標準情報 TR X 0017:2002

インタネット印刷プロトコル 1.1: 符号化及びトランスポート 解説



1. 公表の趣旨及び経緯

インタネット印刷プロトコル(IPP)は, Internet Engineering Task Force (IETF)によって開発が行われており, Internet-Draftの段階から, インタネット環境における印刷プロトコルとして多くの利用者の注目を集めると共に, プリンタベンダによってその実装が行われ, 既に製品が市場に現れている。(社)日本事務機械工業会の標準化委員会 PDL開発検討小委員会は, この動向に着目して調査研究を継続し, "技術標準等の早期公開によるJIS化の前提となるコンセンサスの形成を促進する" という標準情報(TR)によるIPPの公表の必要性を通商産業省工業技術院に提言した。

通商産業省工業技術院は, 1998年4月に(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の中に電子出版技術調査研究委員会を設立し, IPPの翻訳作業の委託を行った。電子出版技術調査研究委員会では作業グループWG1がこの作業を担当し, 1998年9月からまず, 1998年6月にInternet Engineering Task Force (IETF)によって公表されたInternet Printing Protocol 1.0: Encoding and Transport (Internet-Draft)の翻訳に着手して, 1999年2月に標準情報の原案を完成した。 これは, TR X 0017:1999として, 1999年5月に公表されている。

IETFは, 1999年5月にInternet Printing Protocol 1.1: Model and Semantics (Internet-Draft)を公表した。電子出版技術調査研究委員会のWG1は直ちにその翻訳に着手し, 1999年8月に標準情報の原案を完成して工業技術院に提出した。これは, TR X 0024:1999として, 1999年11月に公表されている。

これらのIPP関連の標準情報(TR)においては, プリンタ業界で既にIPP対応プリンタが製造され, 市場に提供されているという背景の下に, TR公表を急ぐ必要があったので, IETFのInternet-DraftをTRの原規定(翻訳対象)として採用した(TR X 0024:1999の解説3.を参照)。

その後, IETFで検討が進み, 2000年9月に, RFC2910,Internet Printing Protocol 1.1: Encoding and Transportが公表された。そこで, 電子出版技術調査研究委員会のWG1は, それと, TR X 0017:1999の原規定であるInternet Printing Protocol 1.0: Encoding and Transport (draft-ietf-ipp-protocol-06.txt)との差異を調査して, RFC2910の翻訳に着手し, TR X 0017の改正原案を2001年11月に経済産業省に提出した。


2. 審議中の主要検討課題

2.1 訳語

この標準情報(TR)で採用した主な訳語を次に示し, 今後のIPP関連規定の翻訳に際しての参考とする。

原語訳語 [( )内は必要に応じて用いる。]
chunkチャンク
chunkingチャンク化
cipher suite暗号スイート
collection集まり
cross feed direction行方向
default portデフォルトポート
digest authenticationダイジェスト認証
enum(列挙型)
enum value列挙値
enums列挙
expected見込まれている
feed direction行送り方向
high-volume throughput大容量スループット
IETF standards track extensionsIETFの標準手続き拡張
infrastructure基盤
literally正確に
low paper throughput低い紙スループット
major and minor version-number主版番号及び副版番号
multi-valued attribute多値属性
non-secure安全でない
notion概念
operationlayer 操作層
paddingパディング
parsing loop構文解析ループ
persistently永続的に
POST methodPOST方式
privacyプライバシ
redirectionリダイレクション
reserved予約済み
scheme方式
secure安全な
security implicationsセキュリティの暗示
sender送信側
standard document規定文書
targetターゲット
terminator終端子
textual valueテキスト値
transport転送する,トランスポート(層)
uniform resource identifier統一資源識別子
upgrade上位改訂
well known port既知ポート


2.2 章・節構成

IETFの規定は, 必ずしもJIS又は標準情報(TR)の様式には整合していないため, 整合化の対応が必要である。しかしTRの読者が原規定を参照する際の便を考慮すると, 章・節構成及び章・節の順序表示はなるべく原規定のそれらを保存することが望まれる。そこで, 次に示すだけの修正を施して, この標準情報(TR)を構成した。

