OSTA(Optical Storage Technology Association)は, ISO/IEC 13346(Volume and file structure of write-once and rewritable media using non-sequential recording for information interchange)についてその実装のためのサブセティングと属性値の設定とを行い, 一連の規定UDF(Universal Disk Format)として公表している。これらのUDFは, DVD Forumの規定に盛り込まれ, DVDなどのボリューム構造及びファイル構造に関する各種規定の基本となっている。
ISO/IEC 13346に一致する日本工業規格JIS X 0607-1996(非逐次記録を用いる追記形及び書換形の情報交換用媒体のボリューム及びファイルの構造)の原案作成を行なった財団法人光産業技術振興協会の光ディスク標準化委員会 フォーマット分科会は, UDF Revision 1.01(1995-11)の翻訳を行ない,標準情報(TR)[情報交換のための非逐次記録高密度光ディスク(DVDなど)のボリューム構造及びファイル構造]の原案として,1996年3月に工業技術院に提出した。それは, TR X 0001:1996[1]として同年8月に公表されている。
OSTAは, Revision 1.01で指摘されていた問題点を解決して, UDF Revision 1.02(1996-08)をウェブ上で公表してた。フォーマット分科会は,このUDFの改訂内容を翻訳に盛込む作業を行い, さらにTR X 0001に含まれていた編集上の誤りを修正して, 1997年6月にJIS原案として工業技術院に提出した。それは, JIS X 0609:1998[2]として1998年2月に制定されている。このJIS X 0609及びTR X 0001は, JIS X 0607の記述に, UDFの規定内容を追加した体裁をとり, 原則としてISO/IEC 13346の参照を不要にしている。
さらにOSTAは, CD-R対応のUDF Revision 1.50(1997-02)を公表し, 引き続いてWindows NT対応のUDF Revision 2.00(1998-04)を発表した。これらのRevision 1.02, 1.50, 2.00(以降, それぞれUDF 1.02, UDF 1.50, UDF 2.00)については, 大きい版数の公表によって, それより小さい版数が廃止されることはなく, 並存したままOSTAのウェブで公開されている。
通商産業省の工業技術院は, OSTAの活動の重要性を早くから認識し, UDF 1.01が公表されると, UDFのJIS化を視野に入れた翻訳標準情報(TR)の原案作成を財団法人光産業技術振興協会の光ディスク標準化委員会 フォーマット分科会に指示した。
フォーマット分科会は, UDFの規定内容をJIS X 0607に追加して盛り込む体裁で, UDF 1.01をTR X 0001とし, UDF 1.02をJIS X 0609としてそれぞれの原案作成を行うと共に, UDF 1.02の翻訳を原規定に忠実な体裁で, "ユニバーサルディスクフォーマット規定"[3]として日本規格協会から出版した。UDFの規定の翻訳に際して, OSTAから日本規格協会に対する翻訳・出版の許諾を受けている。
UDF 1.50及びUDF 2.00の翻訳については, 当初はTR X 0001の改正原案の作成として, その作業を開始した。その後, 規定文書としての完結性よりもUDFとの一致性を望む利用者要求(TR X 0001及びJIS X 0609では, ISO/IEC 13346からの差分を規定するUDFの内容に, ISO/IEC 13346の必要な規定内容を加えているため, 規定文書の項目番号が, UDFのそれと異なる。)を受けて, UDFの完全翻訳の体裁でTR原案を作成する方針に切り替えた。
フォーマット分科会は, 2000年10月にUDF 2.00の翻訳としての標準情報(TR)の原案を完成して, 工業技術院に提出した。
原案作成委員会では, 関連するJIS又は標準情報(TR)との整合を考慮して, 訳語を選定した。この標準情報(TR)の作成に際して参照した訳語一覧を解説表 2.1に示す。
原語 | 訳語 |
---|---|
Abstract File Identifier | 抄録ファイル識別子 |
Access Type | アクセス種別 |
address | 番地 |
Allocation Descriptor | 割付け記述子 |
Allocation Extent Descriptor | 割付けエクステント記述子 |
Alternative Permissions | 代替許可条件 |
anchor point | 開始点 |
Anchor Volume Descriptor Pointer | 開始ボリューム記述子ポインタ |
application | 応用プログラム |
Application Use Extended Attribute | 応用プログラム用拡張属性 |
Architecture Type | 体系種別 |
Attribute Subtype | 属性副種別 |
Attribute Type | 属性種別 |
Beginning Extended Area Descriptor | 拡張領域先頭記述子 |
Boot Descriptor | 起動記述子 |
Checkpoint | チェックポイント |
Close Integrity (Descriptor/Entry) | クローズ保全(記述子/エントリ) |
cyclic redundancy check (CRC) | 巡回冗長検査 |
descriptor | 記述子 |
Descriptor Character Set | 記述子用文字集合 |
dirty | 不正 |
Domain Identifier | 範囲識別子 |
Entity | 実体 |
Equivalent Volume Descriptor Sequence | 同等ボリューム記述子列 |
Escape Sequence | エスケープシーケンス |
Explanatory Character Set | 説明用文字集合 |
Extended Allocation Descriptor | 拡張割付け記述子 |
Extended Attribute Header Descriptor | 拡張属性ヘッダ記述子 |
extent | エクステント |
field | 欄 |
file | ファイル |
File Entry | ファイルエントリ |
File Identifier Descriptor | ファイル識別記述子 |
file set | ファイル集合 |
File Set Descriptor | ファイル集合記述子 |
File Time Existence | ファイル日時存在 |
flag | フラグ |
Free Space Table | 利用可能空間テーブル |
freed space | 未初期化空間 |
Freed Space Bitmap | 未初期化空間ビットマップ |
Freed Space Table | 未初期化空間表 |
Generic format | 共通フォーマット |
generic partition map | 区画マップの共通フォーマット |
