット(Red Book), CD-ROMフォーマット(Yellow Book)及び/又はCD-iフォーマット(Green Book)に従って信号を記録するためだけに, 設計され製造されたCDレコーダ。
備考 この業務用の分類には, "民生用CDレコーダ"以外のすべてのCDレコーダが含まれる。

1.4.1.50 ランダムEFM (random EFM) ランダムなEFMデータであって, 次の特徴をもつ。
a) 主チャネルでは, ランダムデータ記号(例えば, 記録済み白色雑音オーディオ信号)。
b) サブコードチャネルでは, sync及びCRCを除くすべてのサブコードのバイトは, サブコードフレーム毎に固定値に設定されなければならない。固定値は, "FF"又は"00"であることが望ましい。

1.4.1.51 記録済み情報 (recorded information) CD-RWディスクの記録又は重ね書きの過程において, ディスク上にマークとして記録される情報。

1.4.1.52 予約済み (reserved) 例えば, "予約済みでzeroに設定された"とは, それ以上の通知が行われるまでは, 値をzeroに設定しなければならない。将来, 他の値の使用が指定されることもある。

1.4.1.53 セション (session) リードイン領域, プログラム領域及びリードアウト領域から成るディスクの領域。

1.4.1.54 単セションディスク (single session disc) 複セションディスクでないディスク。

1.4.1.55 TDB (track descriptor blocks) データトラックのプレギャップの中のトラック記述子ブロックは, そのトラック属性に関する情報を含む。5.6.5を参照。

1.4.1.56 TOC (table of contents) 目次情報のことで,サブコードQチャネルのリードイン領域にあり, ディスクのトラックに関する情報を含む。

1.4.1.57 ディスクの不均衡Ud (unbalance of disc Ud) Ud=md*r [g.mm]であって, ここで, mdはディスクの質量[g]であり, rはディスクの重心と幾何学的中心との間の距離[mm]を示す。
ディスクが回転数frot[Hz]で回動するとき, 不均衡の力はFu=Ud*ω2*10-6[N]となる。ここで, ω=2π*frotとする。

1.4.1.58 未記録領域 (unrecorded area) 信号が全く記録されていないか, 又は以前に記録された情報が物理消去された領域。トラック(溝)は, 高反射状態になっている。

1.4.1.59 利用者記録領域 (user-recorded area) 利用者データ及び通常のサブコードQ(モード0ではない)を含むEFM信号を用いて記録された領域(又はトラック)。

1.4.1.60 変化 (variation) パラメタxの変化は, 比Δx/<x>として定義される。

1.4.1.61 蛇行 (wobble) ディスクの中の案内溝は完全ならせん(螺旋)ではなく, 次のとおり蛇行している。
a) 30 nmの基準振幅
b) 54〜60μmの空間的周期。4.を参照。

1.4.1.62 書込み (write) 情報がCD-RWディスクの未記録領域に記録される動作。

1.4.1.63 書込み方式 (write strategy) レーザパワーを変調するために使用されるHF書込み信号の形状。ディスクの測定に必要な記録に使用しなければならない書込み方式は, 2.1.3の"メディア試験用書込み方式"に示される。

1.4.2 ディスクのレイアウト

ディスク上の記録済み領域は, セションに分割することができ, セションはリードイン領域, プログラム領域及びリードアウト領域から成る。

プログラム領域が未記録領域又は論理消去された領域をもたず, リードイン領域及びリードアウト領域がどちらも適切なサブコードのモード1及びモード5で記録されているとき, セションは終了化しているという。

リードイン領域及びリードアウト領域が未記録であるか, 又は論理消去されているとき, セションは非終了化しているという。

セションのすべての可能な状態は, 図1.4.1に定義される。

プログラムエリア リードイン領域及びリードアウト領域 セションの状態
未記録領域及び/又は
論理消去された領域を含む
サブコードのモード1及び5で記録済み この状態にしてはならない。
未記録領域及び/又は
論理消去された領域を含む
未記録又は論理消去されている 非終了化
すべて利用者記録されている 未記録又は論理消去されている 非終了化
すべて利用者記録されている サブコードのモード1及び5で記録済み 終了化

図1.4.1 セションの可能な状態

一般に, 次の三つのディスク記録状態が定義される。

複セションディスクの場合, 最終セションは, 部分的に利用者記録(非終了化)されていても, 終了化されていてもよい。すべてのその前のセションは, 終了化されていなければならない。複セションディスクの例を図11.1に示す。

 備考1 終了化したセションだけが, 一般に, CD-RW可能CDプレーヤで再生できる。
 備考2 各ディスク領域の詳細規定については, 5.を参照されたい。
 備考3 複セションディスクの詳細規定については, 11.を参照されたい。

a) 未記録のディスク

未記録のCD-RWディスクの情報領域は, CLVクロッキング情報(蛇行)及び時間コード(ATIP)をもつ案内溝を含む。

ATIPに符号化された時間情報に加え, CD-RWのディスクは, リードイン領域に, ディスク識別, 書込みパワー, 速度範囲, OPCパラメタなどの付加情報(4.を参照)を含む。

b) 部分記録されたディスク

部分記録されたディスクのデータ構造は, 5.に規定され, 次を含む。

  1) パワー較正領域(PCA): 部分記録
パワー較正領域が, ディスクの正確な記録パワーを得るために予約されている。5.3を参照。すべての100区画が, 連続的に使われる。すべての区分が使われてしまうと, パワー較正領域全体(試験領域及びカウント領域)を消去でき, 再び使用できる。
  2) プログラムメモリ領域(PMA): 部分記録
プログラムメモリ領域は, CD-RWディスク上のすべてのセションの完全なトラック情報を反映しなければならない。5.4を参照。
 備考 不完全トラックの機能を使う場合には, PMAは, プログラム領域の正確なトラック情報を必ずしも反映しなくてよい(5.4.1.2を参照)。
  3) 1個以上のセション:
最終セションを除くすべてのセション: 終了化。
リードイン領域: サブコードのモード1及び5を用いて記録。

リードイン領域は, 5.5の規定に従って, 目次情報(TOC)を用いて記録されている。
プログラム領域: 利用者記録。
プログラム領域は, 5.6の規定に従って, 利用者情報をもつトラックが記録されている。
リードアウト領域: サブコードのモード1及び5を用いて記録。
リードアウト領域は, 5.7又は11.5の規定に従って, 記録されている。
最終(又は単一の)セション: 非終了化
リードイン領域: 未記録又は論理消去済み。

