標準情報 TR X 0014:1999

同期化マルチメディア統合言語 (SMIL) 1.0 解説



1. 公表の趣旨及び経緯

同期化マルチメディア統合言語 1.0は, World Wide Web Consortium(W3C)によって1998年6月の勧告発表以前から, 独立なマルチメディアオブジェクトの集合を,同期化したマルチメディアプレゼンテーションに統合することを可能にするマーク付け言語として多くの利用者の注目を集めてきた。(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の高速Webにおける標準化に関する調査研究委員会は, この動向に着目して調査研究を継続し, "技術標準等の早期公開によるJIS化の前提となるコンセンサスの形成を促進する" という標準情報(TR)によるSMIL 1.0の公表の必要性を通商産業省工業技術院に提言した。

通商産業省工業技術院は, 1998年4月に, 高速Webにおける標準化に関する調査研究委員会に対してSMIL 1.0の翻訳作業の委託を行った。同委員会では作業グループWG3(高速Web言語)がこの作業を担当し, 1998年10月からW3C Recommendation 15-June-1998(REC-smil-19980615)の翻訳に着手して, 1999年2月に標準情報(TR)の原案を完成した。

2. 審議中の主要検討課題

2.1 訳語

訳語選定に際しては,XMLを規定している標準情報 TR X 0008:1998 拡張可能なマーク付け言語(XML)及びSGML関連規格において使用している訳語との整合を配慮した。

この標準情報(TR)で採用した主な訳語を次に示し, 今後の関連規定の作成等に際しての参考とする。

原語 訳語
acoustic 聴覚的
associated link 関連付けられたリンク
associating link 関連リンク
audio オーディオ
authoring tool 編集ツール
base URI 基底URI
based document 基底文書
basic layout 基本レイアウト
body element body 要素
body part 本体部
caption track 見出しトラック
clip クリップ
closed-captioning 閉じ見出し
complete media object 完全メディアオブジェクト
contained element 含まれる要素
containing element 含む要素
destination document リンク先文書
discrete media object 離散メディアオブジェク
document body 文書本体
document head 文書ヘッド
embedded document 埋込み文書
hard synchronization 厳密な同期
implied attribute IMPLIED 形属性
locator ロケータ
matching rule 一致化規則
overdub 差替え
playback delay 再生遅延
preference 設定
rating label 格付けラベル
scaling 変倍
single-headed links 単頭リンク
soft synchronization 厳密でない同期
source リンク元
source presentation リンク元プレゼンテーション
traversal たどり
unit qualifier 単位限定子
video clip ビデオクリップ
viewport ビューポート
web ウェブ
z-index zインデクス


2.2 用語表記の揺れ

原規定においては, hyperlinkとlinkとが同じ意味で混在するなどの用語表記の揺れがある。この標準情報(TR)の訳文中では, 原規定のこれらの揺れに対する統一化は施さず, 原規定の表記の揺れをそのまま残して翻訳している。

2.3 章・節構成

W3Cの規定は, 必ずしもJIS又は標準情報(TR)の様式には整合していないため, 整合化の対応が必要である。しかしTRの読者が原規定を参照する際の便を考慮すると, 章・節構成はなるべく原規定のそれを保存することが望まれる。そこで, 次に示すだけの修正(章・節番号の変更なし)を施して, この標準情報(TR)を構成した。

2.4 その他の翻訳表記上の規則

原規定は, HTMLを用いて記述されている。この標準情報(TR)も原則として, 原規定のタグを保存することにしたが, 特に次の点に留意した。

3. 懸案事項

翻訳作業の過程で原規定における編集上の問題点の幾つかが明らかになり, 次に示すエラーレポートをW3Cに通知してある。それらの問題点は既に翻訳に反映されている。

a) 3.3
The description "content content edge" should be "content edge".
b) 4.2.4.1
The description "when this is, falls ..." should be clarified with other wordings.

"まえがき"に示した正誤表には,数点の問題指摘が行なわれている。参考のため, 次にその概要を示す。この標準情報(TR)には, これらの修正が既に施されている。

a) Section 3.3.1
In the description of the "fit" attribute and its "meet" value, the text "empty space at the left or bottom is filled" should read "empty space at the right or bottom is filled".
b) Section 3.3.1
At the end of the description of the "fit attribute, the text 'The default value of "fill" is "hidden"' should read 'The default value of "fit" is "hidden"'.
c) Section 4.2.3
The following should be added to the list of attributes:
repeat
Defined in Section 4.2.1
d) Section 4.2.4.2
In the section "Determining the implicit end of an element", in the last bullet, all occurences of "duration" should be replaced by "end". It should read as follows:
  • A "par" element has an implicit end that depends on the value of the "endsync" attribute. The implicit end is equal to the sum of the effective begin of the "par" element and the implicit duration which is derived as follows:
    • If the value of the "endsync" attribute is "last", or if the "endsync" attribute is missing, the implicit end of the "par" element is the maximum of the desired ends of its children.
    • If the value of the "endsync" attribute is "first", the implicit end of the "par" element is the minimum of the desired ends of its children.
    • If the value of the "endsync" attribute is an id-ref, the implicit end of the "par" element is equal to the desired end of the child referenced by the "id-ref".
e) Section 4.5.2
The following should be added to the list of attributes:
href
Defined in Section 4.5.1

4. 原案作成委員会

この標準情報(TR)の原案を作成した(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の高速Webにおける標準化に関する調査研究委員会及び作業グループ(WG3)の委員構成を, その順に次に示す。

高速Webにおける標準化に関する調査研究委員会
氏名所属
(委員長)池田 克夫京都大学
(幹事)鯵坂 恒夫和歌山大学
(幹事)小町 祐史松下電送システム株式会社
(幹事)平山 亮ヒューレット・パッカード日本研究所
内山 光一株式会社東芝
久保田 靖夫大日本印刷株式会社
黒川 利明日本アイ・ビー・エム株式会社
斎藤 伸雄凸版印刷株式会社
澤田 位財団法人日本規格協会
橋爪 邦隆通商産業省工業技術院標準部
長谷川 敬太日本電信電話株式会社
二本松 勝株式会社日立製作所
氏兼 裕之通商産業省機械情報産業局
古瀬 幸広立教大学
松本 充司早稲田大学
柳町 昭夫株式会社NHKアイテック
(事務局)山中 正幸財団法人日本規格協会


作業グループ(WG3)
氏名所属
(主査)小町 祐史松下電送システム株式会社
(幹事)内山 光一株式会社東芝
奥井 康弘株式会社日本ユニテック
上村 圭介国際大学グローバルコミュニケーションセンター
北野 敬介日本サン・マイクロシステムズ株式会社
黒川 利明日本アイ・ビー・エム株式会社
郡山 龍株式会社アプリックス
澤田 位財団法人日本規格協会
山東 滋株式会社日立製作所
田中 義之通商産業省機械情報産業局
内藤 広志大阪工業大学
仁保 信市株式会社東芝
乃木 篤株式会社CSK
中島 知行通商産業省工業技術院標準部
オブザーバ浅利 千鶴浅利会計事務所
オブザーバ稲垣 博人日本電信電話株式会社
オブザーバ吉川 徹志通商産業省機械情報産業局
(事務局)山中 正幸財団法人日本規格協会