group ID | グループID |
ICB hierarchy | ICB階層 |
identifier | 識別子 |
implementation | 処理システム |
implementation use | 処理システム用 |
Implementation Use Extended Attribute | 処理システム用拡張属性 |
Implementation Use Volume Descriptor | 処理システム用ボリューム記述子 |
Indirect Entry | 間接エントリ |
Information Control Block | 情報制御ブロック |
Information Time Existence | 情報日時存在 |
instance of an extended attribute | 拡張属性のインスタンス |
Integrity Sequence Extent | 保全列エクステント |
Integrity Type | 保全種別 |
Load Address | ロード番地 |
logical block | 論理ブロック |
Logical Block Size | 論理ブロック長 |
logical sector | 論理セクタ |
logical volume | 論理ボリューム |
Logical Volume Contents Use | 論理ボリューム内容用 |
Logical Volume Descriptor | 論理ボリューム記述子 |
Logical Volume Integrity Descriptor | 論理ボリューム保全記述子 |
Long Allocation Descriptor | 長割付け記述子 |
Main Volume Descriptor Sequence | 主ボリューム記述子列 |
Major Device Identification | 主装置識別情報 |
Minor Device Identification | 副装置識別情報 |
Next Extent | 後続エクステント |
Next Integrity Extent | 保全列続きエクステント |
Next Volume Descriptor Sequence Extent | ボリューム記述子列続きエクステント |
Non-Allocatable Space List | 割付け禁止空間リスト |
non-sequential recording | 非逐次記録 |
Open Integrity (Descriptor/Entry) | オープン保全(記述子/エントリ) |
originating system | 作成システム |
padding | 埋込み |
partition | 区画 |
Partition Descriptor | 区画記述子 |
Partition Integrity Table | 区画保全表 |
Path Component | パス要素 |
Pathname | パス名 |
Permissions | 許可条件 |
Predecessor Volume Descriptor Sequence Location | 先行ボリューム記述子列位置 |
prevailing | 最新 |
Previous Allocation Extent Location | 先行割付けエクステント位置 |
Primary Volume Descriptor | 基本ボリューム記述子 |
Prior Recorded Number of Direct Entries | 記録済み直接エントリの個数 |
protected | 保護 |
receiving system | 受領システム |
record | レコード |
record structure | レコード構造 |
Recorded Address | 記録番地 |
reserved | 予備 |
Reserved Volume Descriptor Sequence | 予備ボリューム記述子列 |
resolved pathname | 帰着パス名 |
schema | スキーマ |
sector | セクタ |
sequence | 列 |
Short Allocation Descriptor | 短割付け記述子 |
Size Table | サイズテーブル |
space bitmap | 空間ビットマップ |
Space Bitmap Descriptor | 空間ビットマップ記述子 |
space table | 空間表 |
standard for recording | 記録のための規格 |
Strategy Parameter | 方策パラメタ |
Strategy Type | 方策種別 |
suffix | 添字 |
Tag Checksum | タグチェックサム |
Tag Serial Number | タグ通し番号 |
Terminal Entry | 終端エントリ |
Terminating Descriptor | 終端記述子 |
Terminating Extended Area Descriptor | 拡張領域終端記述子 |
type | 種別 |
Type 1(2) Partition Map | 第1(2)種区画マップ |
Unallocated Space Bitmap | 未割付け空間ビットマップ |
Unallocated Space Descriptor | 未割付け空間記述子 |
Unallocated Space Entry | 未割付け空間エントリ |
Unallocated Space Table | 未割付け空間表 |
Unique Id | 一意ID |
user ID | 利用者ID |
version | 版数 |
volume | ボリューム |
Volume Descriptor Pointer | ボリューム記述子ポインタ |
Volume Descriptor Sequence | ボリューム記述子列 |
Volume Descriptor Sequence Number | ボリューム記述子順序番号 |
Volume Sequence Number | ボリューム順序番号 |
volume set | ボリューム集合 |
volume space | ボリューム空間 |
UDFの規定は, 必ずしもJIS又は標準情報(TR)の様式には整合していないため, 整合化の対応が必要である。しかしTRの読者が原規定を参照する際の便を考慮すると, 章・節構成はなるべく原規定のそれを保存することが望まれる。そこで, 次に示すだけの修正(章・節番号の変更なし)を施して, この標準情報(TR)を構成した。
原規定は, ウェブ上のPDFの様式で書かれた電子化テキストで提供されている。この標準情報(TR)は, 翻訳作業に際してテキストにHTMLタグを付与し, 将来のウェブ配布に備えている。タグ付けは, 原規定の文書スタイルから読み取れる構造をできるだけ保存するものとし, 次の配慮を施した。
この規定の発行は, OSTAから日本規格協会に対する翻訳・出版の許諾に基づく。
©1994, 1995, 1996, 1997, OSTA. All right reserved. UNIVERSAL DISK FORMATTM and UDFTM are trademarks of OSTA, and are used with permission od OSTA.