この領域は, 5.5の規定に従って, 目次情報(TOC)を用いて記録されている。
プログラム領域: 部分的利用者記録。
プログラム領域は, 5.6の規定に従って, 利用者情報をもつトラックが記録されているか, 又は記録されることになる。
リードアウト領域: 未記録又は論理消去済み。
この領域は, 5.7又は11.5の規定に従って, リードアウト領域の記録のために予約されている。この領域は, プログラム領域の直後に始まる。セションを終了化するとき, リードアウトは, 最後の利用者記録トラックの直後に記録される。

c) 終了化したディスク

終了化したディスクは, すべてのセションが終了化したディスクとする。

終了化したセションは, 完全に利用者記録したプログラム領域(未記録領域又は論理消去された領域がない), 関連するプログラム領域のトラック情報を反映する目次情報をもつリードイン領域, 及びリードアウト領域をもつセションとする。

ディスクを終了化した後, すべてのセションは, CD-RW可能CDプレーヤで再生できる。

1.4.3 書込みモード

CD-RWのシステムは, 多様な中断した書込み動作で, 例えば, 異なる時刻に異なるレコーダで, 情報を書込み又は重ね書きする機会を与える。CD-RWディスクへの重ね書きは, 非終了化セションにおいても終了化セションと同様に行うことができる。

以前の情報を重ね書きした後も, すべてのリンク付け規則が守られていなければならない。すなわち, データトラックにおいて, 重ね書きは, 既存の二つのリンク点の間だけで行うことができる。

CD-RWレコーダは, 一般に次の書込みモードを用いることができる。

中断なし書込み:
ディスクアトワンス(DAO)
インクリメンタル書込み:
セションアトワンス(SAO)
トラックアトワンス(TAO)
パケット書込み

これらの書込みモードの主要特性の概要を次に示す。書込み(重ね書き)及びリンク付けに関する詳細な要件は, 5.に示す。

DAO: ディスク全体が, 1回の書込み動作で書かれる。
すべての領域が, 1回の中断なし書込み動作において書かれる。

   → データの追加又はデータの部分的重ね書きはできない。ディスク全体の重ね書きだけができる。

SAO: セション全体が, 1回の書込み動作で書かれる。
リードイン領域, プログラム領域及びリードアウト領域が, 1回の中断なし書込み動作において書かれる。

   → 新しいセションでのデータの追加又は既存のセションの重ね書きができる。

TAO: トラック全体が, 1回の書込み動作で書かれる。
プレギャップ, トラック内容, ポストギャップが, 1個のパケットとして書かれる。

   → 新しいトラックでのデータの追加又は既存のトラックの重ね書きができる。

パケット書込み: 不完全トラック又は予約されたトラックにおける固定長又は可変長のパケットの書込み。
トラックは, トラック識別子ブロックをもつプレギャップの書込みによって, 開始されなければならない。プレギャップはリンク点で終了する。

   → パケットはトラックに追加でき, 既存のパケットは重ね書きできる。

1.4.4 信号

a) 記録前の信号

I0 空領域レベル
Il ランドレベル
Ig 記録前の溝レベル
RCb=2*(Il-Ig)/(Il+Ig) 記録前のラジアルコントラスト
0.1μmラジアルオフセット時の
|I1-I2|/Ig
記録前のプッシュプル量
(I1-I2)は, (f<5kHzで)低域フィルタリングの後測定される。附属書C5及びRed Bookの15.1を参照。
Iw=(I1-I2) 蛇行信号
(I1-I2)は, (10kHz<f<30kHzで)帯域フィルタリングの後測定される。
Iw(rms)/|I1-I2|(pp) 正規化蛇行信号
附属書C6を参照。

b) 記録後の信号

Itop 記録されたI11信号のトップレベル
Red Bookの14.参照。
Iga, (Ila) 記録後の平均溝レベル(ランドレベル)
Iga (Ila)は, AC結合前に溝(ランド)で測定される平均HF信号(τ=15μs)と定義する。
RCa=2*(Ila-Iga)/(Ila+Iga) 記録後のラジアルコントラスト
I3/Itop, I11/Itop I3及びI11の信号の変調振幅
Red Bookの14.を参照。
I3/I11 I3及びI11の信号の比
0.1μmラジアルオフセット時の
|I1-I2|/Itop
記録後のプッシュプル量
(I1-I2)は, (f<5kHzで)低域フィルタリングの後測定される。附属書C5及びRed Bookの15.1を参照。
Rtop=R0*(Itop/I0) Itopを基準とする記録済みディスクの反射率
R0は, ディスクの空領域の反射率。
(|I1-I2|/Ig)/
(|I1-I2|/Iga)
正規化プッシュプル率(NPPR)
1.4.1及び附属書C5を参照。
・|I1-I2|/Igは, 記録前に測定。
・|I1-I2|/Igaは, 記録後に測定。


2. ディスク規定

2.1 一般

2.1において, すべての特性の試験記録及び測定に使用しなければならない周囲条件, 光ピックアップユニット及び書込み方式を規定する。

2.1.1 試験用の標準周囲条件

測定及び機械的検査は, 他に特記がない限り, 次の制限内の温度・湿度・気圧の任意の組合せで実施される。

周囲温度 15℃〜35℃
相対湿度 45%〜75%
気圧 86 kPa〜106 kPa

2.1.2, 2.1.3については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。

2.2 未記録ディスク

規定する特性 要件 備考
2 外径 1.4.1の定義を参照。
2.5.1 12cmのディスクのためのディスクの不均衡Ud < 2.5 g.mm 対応する不均衡力:
frot= 10 Hzにて, Fu< 0.01 N
2.5.2 8cmのディスクのためのディスクの不均衡Ud < 1 g.mm 対応する不均衡力:
frot=10 Hzにて, Fu< 0.004 N
819 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。
20 環境
(記録中の操作条件)
ディスクは, 図2.1に与えるすべての組合せで記録可能でなければならない。 附属書C4を参照
20.1 温度範囲 T = -5〜+55 ℃
20.2 絶対湿度 0.5〜30 g/m3
20.3 相対湿度 5〜95 %

