REC-DOM-Level-1-19981001
附属書B 用語の定義
次の用語定義の中には,他のW3C文書又は規格文書における類似の定義から採用したもの
又は修正したものがある。
詳細な情報については定義中のリンクを参照すること。
- 先祖(ancestor)
- 任意のノードAの先祖ノードは,
一つの文書の木モデルにおいてAよりも上位の任意のノードとする。
ここで,"上位の"とは,"ルートに向かって"を意味する。
- API
- APIは,アプリケーションプログラムインタフェースのことで,
ある機能をアクセスするために使用する関数又はメソッドの集合とする。
- 子(child)
- 子は,一つのノードの直接の子孫ノードとする。
- クライアントアプリケーション(client application)
- (クライアント)アプリケーションは,
ホスト実装が提供する文書オブジェクトモデルのプログラムインタフェースを使用し,
役に立つ作業を達成する任意のソフトウェアとする。
クライアントアプリケーションの例に,HTML又はXML文書内のスクリプトがある。
- COM
- COMは,Microsoftの
Component Object Modelのことで,
バイナリソフトウェア構成部品からアプリケーションを構築する技術である。
- 内容モデル(content model)
- 内容モデルは,子要素に許される型及び子要素の出現する順番を支配する単純な文法とする。
[XML]を参照。
- 文脈(context)
- 文脈は,アクセスパタン(又はパス)を指定する。
ただし,アクセスパタンとは,
モデルと相互作用する方法を与えるインタフェースの集合とする。
例えば,データノードを結ぶ異なる色の付いた弧をもつモデルを考える。
この場合,文脈とは,そのモデルの全情報の部分表示を可能とするために,
モデル上に置かれた色付きアセテート製シートである。
- 簡便性(convenience)
- 簡便性メソッドは,一つのオブジェクト上の操作であって,
そのオブジェクト上のより基本的な操作から構成されるプログラムによって達成可能なものとする。
簡便性メソッドは,通常は,APIの使用をより簡単・単純にするために,
又は共通操作のより最適化された実装を特定のプログラムが生成可能とするために提供される。
同様の定義が,簡便性特性に対しても成立する。
- 処理済みモデル(cooked model)
- 文書をある方法で操作した後でその文書を表現するモデル。
例えば,次の変換を任意に合成すると,処理済みモデルが生成される。
- 内部テキスト実体の展開。
- 外部実体の展開。
- スタイルを指定して生成したテキストによって増強されたモデル。
- スタイルを指定しての再順序付けの実行。
- スクリプトの実行。
ブラウザは,処理済みモデルへのアクセスだけを提供可能としてもよい。
これに対してエディタは,一つの文書に対して,処理済みモデル又は
初期構造モデル(未処理モデルともいう)へのアクセスを提供してもよい。
- CORBA
-
CORBAは,OMGによるCommon Object Request Broker
Architecture(共通オブジェクト要求ブローカ体系)のことである。
この体系は,オブジェクト及びライブラリの集まりであって,これによって,
分散環境での要求・応答の作成及び受信を行うオブジェクトを含むアプリケーションの生成が可能となる。
- カーソル(cursor)
- カーソルは,ノードのオブジェクト表現とする。
カーソルは,文脈の情報及びそのノードに到達するためにたどる経路の情報を所持してもよい。
- データモデル(data model)
- データモデルは,データ構造及びそれに含まれるフィールドからなる記述の集まりで,
それらを扱う操作及び関数を伴ったものとする。
- 非推奨(deprecation)
- 規定の新しい版が発表された場合,古い機能のあるものは,非推奨とすると示されることがある。
この意味は,新しい規格がその機能を使用しないほうがよいとしたこと,
及び現在の版ではサポートされているが,将来の版ではサポートされない
又は利用可能ではないかもしれないことである。
- 子孫(descendant)
- 任意のノードAの子孫ノードは,一つの文書の木モデルにおけるAよりも下位の任意のノードとする。
ここで,"上位の"とは,"ルートに向かって"を意味する。
- ECMAScript
- ECMA-262規格によって
定義されるプログラム言語。
ECMA-262に示されているように,ECMAScriptの元となった技術は,
JavaScriptである。
ECMAScript結合において,単語"特性"は,IDL用語"属性"と同じ意味で使用する。
- 要素(element)
- 各文書は,一つ以上の要素を含む。
要素の境界は,開始タグ及び終了タグによって区切る。
なお,空要素の場合は,空要素タグによって区切る。
各要素は,名前で識別される型をもつ。属性の集合をもってもよい。
各属性は,名前及び値をもつ
[XML]。
- イベント伝播(event propagation)
又はイベントバブル化(event bubbling)
- これは,一つのイベントが,一つのオブジェクト又は
関係するオブジェクトの集合に影響を与えることができることを示す。
潜在的に影響を受けるオブジェクトはいずれも,(上向きのイベント伝播に関して)
そのイベントをブロックし,異なるイベントで置き換えることができる。
その際のイベントは,そのイベントの発生源であるノードからすべての親ノードへの
ブロードキャストとなる。
- 等価性(equivalence)
- 二つのノードが同じノード型及び同じノード名をもつ場合,
その二つのノードは等価とする。
等価なノードがデータを含む場合は,そのデータは同じでなければならない。
等価なノードが属性をもつ場合は,
属性名の集まりは同じであって,名前によって対応する属性は,ノードとして等価でなければならない。
二つのノードが等価であって,その子ノードリストがNodeListオブジェクトとして等価な場合は,
その二つのノードは真に等価とする。