Optical Storage Technology Association
311 East Carrillo Street
Santa Barbara, CA 93101
This document is a translation from the English version issued by OSTA. The English version was translated into Japanese by JSA, and OSTA shall have no liability whatsoever for any errors in translation. In the case of any consistencies between this document and the English version of this document, the English version shall be controlling, and the user is advised to consult the English version of this document.
[1] TR X 0001:1996, 情報交換のための非逐次記録高密度光ディスク(DVDなど)のボリューム構造及びファイル構造, 1996-08-06
[2] JIS X 0609:1998, 情報交換用非逐次記録高密度光ディスクのボリューム構造及びファイル構造, 1998-02-20
[3] 光ディスク標準化委員会 フォーマット分科会, ユニバーサルディスクフォーマット規定, 日本規格協会, 1997-08-20
この追補の原案は,財団法人光産業技術振興協会に設置された光ディスク標準化委員会のフォーマット分科会で作成され,光ディスク標準化委員会のレビューを受けた。これらの委員会の委員構成を, それぞれ解説表5.2及び解説表5.1に示す。
氏名 | 所属 | |
(委員長) | 板生 清 | 東京大学 |
(副委員長) | 小町 祐史 | 松下電送システム株式会社 |
石井 正則 | 日本電気株式会社 | |
土屋 洋一 | 三洋電機株式会社 | |
吉岡 誠 | 富士通株式会社 | |
増井 久之 | 財団法人マルチメディアソフト振興協会 | |
木目 健次朗 | 三菱電機株式会社 | |
入江 満 | 三菱電機株式会社 | |
八田 勲 | 通商産業省工業技術院 | |
横川 文彦 | パイオニア株式会社 | |
菅谷 寿鴻 | 株式会社東芝 | |
入江 英之 | 株式会社東芝 | |
高橋 正彦 | 株式会社日立製作所 | |
徳丸 春樹 | 日本放送協会 | |
田辺 隆也 | 日本電信電話株式会社 | |
応和 英男 | ソニー株式会社 | |
松林 宣秀 | オリンパス光学工業株式会社 | |
戸島 知之 | NTTインテリジェントテクノロジ株式会社 | |
三和 邦彦 | 日本アイ・ビー・エム株式会社 | |
村上 善照 | シャ−プ株式会社 | |
山田 昇 | 松下電器産業株式会社 | |
金沢 安矩 | ||
橋本 進 | 財団法人日本規格協会 | |
(事務局) | 増田 岳夫 | 光産業技術振興協会 |
(事務局) | 杉森 輝彦 | 光産業技術振興協会 |
(事務局) | 田辺 正剛 | 光産業技術振興協会 |
氏名 | 所属 | |
(統括) | 小町 祐史 | 松下電送システム株式会社 |
(副統括) | 八谷 祥一 | 株式会社アプリックス |
(副統括) | 高橋 正悦 | 株式会社リコー |
石井 正則 | 日本電気株式会社 | |
伊藤 精悟 | 株式会社東芝 | |
工藤 芳明 | 大日本印刷株式会社 | |
後藤 芳稔 | 松下電器産業株式会社 | |
沢田 要 | 川鉄情報システム株式会社 | |
徳丸 春樹 | 日本放送協会 | |
徳光 健司 | 株式会社日立製作所 | |
中根 和彦 | 三菱電機株式会社 | |
八田 勲 | 通商産業省工業技術院 | |
吉岡 誠 | 富士通株式会社 | |
(事務局) | 増田 岳夫 | 光産業技術振興協会 |
(事務局) | 松川 茂樹 | 光産業技術振興協会 |