2.3 記録済みディスク

規定する特性 要件 備考
8.4, 8.5 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。
9.3 リードイン領域の開始直径 46 +0.0/-0.02 mm リードイン領域の中でATIPに表示される対応する開始時間(4.4を参照)。
14〜18.3 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。

2.4については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。


3. CDレコーダに関する要件及び推奨

3.1 ディスク応用コード, RIDコード及びSCMSの使用

3.2 オーディオディスクにおけるスキップ機能の使用


4. 案内溝変調, ATIP

溝蛇行周波数(キャリア周波数)によって, CD-RWディスクはモータ制御情報を含み, ATIP(案内溝における絶対時間, キャリア周波数を変調する)によって, CD-RWディスクは時間コード情報を含む。 ATIPの時間コードは, ディスク上のどこでも単調に増加する。図4.2を参照。

4.1, 4.2については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。

4.3 フレームフォーマット

1ATIPフレームのフォーマットは, 図4.3.1のとおりとする。

ビット数 4 8 8 8 14
ビット 111 11111112 222222222 23333333333444
位置 1234 56789012 34567890 12345678 90123456789012
データ 同期 フレーム CRC 余り

図4.3.1 ATIPフレーム中のビット及びフィールドの定義

4.3.1については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。

4.4 データフォーマット

ATIP時間情報のフォーマットは, サブコードQの中及びCD-ROMヘッダの中の時間符号化と同一とする。ATIP時間情報は, 次のとおり最上位ビット(MSB)先頭の2進化10進数(BCD)で表現される。図4.3.1を参照。

2桁のBCD(M1〜M4及びM5〜M8), 位置5に最上位ビット(MSB)(M1)
2桁のBCD(S1〜S4及びS5〜S8), 位置13にMSB(S1)
フレーム 2桁のBCD(F1〜F4及びF5〜F8), 位置21にMSB(F1)

通常の時間コードに加えて, リードイン注1領域において, 付加的なCD-RW情報がATIPの分, 秒及びフレームのバイトの中に符号化される。この付加情報は,図4.2.1に定義されるとおり, 分, 秒及びフレームのバイトのMSB(ビット5, 13, 21)の特定の組合せによって識別される。

注1 ATIP規定の文脈において, "リードイン領域"という用語は, 直径50 mm以内のディスク領域と解釈されるものとする。(それで, 複セションディスクの2番目以降のセションのリードイン領域ではない。)

プログラム領域及びリードアウト領域においては, 通常の時間コードだけが符号化されなければならない。

M1,S1,F1 =000 プログラム領域及びリードアウト領域の時間コード
=100 PCA, PMA及びリードイン領域の時間コード
=101 特別情報1 参照速度での書込みパワー,
参照速度, 応用コード,
ディスク型識別
(図4.4.1を参照。)
=110 特別情報2 リードイン領域の開始時間
(図4.4.2を参照。)
=111 特別情報3 リードアウト領域の最終可能開始時間
(図4.4.3を参照。)
=001 追加情報1 速度範囲, OPCパラメタ及び
参照速度での消去パワー
(図4.4.4を参照。)
=010 追加情報2 低速及び高速での書込みパワー,
OPCパラメタ及び
低速及び高速での消去パワー
=011 追加情報3 使用しない, 拡張のために予約済み

図4.4.1 リードイン領域の付加情報の識別

CD-RWディスクのリードイン領域における連続するATIPフレームの列は, 図4.4.2に示すとおりでなければならない。

フレーム番号
フレームの内容
N 特別情報1
N+1
 :
N+9
通常の時間コード
N+10 特別情報2
N+11
 :
N+19
通常の時間コード
N+20 特別情報3
N+21
 :
N+29
通常の時間コード
N+30 追加情報1
N+31
 :
N+39
通常の時間コード
N+40 追加情報2
N+41
 :
N+49
通常の時間コード
N+50 特別情報1
N+51
 :
通常の時間コード
N+60 特別情報2
N+61
 :
通常の時間コード

図4.4.2 リードイン領域のATIPフレームの符号化

4.4.14.4.6については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の 対応する項目による。

4.54.7については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の 対応する項目による。


5. データ構造

5.では, PCA, PMA及びセションの構造が規定される。複セションディスクの構造は, 6.で規定される。


5.1 ATIP同期規則

ディスク全体でATIP同期とサブコード同期との位置間の許容誤差は, 0±2 EFMフレームとする。

ATIP同期の位置は, 同期を同期パターンとして決定できる位置と定義する。これは, ディスク上の物理的同期パターンの直後になる。

サブコード同期の位置は, ディスク上の物理的同期パターンの開始位置と定義する。図5.2を参照。

ディスクのすべての位置における記録済みQチャネルの絶対時間は, その位置でのATIP時間と同一とする。


5.2 リンク付け規則

数回の異なる書込み動作で(例えば, 異なる時刻に別のレコーダで)ディスクを記録することを, インクリメンタル記録と定義する。インクリメンタル記録の場合に, リンク付け規則を考慮しなければならない。

5.2.1 一般リンク付け規則(図5.3を参照)

リンク位置は, EFM信号の記録が開始可能及び停止可能であるディスク上の物理的位置とする。

公称リンク位置は, サブコード同期パターンの開始後の26 EFMフレームとする。記録間のギャップは許されない。記録間に, 最大12 EFMフレームのオーバライトができる。

記録の開始位置及び停止位置は, 次の範囲内でなければならない。

パワー測定領域においては, 別のリンク付け規則が採用される。5.3を参照。

5.2.2 オーディオリンク付け

オーディオ記録の場合, EFM記録の列の開始及び終了に際しては, 少なくても1インタリーブ長(約15ms)のデジタル無音を推奨する(図5.4を参照)

5.2.3 データリンク付け

データ記録の場合, EFM記録の列は, リンクブロック, ランインブロック及びランアウトブロックで開始し, 終了しなければならない。1組の記録済みのリンクブロック, ランインブロック, 利用者データブロック, ランアウトブロックをパケットと呼ぶ。パケット中の利用者データブロックの個数をパケットサイズと呼ぶ。

図5.2.1 パケットのレイアウト

[最小遅延符号化器を使うCIRC/EFM符号化(Yellow Bookの33ページを参照)の前の]ブロック同期の開始は, サブコードの同期開始の後 +36 EFMフレーム及び -10 EFMフレームの範囲内にある(図5.2を参照)