この場合,等価な属性の対は,真に等価でなければならない。
二つのNodeListオブジェクトは,同じ長さをもち,インデクスによって対応するノードが真に等価な場合,
等価とする。
二つのNamedNodeMapオブジェクトは,同じ長さをもち,
名前に関する同じ集まりをもち,
その対応付けにおいて名前によって対応するノードが真に等価な場合,
等価とする。
二つのDocumentTypeは,ノードとして等価であって,同じ名前をもち,
NamedNodeMapオブジェクトとして等価な実体及び属性をもつ場合,
等価とする。
- ホスト実装(hosting implementation)
- (ホスト)実装は,クライアントアプリケーションが使用可能な
DOMインタフェースの実装を提供するソフトウェアモジュールとする。
ホスト実装の例に,ブラウザ,エディタ及び文書リポジトリがある。
- HTML
- ハイパテキストマーク付け言語(HyperText Markup Language,以降HTML)は,
プラットフォーム間で可搬なパイパテキスト文書を作成するために使用する単純なマーク付け言語とする。
HTML文書は,広範囲のアプリケーションにおいて情報を表現するために適切な一般的セマンティクスをもつ
SGML文書とする
[HTML 3.2]
[HTML 4.0]。
- IDL
- インタフェース定義言語(Interface Definition Language,以降IDL)は,
オブジェクト上のアクセス及び操作のためのインタフェースを定義する目的で使用する。
IDLの例に,
オブジェクト管理グループ(Object Management Group,以降OMG)のIDL,
MicrosoftのIDL
及びSunのJava IDLがある。
- 実装者(implementor)
- 製品において,APIとして文書オブジェクトモデルをサポートすると主張する,会社,組織及び個人。
- 継承(inheritance)
- オブジェクト指向プログラムにおける,他のクラス(又はインタフェース)のすべてのメソッド及び特性に,
付加的なメソッド及び特性を追加して,新しいクラス(又はインタフェース)を生成する能力。
クラス(又はインタフェース)Dがクラス(又はインタフェース)Bから継承する場合,
DはBから派生するという。
Bは,Dに対する基底クラス(又はインタフェース)という。
プログラム言語の中には,多重継承,すなわち,一つ以上のクラス又はインタフェースからの継承,を許すものもある。
- 初期構造モデル(initial structure model)
- 原構造モデル(raw structure model)又は未処理モデル(uncooked model)ともいう。
これは,実体展開,生成テキスト,スタイル指定再順序付け又はスクリプトの実行によって修正される前の文書を表現する。
文書に対する"初期構文木"が存在する実装の場合は,
初期構造モデルを"初期構文木"に対応付けさせるかもしれない。
エディタは恐らく初期構造モデルをアクセスしようとするが,
実装によっては,
文書に対する初期構造モデルへのアクセスが提供されないかもしれないことに注意。
- インタフェース(interface)
- インタフェースは,実装についての情報をもたないメソッドの集合の宣言とする。
インタフェース及び継承をサポートするオブジェクトシステムでは,インタフェースは,
一般に他のインタフェースから継承できる。
- 言語結合(language binding)
- IDL仕様に対するプログラム言語結合は,仕様におけるインタフェースの,与えられた言語に対する実装とする。
例えば,文書オブジェクトモデルのIDL規定に対するJava言語結合は,
そのインタフェースが開示する機能を提供する具象Javaクラスを実装する。
- メソッド(method)
- メソッドは,オブジェクトに関連付けられた操作又は関数であって,オブジェクトのデータを操作することを可能とする。
- モデル(model)
- モデルは,手元にある情報の実データ表現とする。
その例に,構文構造及び文書に関連付けられたスタイル情報を表現する構造モデル及びスタイルモデルがある。
モデルは,木,有向グラフなどであってよい。
- オブジェクトモデル(object model)
- オブジェクトモデルは,クラス又はインタフェースを,それらのメンバデータ,メンバ関数
及びクラスの静的な操作と共に記述した集まりとする。
- 親(parent)
- 親は,一つのノードの直前の先祖のノードとする。
- ルートノード(root node)
- ルートノードは,いかなる他のノードの子ではない特別なノードとする。
すべての他のノードは,ルートノードの子又は子孫とする
[XML]。
- 兄弟(sibling)
- 二つのノードが同じ親ノードをもつ場合,それらのノードは兄弟とする。
- 文字列比較(string comparison)
- 文字列の一致化を要求された場合,文字列比較は,Unicode 2.0規定の二つの符号位置の列の間で行うものとする。
- タグ妥当文書(tag valid document)
- 文書におけるすべての開始タグ及び終了タグが適切に対応し入れ子になっている場合,
その文書はタグ妥当とする。
- 型妥当文書(type valid document)
- 文書が明示的なDTDに適合する場合,その文書は型妥当とする。
- 未処理モデル(uncooked model)
- 初期構造モデルを参照。
- 整形式文書(well-formed document)
- 文書がタグ妥当であり,実体が一つの要素(すなわち,一つの部分木)に限定されている場合,
その文書は整形式とする。
- XML
- 拡張可能なマーク付け言語(Extensible Markup Language,XML)は,
SGMLの非常に単純な方言で,
[XML]において完全に示されている。
その目的は,現在HTMLを用いて可能な方法で,一般的なSGMLのWeb上でのサービス,受信及び処理を可能とすることにある。
XMLは,実装が容易で,SGML及びHTMLの両方と相互運用可能となるために設計された
[XML]。