RDFは,"ウェブ資源を記述するデータ"をメタデータとし, 計算機が理解可能なウェブ上の情報を交換するアプリケーション間の相互運用性を提供するために,資源記述の枠組みを与える。メタデータ記述への要求は以前からあり1), 1997年6月にW3Cに提案されたMCF(Meta Content Framework)2)は, RDFの原型になっている。同じ頃, W3Cでは, ウェブ資源に対して格付けを行なうPICS(Platform for Internet Content Selection)3), 電子署名を行なうDSIG4)などの標準化作業が進行中であり, ウェブ資源記述の標準的な枠組みの必要性が高まっていた。
そこでW3Cは, 1997年9月にRDF Model and Syntax WGを設立し, RDFのデータモデル及び構文に関する検討を開始した。最初の作業ドラフト(WD)は1997年10月2日に公開され, その後改訂を重ねて, 1999年2月22日に勧告"Resource Description Framework (RDF) Model and Syntax Specification"が公表された。
RDFのスキーマについては, 1997年11月に設立されたRDF Schema WGが検討を行っている。最初のWDは1998年3月に公開され, 1999年8月においては, 1999年3月の勧告案(PR) "Resource Description Framework (RDF) Schema Specification"が最新版になっている。
(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の高速Webにおける標準化に関する調査研究委員会は, その作業グループ(WG3)の1998年度の活動としてRDFの調査研究を行い, 標準情報(TR)によるRDFの公表の必要性を提言した。
高速Webにおける標準化に関する調査研究委員会の作業グループ(WG3)はは, 通商産業省工業技術院からの委託を受けて1999年度の活動として, W3C勧告の"Resource Description Framework (RDF) Model and Syntax Specification"の翻訳及び標準情報(TR)原案作成を行なった。原案は1999年8月に工業技術院に提出されている。
訳語選定に際しては,XMLを規定している標準情報 TR X 0008:1999 拡張可能なマーク付け言語(XML)及びSGML関連規格において使用している訳語との整合を配慮した。
この標準情報(TR)で採用した主な訳語を次に示し, 今後の関連規定の作成等に際しての参考とする。
原語 | 訳語 |
arc label | 弧ラベル |
base schema | 基底スキーマ |
canonical | 正準的な |
character ecsaping | 文字の別扱い |
content negotiation | 内容の折衝 |
dereferencing | (ポインタ経由で)参照する |
digital library | 電子図書館 |
digital signature | 電子署名 |
directed labelled graph | ラベル付き有向グラフ |
distributive referent | 分散的指示対象 |
domain neutral | 領域非依存 |
electronic commerce | 電子商取引 |
entity-relationship diagram | 実体関連図 |
equivalence | 等価性 |
escaping mechanism | 別扱い機構 |
formal model | 形式モデル |
foundation | 基盤 |
fragment | 素片 |
high-order | 高次の |
incremental modification | 増加的修正 |
in-line | 行内 |
interchange syntax | 交換構文 |
multiple inheritance | 多重継承 |
named arcs | 名前付けされた弧 |
privacy policy | プライバシ保護方針 |
production | 生成規則 |
rating | 格付け |
reasoning | 推論 |
referent | 指示対象 |
refinement | 洗練 |
regular | 正規的 |
reification | 具体化 |
relation | 関係 |
render | レンダリングする |
reusability | 再利用性 |
schema | スキーマ |
serialization syntax | 直列化構文 |
sharability | 共有可能性 |
shorthand | 簡略 |
statement | 文 |
syntax-neutral | 構文非依存の |
terminology | 用語法 |
uniform normalization | 一様正規化 |
view | ビュー |
well-formed | 整形式の |
wrapper | ラッパー |
W3Cの規定は, 必ずしもJIS又はTRの様式には整合していないため, 変更が必要である。しかしTRの読者が原規定を参照する際の便を考慮すると, 章・節構成はなるべく原規定のそれを保存することが望まれる。そこで, 次に示すだけの修正(章・節番号の変更なし)を施して, TR原案とした。
原規定は, HTMLを用いて記述されている。この標準情報(TR)も原則として, 原規定のタグを保存することにしたが, 特に次の点に留意した。
1) 浦本直彦, RDFとその周辺 - XML時代のデータ記述 −, 日本学術会議 情報学シンポジウム, 1999-01-14
2) W3C Note, Meta Content Framework Using XML, http://www.w3.org/TR/NOTE-MCF-XML/, 1997-06
3) Platform for Internet Content Selection (PICS), http://www.w3.org/PICS/
4) PICS Signed Labels (DSig) 1.0 Specification, http://www.w3.org/TR/RECDSig-label/, 1998-05
この標準情報(TR)の原案を作成した(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の高速Webにおける標準化に関する調査研究委員会, 及び作業グループ(WG3)の委員構成を次に示す。
氏名 | 所属 | |
---|---|---|
(委員長) | 池田 克夫 | 京都大学 |
(幹事) | 鯵坂 恒夫 | 和歌山大学 |
(幹事) | 小町 祐史 | 松下電送システム株式会社 |
(幹事) | 平山 亮 | ヒューレット・パッカード日本研究所 |
内山 光一 | 株式会社東芝 | |
久保田 靖夫 | 大日本印刷株式会社 | |
黒川 利明 | 株式会社CSK | |
斎藤 伸雄 | 凸版印刷株式会社 | |
澤田 位 | 財団法人日本規格協会 | |
八田 勲 | 通商産業省工業技術院標準部 | |
二本松 勝 | 株式会社日立製作所 | |
氏兼 裕之 | 通商産業省機械情報産業局 | |
古瀬 幸広 | 立教大学 | |
松本 充司 | 早稲田大学 | |
柳町 昭夫 | 株式会社NHKアイテック | |
(事務局) | 山中 正幸 | 財団法人日本規格協会 |
氏名 | 所属 | |
---|---|---|
(主査) | 小町 祐史 | 松下電送システム株式会社 |
(幹事) | 内山 光一 | 株式会社東芝 |
奥井 康弘 | 株式会社日本ユニテック | |
上村 圭介 | 国際大学グローバルコミュニケーションセンター | |
北野 敬介 | 日本サン・マイクロシステムズ株式会社 | |
黒川 利明 | 株式会社CSK | |
郡山 龍 | 株式会社アプリックス | |
澤田 位 | 財団法人日本規格協会 | |
湯沢 広吉 | 通商産業省機械情報産業局 | |
内藤 広志 | 大阪工業大学 | |
乃木 篤 | 株式会社CSK | |
田川 淳 | 通商産業省工業技術院標準部 | |
オブザーバ | 浅利 千鶴 | 浅利会計事務所 |
オブザーバ | 山東 滋 | 株式会社日立製作所 |
オブザーバ | 稲垣 博人 | 日本電信電話株式会社 |
オブザーバ | 荻原 崇弘 | 通商産業省機械情報産業局 |
(事務局) | 山中 正幸 | 財団法人日本規格協会 |