備考 ブロック同期の開始が, サブコード同期に対して約16EFMフレームより大きく遅れるとき, ランアウトブロック1の最終データバイトは, インタリーブ長に基づいてCIRC復号器によって"訂正不可"のフラグが立つことが期待できる。ブロックヘッダを含むランアウトブロック1の最初のデータバイトは, その遅れが規定の制限内であるとき, 正確であることが期待できる。

リンクブロックは, 5.2.1に規定するとおり, 公称でリンク位置を含むブロックとする。データトラック内の各EFM記録は, 1パケットとして記録されなければならない。そこで各記録は, 4個のランインブロック, 最少1個の利用者データブロック及び2個のランアウトブロックが後に続く1個の(部分的)リンクブロックで開始しなければならず, 次のリンクブロックの最初の部分で終了するものとする(図5.4を参照)。この結果, 利用者記録済み領域内のリンクブロックは, 常に2個のランアウトブロックが先行し, 4個のランインブロックが後に続く。未記録領域又は論理消去された領域に隣接する利用者記録済み領域の始めにおける最初のリンクブロックは, ランアウトブロックに先行されない。未記録領域,又は論理消去された領域に隣接する利用者記録済み領域の終わりにおける最後のリンクブロックは, ランインブロックが後に続くことはない。

これらの規則も, パケットを重ね書きした後に, 満たされなければならない。これは, 既存のデータトラックでの重ね書きが, 2個の既存のリンク点の間だけで可能であることを意味する。

各データトラックは, 利用者データをもつ最少1個のパケットを含まなければならない。リードイン領域及びリードアウト領域の開始及び終了においては, ランインブロック及びランアウトブロックの記録はオプションとする。

リンクブロック, ランインブロック, 利用者データブロック及びランアウトブロックの識別は, モードバイト(ブロックヘッダの中, Yellow Bookの101ページを参照)の中にある。このモードバイトのレイアウトを図5.2.2に示す。(bit 7を最初のビット, MSBとする。)

図5.2.2 モードバイトのレイアウト

bit 7〜5 ブロック表示子
=000 利用者データブロック
=001 4番目のランインブロック
=010 3番目のランインブロック
=011 2番目のランインブロック
=100 最初のランインブロック
=101 リンクブロック
5.2.1の一般リンク付け規則に従うEFMデータの物理的リンク付け
=110 2番目のランアウトブロック
=111 最初のランアウトブロック
bit 4〜2 000 予約
bit 1〜0 JIS X 6281のモード表示
=00 モード0
=01 モード1
=10 モード2
=11 予約

5.2.3.1については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。

5.3については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の 対応する項目による。


5.4 プログラムメモリ領域

プログラムメモリ領域(PMA)は, リードイン領域の開始前の00:13:25 ATIPにおいて開始する。PMAは, リードイン領域の開始時間に終了する。その情報は, リードイン領域のATIPに符号化される。4.4を参照。

リードイン領域が未記録又は論理消去された状態である限り, PMAは中間記憶として使用される。PMAは, ディスク上の記録に関する情報を含む。この情報は, サブコードQチャネルに符号化される。

プログラムメモリ領域の使用は必須であるが, 中断なし書込み(DAO)ディスクの場合は例外で, この場合それはオプションとする。ディスクがレコーダから離れると, PMAは, ディスクの全内容の実際の状態を含まなければならない。

5.4.1 内容

PMAは, 次の種別の情報を含む。

a) 開始及び停止の時間をもつトラック番号
部分記録されたディスクの目次情報。PMA中の全トラック(予約済みトラック及び不完全トラックを含む。5.4.1.1を参照。)のトラック番号は, 連続して1ずつ増加しなければならない。
b) ディスクの識別(オプション)
各ディスクを識別するために, 6桁の数字をディスク中に記録できる。
c) スキップ情報(オプション)
ディスクを再生する際に, 全トラック又は記録されたトラック(時間間隔)の一部をとばして再生することを指示できる。スキップ機能は, オーディオセションだけについて定義される。
d) 目次情報項目に関するブロックの利用者データ欄中のRIDコード

PMAの例を, 図5.5及び図5.6に示す。

5.4.1.1 予約済みトラック

予約済みトラックは, 利用者データを用いて未だ完全には記録されていないが, トラックの開始及び停止の時間がPMAの中に記録されているデータトラックとする。予約済みトラックがプログラム領域の最初のトラックでなければ, その予約済みトラックは, 先行するトラックと同じモードになければならない。(附属書C7を参照。) ディスク又はセション(11.を参照)を終了化する前に, ディスクの終了化した部分の予約済みトラックのすべてを利用者記録しなければならない。

予約済みトラックがプログラム領域の最初のトラックでなく, このトラックに利用者データが記録されていなければ, 予約済みトラックの開始時間とその前のトラックの停止時間との差は, 00:02:00でなければならない。

予約済みトラックが, 固定長のパケットにインクリメンタル記録される予定であると, トラック長及びパケットサイズは, パケットの整数番号がそのトラックに適合する方法(附属書の図C.8.1を参照)で決定されなければならない。これは, トラックの開始時間及び停止時間が, 次の式に従わなければならないことを意味する。

停止時間 - 開始時間 = パケット数 * (パケットサイズ + 7) - 5

トラックの開始時間は, そのトラックの最初の利用者データブロックに属するヘッダアドレスに等しくなければならない(5.6.5.1を参照)。トラックの停止時間は, そのトラックに記録される予定の最後のパケット(図5.4を参照)の終わりの(部分的)リンクブロックに属するヘッダアドレスに等しくなければならない。

5.4.1.2 不完全トラック

不完全トラックは, その中に一連のインクリメンタル記録されたデータパケットが記録されるデータトラックとする。不完全トラックの開始に際して, トラック記述ブロック(5.6.5.2を参照)を含むプレギャップ(5.6.5.1を参照)を記録しなければならない。不完全トラックに関する情報は, 5.4.3に従って, PMAに記録されなければならない。

ディスク上には1個までの不完全トラックをもつことができる。不完全トラックは, ディスク上の最終セションの最終トラックとする。不完全トラックのトラック番号は, PMAに記録されている最終トラックに等しい。

5.4.2 記録列

PMAにおける記録動作は, 常に10の倍数のサブコードフレームで実行されなければならない。10フレームからなるこのユニティの中では, 連続するフレームは, サブコードQチャネルのZEROバイトに, 0(最初のフレーム)から9(最終のフレーム)にラベル付けされる。PMAの記録された部分では, このZEROバイトは, 0から9までのこの巡回カウントを連続的に繰返さなければならない。