2.3 その他の翻訳表記上の配慮

原規定は, プレーンテキストとして記述されている。この標準情報(TR)はそれに最小限のHTMLタグを付けて読み易さ及び交換性を向上させた。その際に次の配慮を施してある。


3. 懸案事項及び関連事項

IPPは, ISO/IEC JTC1/SC18で開発されたDPA(ISO/IEC 10175 Document Printing Application)[1], [2], [3]のlight weight版に位置付けられ, その詳細理解には, DPAの参照が望まれる。

プリンタはその高機能化と低価格化が進み, 家庭内にもカラープリンタが普及している。関連する業界も, 印刷業界だけでなく, 事務機械, 情報機械, 家電, 写真, 出版, コンビニ等に及んでいる。特にコンビニは, 大衆のオンデマンド出版基地として新たな活動を展開しはじめている。このように大量普及したリソースをインタネットで結び相互に利用する要求は高まっており, IPPの標準情報(TR)としての公表はこの要求への一つの解であった。

IPP対応のプリンタは既に市場に出ているが, その結果, ネットワーク印刷管理に対する機能要求が多くの利用者が出され, DPAの JIS化への要望が高まっている。 このJISの制定によって, カスタム出版, オウン出版, オンラインプリクラ等の新たな印刷大衆化への動向を加速化できることが期待され, 出版業界, 印刷業界, 新聞業界等の活性化が期待される。

これらの利用者要求に応えるため, IPPの標準情報(TR)原案を作成した委員会は, 2001年度の活動として, DPAのJIS原案[4]作成も行っている。


4. 参考文献

[1] ISO/IEC 10175-1:1996, Document Printing Application(DPA) Part 1: Abstract service definition and procedures, 1996-09

[2] ISO/IEC 10175-2:1996, Document Printing Application(DPA) Part 2: Protocol specification, 1996-09

[3] ISO/IEC 10175-3:2000, Document Printing Application(DPA) Part 3: Management abstract service definitions and procedures, 2000-12

[4] 平成13年度(2001年度) 電子出版技術調査研究委員会(EPCom)成果報告書, 日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC), 2002-03


5. 原案作成委員会

この標準情報(TR)原案を作成した(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の電子出版技術調査研究委員会及び作業グループWG1の委員構成を, それぞれ解説表5.1, 解説表5.2に示す。

解説表5.1 電子出版技術調査研究委員会
氏名所属
(委員長)池田 克夫大阪工業大学
(幹事)小町 祐史松下電送システム株式会社
(幹事)大久保 彰徳株式会社リコー
(幹事)長村 玄株式会社ドキュメント・エンジニアリング研究所
(幹事)高沢 通大日本スクリーン製造株式会社
(幹事)内山 光一株式会社東芝
礪波 道夫日本新聞協会(読売新聞社)
小笠原 治社団法人日本印刷技術協会
木戸 達雄経済産業省産業技術環境局
(オブザーバ)高橋 昌行経済産業省産業技術環境局
(オブザーバ)有木 靖人日本新聞協会
(事務局)内藤 昌幸財団法人日本規格協会

解説表5.2 作業グループ WG1
氏名所属
(主査)小町 祐史松下電送システム株式会社
(幹事)内山 光一株式会社東芝
(幹事)大久保 彰徳株式会社リコー
奥井 康弘株式会社日本ユニテック
海田 茂ネクストソリューション株式会社
内藤 広志大阪工業大学
矢ケ崎 敏明キヤノン株式会社
海田 茂ネクストソリューション株式会社
長村 玄株式会社ドキュメント・エンジニアリング研究所
(オブザーバ)浅利 千鶴浅利会計事務所
(オブザーバ)高橋 昌行経済産業省産業技術環境局
(事務局)内藤 昌幸財団法人日本規格協会