附属書A 日本語検索機能記述例
この標準報告書(TR)の本体に説明された指針を用いて,日本語検索機能を記述する例として,図書館で一般利用者向けの図書検索方法の手引書を作成することを想定した簡単な例を次の箇条に示す。手引書は,初心者向け,上級者向けなどを作成し,初心者向けには,詳細な事項を記入しないなどの配慮をしたほうがよい。
この例を作成するため,国立国会図書館をはじめ,多くの都道府県立図書館・市町村立図書館のウェブページを参考にさせていただいた。
日本語検索機能記述例(図書館の図書資料検索システム)
図書資料検索の方法
図書資料は,検索端末を用いて検索することができます。書名,著者,分類記号による検索ができます。書名,著者,分類記号に索引語を入力し,[検索]ボタンを押してください。複数の項目欄に入力すると,入力したすべての項目を満たす蔵書が検索されます(AND検索)。
文字・数字の入力上の注意
各項目欄には,漢字,平仮名,片仮名,アルファベット,数字を入力して検索することができます。ただし,項目ごとに,制限や拡張がある場合がありますので,各項目欄の説明も参照してください。
- データベース中には,JIS X 0208:1990の文字,いわゆるJIS漢字コードの第1水準及び第2水準の文字が含まれています。外字は使用していません。JIS X 0208:1990で表すことのできない文字は,検索に使うことはできませんし,結果として表示されることもありません。機種依存の文字は使えませんので特に注意してください。
- 漢字の異体字の相互変換は行っていませんので,データベースに格納されているJIS漢字コードの第1水準及び第2水準で表されるデータと同じ漢字文字列を使って検索しないとヒットしません。
- 入力欄には1バイト文字符号(いわゆる半角文字)とマルチバイト文字符号(いわゆる全角文字)のいずれも入力することができ,同一の文字として扱われます。例)“500”(1バイト文字符号)と“500”(マルチバイト文字符号)とはどちらを入力しても同じ。
- 1バイト文字符号で表される片仮名,いわゆる半角カナは,入力することはできません。マルチバイト文字符号で表される片仮名を使用してください。
- 検索時,文字として使えるのは,漢字,平仮名,片仮名,アルファベット,数字だけです。記号類は文字として扱われず,無視されます。ただし,検索の条件に使えないだけで,結果の表示では,可能な限り図書に表示してあるのと同じように表示します。特に以下に列挙する記号は文字ではなく記号類に含まれますので,無視されることに注意してください。スペース(“ ”) ,句読点(“、”,“。”),長音記号(“ー”),カンマ(“,”),ピリオド(“.”),ハイフン(“−”),引用符(“””),アポストロフィ(“’”),疑問符(“?”),感嘆符(“!”),コロン(“:”),セミコロン(“;”)。
- アルファベットは,A〜Zの26文字及びa〜zの26文字だけ使うことができます。ギリシャ語,ロシア語のアルファベット,ヨーロッパの言語で使われるアクセント記号などのついたアルファベットは使えません。大文字と小文字は同一のものとして検索されます。“A”と“a”は区別されません。
- データベース中に,ローマ字が含まれている場合がありますが,相互変換処理等行いませんので,データベースに格納されている文字列の通りに記述しないと,ヒットしません。
- 平仮名と片仮名は同じものとして扱われます。“パソコン”も“ぱそこん”も同じです。小さい平仮名(ぁぃぅぇぉっゃゅょゎ),小さい片仮名(ァィゥェォッャュョヮヵヶ)は大きい文字と同じものとして扱われます。旧平仮名(ゐゑ)旧片仮名(ヰヱ)は“イ”,“エ”と同じものとして扱われます。長音記号(“ー”)は記号としていますので無視されます。“ヂ”,“ヅ”と“ジ”,“ズ”とは別の文字とみなしていますが,読みの入力などの場合は,両方を試してみてください。
書名による検索
- 部分一致(〜を含む)検索及び前方一致(〜で始まる)検索が行えます。どちらかをメニューで選んでください。
- AND,OR及びNOTの論理演算が行えます。複数の文字列を“&”(AND),“|”(OR)又は“!”(NOT)の記号で区切って入力してください。論理演算記号は1バイト文字符号で入力してもマルチバイト文字符号で入力しても構いません。スペース(“ ”)で区切ってもAND検索やOR検索にはなりませんので注意してください。
- 書名の項目欄に,平仮名又は片仮名で,読みを入力して検索することもできます。
著者名による検索
- 著者の姓と名との間は,つなげても,1バイト文字符号又はマルチバイト文字符号のスペースで区切っても同じとみなされます。
- 複数著者の場合,一人だけ指定しても検索可能ですが,複数の著者を指定したい場合には,“&”で区切って入力してください。
- 著者名による検索では,著者データベースを介在させることによって,同一著者に対して複数の表示形式がある場合でも,同一著者の著述とみなせるよう,著者を表す統一の表現形式(標目形)に変換する処理を行ってから,図書資料の検索を行っています。例)シェイクスピア,シェークスピヤ,Shakespeareは,Shakespeare,William.という標目形に変換してから,図書検索が行われます。
分類記号による検索
分類記号による検索では,日本十進分類法(NDC)による検索ができます。
- 1バイト文字符号で入力してください。
- 分類記号にハイフン,小数点などの記号を含む場合は,そのとおりに入力してください。
- 前方一致により検索します。例)548.95と入力した場合,548.95,548.953,548.954,548.957,548.958の分類記号をもつ図書資料が表示されます。