サブコードフレーム中の情報である特別な内容は, 項目と呼ばれる。項目は, 五つの連続するサブコードフレームの中で5回繰返される。ユニティは10個のサブコードフレームから成るので, 項目のこれらの五つの連続する繰返しは, 0から4に又は5から9にラベル付けされる。奇数個の項目を記録しなければならないときは, 常に10の倍数のサブコードフレームにおいて記録されなければならないので, これらの項目の最終のものは, 通常の5回ではなく, 10回繰返される。この場合, 10回の連続する繰返しは, ZEROバイトに0から9にラベル付けされる。

PMAの列は, モード0のフレーム(5.4.3.1を参照)を含まない多くの有効なPMAユニティを含む。PMAの列は, 未記録領域又は1個のモード0のユニティ(サブコードQのモード0フレームを10個もつユニティ)によって終了する。

備考 PMA列がモード0のユニティで終了すれば, モード0のユニティの後に続くデータはどれもそのPMA列には属さない。PMA列がモード0のユニティで開始すれば, そのPMA列は, 空になる。

PMA列の中の最初の項目は, PMAの開始時間に記録される。トラックの開始時間及び終了時間をを規定する項目(TOC項目)は, トラック番号を増加する順序に現われなければならない。他の有効なPMA項目は, PMA列のどこにでも現われることができる。

5.4.3 サブコードQチャネル

サブコードQチャネルフレームの符号化を次に示す。図5.4及び図5.5を参照。

図5.4.1 サブコードQフレームのPMAの符号化

S0, S1 符号化規則は, JIS S 860517.3に従う。
CONTROL bit 1(Copy Bit)を除き, 5.6.3.1のCONTROLを参照。
POINTが指定するトラックのすべての部分でCopy Bitが"1"であるときだけ, ADR=1(TOC項目)ならば, Copy Bitは"1"(著作権なし)。
 備考 トラックの正確な著作権状態は, プログラム領域で 常にチェックされなければならない。
TNO = 00
ZERO = 00〜09
10個のサブコードフレームのユニティで連続するフレームをラベル付けするカウンタ。 最初のフレームは0にラベル付けされ, 最終のフレームは9にラベル付けされる。重ね書きされたサブコードフレームのカウント列は, 以前に書かれたフレームと同期しなければならない。
CRC Red Bookの41ページの, Control, ADR及びQ-data(MSB先頭)に関する16ビットCRCを参照。ディスク上では, パリティビットは反転している。剰余は, zeroでチェックされなければならない。検査多項式は, 次のとおり。
P(X)=X16+X12+X5+1
ADR ADRの値は, どんな情報が項目の中にあるか決定する。5.4.1を参照。
ADR=1 "目次情報"項目
すべてのトラックのトラック番号, 開始時間及び停止時間。
a) POINT = 01〜99: このトラックがトラック番号nをもつとき, POINTの値をnとする。
b) PMIN, PSEC, PFRAMEの値が, POINTによって指示されるトラックの開始時間を示す。
c) MIN, SEC, FRAMEの値が, POINTによって指示されるトラックの終了時間を示す。
そのトラックが不完全トラック(5.4.1.2を参照)であれば, MIN, SEC, FRAMEの値は'FF FF FF'(16進)に設定され, それは不完全トラックのダミー終了時間を示す。不完全トラックが終了した後, 不完全トラックの情報をもつPMAの部分は, 重ね書きされて終了時間の実際の値を含む。
ADR=2 "ディスク識別"項目
この項目の使用はオプション。PMAに1回だけ記録してよい。各ディスクの識別に使用できる6桁の数字をこの項目に記録する。使用しないとき, ADR=2は存在しない。
a) MIN, SEC, FRAMEは, それぞれBCD符号化された2桁の数字を含む。6桁すべてがディスク識別となる。この6桁の数字は, ランダムに決定されなければならない。
b) PSECは, ディスクフォーマットを規定する。可能な値(16進)を次に示す。
  00: CD-DAセション又はCD-ROMセション
  10: CD-iセション
  20: CD-ROM XAセション
  FF: ディスク型未定義/不明
  他のすべての値は予約されている。
c) POINT, PMIN, PFRAMEは予約され, zeroに設定される。
ADR=3 "スキップトラック"項目
この項目の使用は, オーディオセション用のオプション(データセションには使用されない。)。これらの項目のそれぞれには, 再生中にスキップしなければならない6個までのトラック番号を記入できる。スキップするトラックの最大可能個数は21。使用しないとき, ADR=3 は存在しない。
a) POINT = 01〜04: これが, PMAに示されるJ番目のスキップトラック割当てであるとき, POINTの値をJとする。
b) MIN, SEC, FRAME, PMIN, PSEC, PFRAMEは, ディスクの再生中にスキップしなければならないトラックのトラック番号をそれぞれ含むことができる。6トラックより少ない指定の場合, 残りのバイトはzeroに設定しなければならない。
ADR=4 予約
ADR=5 "スキップ時間間隔"項目
この項目の使用はオプション。これらの項目は, ディスクのプログラム領域中の時間間隔を再生中にスキップしなければならないことを示するために使用する。使用しないとき, ADR=5 は存在しない。
a) POINT = 01〜40: これが, PMAに示されるM番目の"スキップ時間間隔"割当てであるとき, POINTの値をMとする。
b) PMIN, PSEC, PFRAMEの値は, POINTによって指示される"スキップ時間間隔"番号Mの開始時間を与える。
c) MIN, SEC, FRAMEの値は, POINTによって指示される"スキップ時間間隔"番号Mの停止時間を与える。
ADR=6 予約

5.4.3.1については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。

5.4.4, 5.4.5については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。

5.5 リードイン領域

リードイン領域は, ディスクの情報(又はリードイン領域が属するセションの情報)及び利用者記録済みトラックの情報を含む。

リードイン領域は, 次の状態の一つになり得る。

リードインでは, 情報はサブコードQチャネルに符号化されている。サブコードQモードが, Red Bookに従って使用される。

終了化したリードイン領域では, 次のサブコードモードが存在する。

モード1は, 常に存在する。モード1のフォーマットはRed Bookに従い, 記録済みトラックの開始位置を含む。5.5.2のモード1を参照。

モード5は, 常に存在し, 中断なし書込みディスク(DAO)でも存在する。モード5の中で, CD-RWディスクの識別が定義される。 5.5.2のモード5を参照。 オプションで, モード5は, ディスクの再生中にスキップされなければならない記録済みトラック又は記録済みトラックの部分(時間間隔)の情報を含む。

