標準情報 TR X 0042:2001

フォントサービス - 抽象サービス規定 解説



1. 公表の趣旨及び経緯

ISO/IEC JTC1/SC34の前身であるISO/IEC JTC1/SC18は, フォント情報交換のためのフォント資源に関する規格ISO/IEC 9541-1, -2及び-3を完成した後, フォント資源にアクセスするための応用プログラムインタフェース及びフォント資源を交換するための応用プロトコルに対する利用者要求に応えて, フォントサービスの標準化作業を行うプロジェクトをそれぞれWG8およびWG4に設立して, 作業に着手した。

SC18/WG8における抽象サービス規定の標準化作業は, CD(Commitee Draft)が投票で承認された段階まで進んだ。その直後にJTC1の再構築が開始され, その段階まで進捗がなかったSC18/WG4におけるプロトコル規定の廃止手続きが行われた際に, JTC1における事務処理の手違いでフォントサービスのプロジェクトそのものが廃止されるということになった。

そこで, JTC1にSC34として再構築されつつあったSC18は, CDが承認された抽象サービス規定をTR(Technical Report)として位置付けることとして再度新作業課題提案(NP)を行い, 1998年3月を期限とするNP投票でプロジェクトの承認を受けた。さらにDTR(Draft Technical Report)の様式にテキストを改めて, 1999年3月を期限とするDTR投票によって承認された。

財団法人日本規格協会における情報技術標準化研究センター(INSTAC)の"文書処理及びフォントの標準化調査研究委員会(DDFD)"は, 国内におけるフォント資源へのアクセスのための抽象サービス規定の必要性について, 調査研究を行い, 標準情報(TR)として公表することの意義を示した。そこで通商産業省の工業技術院は, DDFDに対してフォントサービス - 抽象サービス規定のTR化作業を委託した。DDFDではその作業グループ(DDFD-WG)が, 2000年度にこのTR化の作業を担当し, 2001年3月に標準情報(TR)の原案を完成して経済産業省産業技術環境局に提出した。


2. 審議中の主要検討課題

2.1 訳語

訳語選定に際しては,JIS X 4161:1993 フォント情報交換 第1部 体系, 及びフォント関連規格において使用している訳語との整合を配慮した。

この規格で採用した主な訳語を次に示し, 今後の関連規定の作成等に際しての参考とする。

解説表2.1 主な訳語

原語 訳語
application support facilityアプリケーション支援機能
access facilityアクセス機能
connectivity need接続性要求
removable media可搬媒体

2.2 章・節などの構成

原規定とこの標準情報(TR)との章・節などの構成上の対応を次に示す。

なお, "0. 導入"の備考における参考の記述は, この標準情報(TR)において追加した。

2.3 その他の翻訳表記上の規則

原規定には, JTC1/SC34でのレビュー用としてHTML版が用意されている。この標準情報(TR)は原則として, この原規定HTML版のタグを保存することにしたが, 特に次の点に留意した。


3. 引用規格及び対応JIS

この解説表3.1は, TR本体の附属書1にある原規定の引用規格(References)に対応するJISがある場合に, これを表す。

なお, 国際規格の名称は, 原国際規格に記述されているため省略している。

解説表3.1 引用規格及び対応JIS
国際規格番号JIS番号JIS名称備考
ISO/IEC 9541-1:1991JIS X 4161-1993フォント情報交換 第1部 体系全訳規格
ISO/IEC 9541-3:1991JIS X 4163-1994 フォント情報交換 第3部 グリフ形状表現全訳規格
ISO/IEC 10179:1996JIS X 4153:1998文書スタイル意味指定言語(DSSSL)全訳規格
ISO/IEC 10180:1995JIS X 4154:1997標準ページ記述言語(SPDL)全訳規格


4. 用語

用語に関しては, この標準情報(TR)が要約TRであることから, TR本体においては, 訳の対象から省略されている。原規定における用語と対応する日本語訳を解説表4.1に示す。

解説表4.1 用語の日本語訳
原規定箇条番号原規定における用語対応日本語
3.1font managerフォント管理者
3.2font propertyフォント属性
3.3font provederフォント提供者
3.4font queryフォント問合わせ
3.5font requesterフォント要求者
3.6font resource informationフォント資源情報
3.7font serviceフォントサービス
3.8font service APIフォントサービスAPI
3.9font service entityフォントサービス実体
3.10font service protocolフォントサービスプロトコル
3.11font substitutionフォント代替
3.12font service userフォントサービス利用者
3.13glyph associationグリフ関連付け
3.14glyph substitutionグリフ代替


5. 原案作成委員会

原案作成委員会である(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の"文書処理及びフォントの標準化調査研究委員会"(DDFD)は, 学識経験者, メーカ及び利用者で構成され, その委員会の中に実際の翻訳作業を行う作業グループ(DDFD-WG)が設置されている。それらの構成員を次に示す。

解説表5.1 文書処理及びフォントの標準化調査研究委員会 構成表

氏名 所属
(委員長) 池田 克夫 京都大学
(幹事) 小町 祐史 松下電送システム株式会社 (SC34専門委員会委員長)
安達 淳 株式会社沖データ
内山 光一 株式会社東芝
小笠原 治 社団法人日本印刷技術協会
高沢 通 大日本スクリーン株式会社
高橋 亨 株式会社日立製作所
窪田 明 通商産業省機械情報産業局
八田 勲 通商産業省工業技術院標準部
大久保 彰徳 株式会社リコー
宮本 義昭 日本ユニシス株式会社
(工技院) 永井 裕司 通商産業省工業技術院標準部
(事務局) 内藤 昌幸 財団法人日本規格協会

解説表5.2 作業グループ(DDFD-WG) 構成表

氏名 所属
(主査) 小町 祐史 松下電送システム株式会社 (SC34専門委員会委員長)
(幹事) 内山 光一 株式会社東芝
(幹事) 高橋 亨 株式会社日立製作所
安達 淳 株式会社沖データ
今郷 詔 株式会社リコー
小笠原 治 社団法人日本印刷技術協会
奥井 康弘 株式会社日本ユニテック
海田 茂 ネクストソリューション株式会社
内藤 広志 大阪工業大学
萩野 剛ニ郎 電気通信大学
内藤 求 株式会社シナジーインキュベート
渡部 賢一 日本規格協会
(オブザーバ) 浅利 千鶴 浅利会計事務所
(工技院) 永井 裕司 通商産業省工業技術院標準部
(事務局) 内藤 昌幸 財団法人日本規格協会