モード1及びモード5の両方が存在するとき, それらは交互に置かれていなければならず, 各サブコードブロックは3回繰返される。モード1及びモード5はそれぞれ, 10個の連続したサブコードブロックから少なくとも3個を使用する。

5.5.1 ATIP/サブコード同期

リードイン領域において, サブコードチャネルQのMIN, SEC, FRAMEに符号化された時間の値は, ATIP時間コードと同一とする。

リードイン領域の終了は, ATIP及びサブコードQの両方において, 99分, 59秒, 74フレームの時間コードで符号化される。

5.5.2 目次情報

CD-RWディスクのセションを終了化するとき, 目次情報(TOC: Table of Contents)がリードイン領域に書き込まれる。終了化した後は, TOCは, そのセションの完全な内容の実際の状態を含んでいなければならない。プログラム領域(の一部), リードイン領域及びリードアウト領域を重ね書きすることによって, 新しいセション(複セションについては, 11.を参照)又は同じセションのどちらかの中に追加の記録が可能になる。

完全なディスクが, CD-ROM(又はCD-DA)ドライブで読取り可能でなければならない場合には, すべてのセションが終了化されなければならない。

最初の(又は唯一の)セションの目次情報をもつリードイン領域は, ATIPに示されるとおり(4.4.2を参照), 開始時間に開始する。 このリードイン領域は, 絶対時間99:59:74で終了する。これは, 直径 50 +0.0/-0.4 mmに対応する。

TOCでは, 項目は各3回繰返される。完全なTOCは, リードイン領域の中で連続的に繰返される。モード1及びモード5は, 別々に繰返されなければならない(図5.7及び図5.8を参照)。

図5.5.1 サブコードQフレームのリードイン領域における符号化

S0, S1 JIS S 8605の17.3に従う。
CONTROL bit 1(Copy Bit)を除き, 5.6.3.1のCONTROLを参照。
POINTが指定するトラックのすべての部分でCopy Bitが"1"であるときだけ, ADR=1(TOC項目)ならば, Copy Bitは"1"(著作権なし)。
備考 トラックの正確な著作権状態は, プログラム領域で常にチェックされなければならない。
CRC Red Bookの41ページの, Control, ADR及びQデータ(MSB先頭)に関する16ビットCRCを参照。ディスク上では, パリティビットは反転している。剰余は, zeroで検査されなければならない。検査多項式は, 次のとおり。
P(X)=X16+X12+X5+1
ADR = 1 モード1
MIN, SEC及びFRAMEは, ディスク上の絶対時間を表示する。それらは, ATIP時間と同一でなければならない。

ZERO = 00

POINT = 01〜99
PMIN, PSEC及びPFRAMEの値は, POINTによって指示される記録済みトラックの開始位置を与える。

POINT = A0
a) PMINは, プログラム領域の中の最初の記録済みトラック番号の値を与える。
b) PFRAMEは, 00とする。
c) PSECは, セションフォーマットを規定する。可能な値(16進)を次に示す。
  00: CD-DA及びCD-ROM
  10: CD-i
  20: CD-ROM-XA

POINT = A1
a) PMINは, プログラム領域の中の最後に記録されたトラックの番号の値を与える。
b) PSEC及びPFRAMEは, 00とする。

POINT = A2
PMIN, PSEC, PFRAMEは, リードアウト領域の開始位置を与える。
 

ADR = 5 モード5

POINT = B0
このポインタは, POINT=C0と共に, CD-RWディスクの識別に用いる。ディスク上のすべてのセションのリードイン領域の中に, POINT=B0 は常に存在する。
a) MIN, SEC, FRAMEは, CD-RWディスクの記録可能領域における次の可能なプログラム領域の開始時間を与える。
CD-RWディスクの最終セションがそのディスクの最終セションと指定されると, MIN, SEC, FRAMEは, FF, FF, FFの値(16進)を含む。
b) PMIN, PSEC, PFRAMEは, (ATIPからコピーされた)CD-RWディスクの記録可能領域の最外周リードアウト領域の最大開始時間を与える。
c) ZEROは, モード5に存在する異なるポインタの数を与える。

POINT = C0
このポインタは, POINT=B0 と共に, CD-RWディスクの識別に用いる。POINT=C0は, CD-RWディスクの最初のリードイン領域だけに常に存在する。
MIN, SEC, FRAMEは, MSB組合せ101(特別情報1, 4.4.1を参照)で特別に符号化されたATIPフレームにおいて, リードイン領域(4.4を参照)の中で符号化された, 対応するATIP欄のコピーを含む。

a) MIN: この値は, ATIPフレームのATIP"分"バイトにおいて, MSB組合せ101で符号化される値からコピーされなければならない。
Bit 7〜1: W1〜W3, X1, V1〜V3 (bit 7 = MSB)
Bit 0 = 0
b) SEC: この値は, ATIPフレームのATIP"秒"バイトにおいて, MSB組合せ101で符号化される値からコピーされなければならない。
Bit 7〜1: U1〜U7 (bit 7 = MSB)
Bit 0 = 0
c) FRAME: この値は, ATIPフレームのATIP"フレーム"バイトにおいて, MSB組合せ101で符号化される値からコピーされなければならない。
Bit 7〜1: D1, B1〜B3, A1〜A3 (bit 7 = MSB)
Bit 0 = 0
備考: ビットA1〜A3は, ATIPにおける追加情報1, 2及び3の存在を示す。TOCにおけるポインタC1, C2及びC3の存在とは関係ない。
d) ZERO: 予約されてzeroに設定される。

e) PMIN, PSEC, PFRAME: ディスクの最初のリードイン領域の開始時間を与える。

POINT = C1
このポインタは, 最初のリードイン領域だけに存在し, CD-RWディスクの追加情報を与える。POINT=C1 は, 追加情報1がATIPに存在するときだけ, 存在しなければならない。POINT=C1 の内容は, 追加情報1の内容のコピーでなければならない。
MIN, SEC, FRAMEは, MSB組合せ001(特別情報1, 4.4.1を参照)で特別に符号化されたATIPフレームにおいて, リードイン領域(4.4を参照)の中で符号化された, 対応するATIP欄のコピーを含む。
a) MIN: この値は, ATIPフレームのATIP"分"バイトにおいて, MSB組合せ001で符号化される値からコピーされなければならない。
Bit 7〜1: L1〜L3, H1〜H4 (bit 7 = MSB)
Bit 0 = 0
b) SEC: この値は, ATIPフレームのATIP"秒"バイトにおいて, MSB組合せ001で符号化される値からコピーされなければならない。
Bit 7〜1: P1〜P3, G1〜G3, Y1 (bit 7 = MSB)
Bit 0 = 0
c) FRAME: この値は, ATIPフレームのATIP"フレーム"バイトにおいて, MSB組合せ001で符号化される値からコピーされなければならない。
Bit 7〜1: E1〜E3, Z1〜Z4 (bit 7 = MSB)
Bit 0 = 0
d) ZERO, PMIN, PSEC, PFRAME: 予約され, zeroに設定される。

POINT = C2, C3
これらのポインタは, 将来の拡張のために予約されていて, 使用してはならない。

ADR = 5 モード 5

オーディオスキップポインタ(図5.7を参照)

POINT = B1
このポインタは, オーディオセションが, 再生中にスキップされなければならない間隔及び/又はトラックを含むことを示すために用いる。(データセションに用いてはならない。)
a) MIN, SEC, FRAME, ZERO, PFRAME = 0
b) PMINは, スキップ間隔ポインタ POINT=01〜Nの数N(40以下)を与える。
c) PSECは, POINT=B2〜B4におけるスキップトラック割当ての数M(21以下)を与える。
スキップ間隔ポインタもスキップトラック割当ても使用しないときは, POINT=B1 は存在しない。

POINT = B2〜B4
これらの各ポインタは, 再生中にスキップされなければならない最大7のトラック数を示す。使用されるスキップトラック割当ての数Mは, POINT=B1のPSECの中に与えられる。スキップトラック割当てが使われないとき(M=0), POINT=B2〜B4は, 存在しない。
a) MIN, SEC, FRAME, ZERO, PMIN, PSEC, PFRAMEのそれぞれは, 再生中にスキップされなければならないトラック数の値を与える。ブロック中に残った未使用のバイトは, 00で満たされなければならない。

POINT=01〜40
これらはスキップ間隔ポインタとする。これらは, 再生中にスキップされなければならない記録済みディスク上の間隔(時間間隔)を示す。間隔は, 発生順に記録されなければならない。使用されるスキップ間隔ポインタの数Nは, POINT=B1のPMINに与えられる。スキップ間隔ポインタを使わないとき(N=0), POINT=01〜40 は, 存在しない。
a) PMIN, PSEC, PFRAMEの値は, 再生中にスキップされなければならないディスク上の間隔の開始時間を示す。
b) MIN, SEC, FRAMEの値は, a)に示した間隔の終了時間を示す。
c) ZERO=00: 予約済み。
備考: 異なるスキップ間隔は互いに重ってはならず, スキップ間隔はスキップトラック割当てと重なってはならない。

5.5.2.1については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。

5.5.3 サブコード/ヘッダ同期

リードイン領域がデータトラックとして符号化されているとき(Yellow BookのVI.3を参照), ヘッダアドレスと, 最小遅延符号化器を使ったCIRC/EFM符号化(Yellow Bookの33ページを参照)の前のサブコードQ相対時間とは同一でなければならない。

5.6 プログラム領域

プログラム領域は, 利用者記録済みトラック, 予約済みトラック又は不完全トラックから成る。

プログラム領域は, 部分的に記録されることができ, その場合, 未記録の領域又は論理消去された領域が存在できる。未記録領域又は論理消去された領域は, 予約済みトラックの終端及び最終プログラム領域の終端だけで許可される(5.4.1.1及び5.4.1.2を参照)。

記録済み領域の部分を重ね書きすること, 又はディスクの未記録の領域又は論理消去された領域に書込むことによって, 記録が実行できる。以前に記録されたデータトラックにおける重ね書きは, 既存のリンク点で開始及び終了することだけが許可される。

未記録領域又は論理消去された領域における書き込みは, 予約済みトラックの始めに開始しなければならないか, 未記録領域又は論理消去された領域の前の最終利用者記録領域の終端に直接リンク付けされなければならない。

図5.6.1 未記録領域における記録のための開始位置の例

すべての記録は, すべてのリンク付けルールを満たさなければならず(5.2を参照), データトラックのためのトラック記述子ブロックに記述されたトラック属性に従わなければならない。

5.6.1 ATIP/サブコード同期

プログラム領域において, サブコードQ絶対時間は, ATIP時間コードと同一とする。

プログラム領域の最初のATIP及びサブコードQの時間コードは, zero(0分, 0秒, 0フレーム)とする。

5.6.2 サブコード/ヘッダ同期

ヘッダのアドレスと最小遅延符号化器を用いたCIRC/EFM符号化(Yellow Bookの33ページを参照)の前のサブコードQ絶対時間とは同一とする。

5.6.3については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。

5.6.4 P, R〜Wサブコードチャネル

プログラム領域中の最初の2秒については, Pビット=1とする。ディスクの残りの部分では, Pビットはzeroに設定されるか, 又はRed Bookに規定されるとおり使用されなければならない。

チャネルR〜Wは, Red Bookに従う。それらは, 使用されないときは, zeroでなければならない。

5.6.5 データトラック

すべてのデータトラックは, プレギャップで開始しなければならない。中断なし書込みされたすべてのデータトラックは, 最小2秒のポストギャップを付けて終了することが望ましい。

5.6.5.1 プレギャップ

プレギャップの使用は, 附属書C7に示す。
- JIS X 6281又はGreen Bookにおいてプレギャップの使用が規定されているとき, これらの規定に従った定義を使用しなければならない。このプレギャップの2番目の部分は, トラック記述子ブロック(5.6.5.2を参照)を含む。
- JIS X 6281又はGreen Bookにはプレギャップが全く規定されていないとき, 2秒(150ブロック)のプレギャップを記録しなければならない。このプレギャップは, トラック記述子ブロックを含む。

プレギャップは, 次のとおり特徴付けられる。

a) サブコードQチャネルにおいて
- INDEX = 00

- 相対時間(MIN, SEC, FRAME)は, プレギャップの終端で00:00:00まで減少する。
b) 主チャネルにおいて
- データは, JIS X 6281又はGreen Bookにおいて規定されるとおりモード番号の一つに従って符号化されたブロックとする。

トラックがインクリメント記録されるとき, プレギャップ(の2番目の部分)は, 1パケットで構成されなければならず, そしてトラックに最初の利用者データパケットを書込んだ後で, プレギャップは4番目のランインブロックで終了する。トラックの最初の利用者データブロックのヘッダアドレスは, トラックの開始時間でなければならない(図5.6.5を参照)

図5.6.5 トラック中の最初の利用者データのプレギャップへのリンク付け

トラックがインクリメント記録されなければ, プレギャップ(の2番目の部分)及びそのトラックのすべての利用者データブロックは, 1パケットに記録されなければならない。これをトラックアトワンス(TAO)記録と呼ぶ。

5.6.5.2 トラック記述子ブロック (図5.9を参照)

インクリメント記録されたデータトラック(パケット書込み), トラックアトワンス(TAO)記録, 及びセションアトワンス(SAO)記録されたセションの中に書かれたデータトラックについては, トラック記述子ブロックは必須とする。ディスクアトワンス(DAO)の間に書かれたトラックについては, トラック記述子ブロックを書かないのが望ましい。

トラック記述子ブロックは, 利用者データフィールドの中に, 現トラックのトラック属性の情報を含む。

トラック記述子ブロックの中の利用者データフィールドは, 次の二つの部分から成る。

a) トラック記述子テーブル
このテーブルは, 各利用者データフィールドの始めにあり, 8バイト長とする(5.6.5.2.1を参照)。
b) 一つのトラック記述子ユニット
1ユニットは, 16バイトから成る。トラック記述子ユニットは, トラック記述子テーブルの直後に置かれる(5.6.5.2.2を参照)。

最終トラック記述子ユニットの終了と, トラック記述子ブロックの利用者データフィールドの終了との間の未使用バイトは, zeroで埋められる。

5.6.5.2.1, 5.6.5.2.2については, 原規定 Recordable Compact Disc Systems Part 3 CD-RW version 2.0 の対応する項目による。

5.6.6 ATIP/ヘッダ同期

ブロック同期の開始(最小遅延符号化器を用いて符号化する前, Yellow Bookの33ページを参照)は, (検出された)ATIP同期の後 -10 EFMフレーム及び +36 EFMフレームの中にある(図5.2を参照)。

5.7 リードアウト領域

5.7.1 リードアウト領域

ディスクが単セションディスクである場合, リードアウト領域の記録済みEFMは, JIS S 8605に示される規定に従って符号化される。リードアウト領域は, 少なくても直径幅で1.0 mmとし, 1分30秒の最小記録時間をもつ。

ディスクが複セションディスクである場合, 各リードアウト領域の記録済みEFMは, "Mutisession Compact Disc Specification"に与えられる規則に従って, 符号化される。最初のセションのリードアウト領域は, 1分30秒の長さをもつ。2番目以降のセションのリードアウト領域は, 30秒の長さをもつ。

リードアウトの最終の可能な開始時間は, ATIPに符号化される(4.4を参照)。

5.7.1.1 ATIP/サブコード同期

リードアウト領域では, サブコードQの絶対時間は, ATIP時間コードと同一とする。

6. EFM変調システム

JIS S 860513.15.を参照。

7. CIRCエラー訂正システム

オーディオトラック: JIS S 860516.を参照。
データトラック: Yellow Bookの27〜38ページを参照。

8. 制御システム及び表示システム

オーディオトラック: Red Bookの"CONTROL AND DISPLAY SYSTEM"を参照。
データトラック: Yellow Bookの"CONTROL AND DISPLAY SYSTEM"を参照。

9. オーディオ規定

Red Bookの1ページ及び1aページを参照。

10. ディジタルデータ構造

Yellow Bookの1ページ, 1aページ及び100〜112ページを参照。

11. 複セションディスク及び複合形ディスク

11.1 導入及び定義

リードイン領域, プログラム領域及びリードアウト領域から成るディスク上の領域をセションと呼ぶ。

ディスクが一つより多くのセションを含むとき, このディスクを複セションディスクと呼ぶ。

複合形ディスクは, 最初のセションがスタンプ記録されたセションである複セションディスクとする。

プログラム領域が完全に記録され, セションのリードイン領域及びリードアウト領域が記録されると, セションは終了化する。

ディスクがレコーダから取り出されるときには, 最終セション以外のすべてのセションは終了化されなければならない。ディスクの最終記録済みセションは, "最終セション"(5.5.2を参照)として指定でき, この場合には追加セションの記録は禁止される。

複セションCD-RWのディスクは, この規定において他に特記がない限り, "Mutisession Compact Disc Specification"におけるCD-R(CD-WO)の規則に従って記録されなければならない。

11.2 PCA及びPMA

複セションディスクのPCA及びPMAは, 両方ともこの規定の5.3及び5.4の定義に従う。

ディスクがレコーダから取り出されるときには, PMAは, 不完全トラックの例外はあるが, そのディスクのすべてのセションの全トラックのデータの実際の状態を含まなければならない。

11.3 リードイン領域

"Mutisession Compact Disc Specification"の3.2を参照。

例外 CD-RWのディスクの, 最終セションを含むすべてのセションのリードイン領域には, モード5が存在しなければならない(この規定の5.5を参照)。

11.4 プログラム領域

"Mutisession Compact Disc Specification"の3.3を参照。

11.5 リードアウト領域

"Mutisession Compact Disc Specification"の3.4を参照。

11.6 データ検索構造

"Mutisession Compact Disc Specification"の4.を参照。

11.7 複合形ディスク: ディスク特性

複合形ディスクの記録可能な部分は, 2.2の未記録ディスクに示される規定を満たさなければならない。

複合形ディスクのスタンプ記録された部分及び利用者記録された部分は, 2.3の記録済みディスクに示される規定を満たさなければならない。

しかし, Rtopの最大変化及びプッシュプルの最大変化(±15%, Red Bookの7ページを参照)に関しては, 利用者記録された部分とスタンプ記録された部分とを各々別々に満たすことが許される。