UDF Comp. Test Tool 解説

標準情報 TR X 0075:2003

UDF適合性試験ツール
解説



1. 公表の趣旨及び経緯

OSTA(Optical Storage Technology Association)は, ISO/IEC 13346 (Volume and file structure of write-once and rewritable media using non-sequential recording for information interchange)[1]についてその実装のためのサブセティングと属性値の設定とを行い, 一連の規定UDF(Universal Disk Format)[2], [3], [4]として公表している。これらのUDFは, DVD Forumの規定に盛り込まれ, DVDなどのボリューム構造及びファイル構造に関する各種規定の基本となっている。CD-R/RWへのUDFの導入は, データの小単位での記録を容易にし, 使い勝手を向上させている。

これらのUDFの普及に伴い, UDF規定の解釈の違いから, その実装に互換性の問題があることが報告されるようになった。そこでOSTAは, UDF規定への適合性を確保するためのUDF適合性作業委員会(UDF Compliance Sub-committee)を発足させ, 各実装の適合性を試験する試験ディスクの規定(UDF Compliance Test Disk Specification)を開発した。

この規定に従って作成された試験ディスクを用いることによって, UDFの各実装は, 再生系の試験を行うことができる。しかしOSTAは, この規定に従った実際のディスクイメージ(可換記憶媒体上に記録されるビットパタン)の作成及びディスクへの記録には言及していない。適合性の実行には, これらを行うUDF適合性試験ツールソフトウェアの開発が不可欠であり, 関連業界から強く望まれていた。

この要求に応えて財団法人光産業技術振興協会(OITDA)は, 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から新規産業支援型国際標準開発事業の研究委託を受け, "光ディスクシステム相互運用性検討委員会(Fプロジェクト)"を設立して, そこでのUDF適合性試験ツールの開発をOSTAに提案し, 歓迎された。

Fプロジェクトは, 1998〜2000年度の3年間のプロジェクトであり, 1998年度においては, OSTAにおけるUDF Compliance Test Disk Specificationの完成が不十分であったため, Revision 0.04に従った試験ツールの開発を行った。1999年度になって, OSTAからRevision 1.0[5]が公表されたので, Fプロジェクトは, 試験ツールのRevision 1.0への整合を行った。 この間, FプロジェクトからOSTAのUDF適合性作業委員会に対して幾つものサンプルディスクが提供され, そこでの検証が行われた。 2000年度においては, 試験ツールのマニュアル等の整備を行うと共に, 試験ツール開発に際して明らかになったUDF Compliance Test Disk Specificationの内容に関する問題点をOSTAに示して, 修正提案を行っている。

試験ツールの内容はFプロジェクトの報告書[6], [7], [8]に示されているが, 多くの試験ツール利用者からはもっと情報入手の容易な標準情報(TR)による公表が望まれていた。標準情報(TR)による公表の必要性は, NEDOの新規産業支援型国際標準開発事業の研究連絡会議(2000-03-06, 日本規格協会)でも確認されている。 そこでFプロジェクトは, 試験ツールの内容をタイプVの標準情報(TR)の様式にまとめ, 2002年1月に原案提出を行った。この原案は, 2003年3月の経済産業省 情報技術専門委員会でTR X 0075として承認されている。


2. 審議中の主要検討課題及び懸案事項

2.1 継続検討

この標準情報(TR)の原案を開発した光ディスクシステムの相互運用性検討委員会(Fプロジェクト)は, その3年間の活動を終了して2000年度末に解散し, 国際機関に提案した課題のフォロー等の作業を, Fプロジェクトフォローアップ委員会が2001年度に行った。その後のフォローは, Fプロジェクトに参加したエキスパートによって, 必要に応じて対応されている。

2.2 UDF Compliance Test Disc Specificationへのフィードバック

試験ツール開発に際して明らかになったUDF Compliance Test Disc Specification Revision 1.0の内容に関する次の修正要求が, FプロジェクトからOSTAのUDF適合性作業委員会に提案されている。

Chapter 4

File Content Testing. Under File Content, in the FileRecord structure definition, change the comment "…this is the record number (1-n)" to "this is the record number (n-1)".

Sections 3.22, 3.24

Add a reference to chapter 4 (File Content Testing), File Contents. This ensures that implementations actually report extents marked as allocated but unrecorded as all zeros. In chapter 4, change "Each 512 byte block of a file…" to "Each 512 byte block of a file, including those marked allocated and unrecorded,…".

Section 2.1.9

Specifies "Discs 4 and 5 shall contain streams". This should be made much more complete and specific. As an action item, Gerrit Scholl volunteered to make a first attempt at this, posting it on the reflector.


3. 参考文献

[1] ISO/IEC 13346, Volume and file structure of write-once and rewritable media using non-sequential recording for information interchange, Part 1 and 5:1996, Part 2, 3 and 4:1999, (JIS X 0607:2001)

[2] Universal Disk Format Specification Revision 1.02, OSTA, 1996-08, (JIS X 0609:1998)

[3] Universal Disk Format Specification Revision 1.50, OSTA, 1997-02, (TR X 0039:2001)

[4] Universal Disk Format Specification Revision 2.00, OSTA, 1998-04, (TR X 0035:2000)

[5] UDF Compliance Test Disc Specification Revision 1.0, OSTA, 1999-07

[6] 1998年度 新エネルギー・産業技術総合開発機構研究受託成果報告書, 新規産業支援型国際標準開発事業 光ディスクシステムの相互運用性確保のための標準化, (財)日本規格協会及び(財)光産業技術振興協会, 平成11年3月

[7] 1999年度 新エネルギー・産業技術総合開発機構研究受託成果報告書, 新規産業支援型国際標準開発事業 光ディスクシステムの相互運用性確保のための標準化, (財)日本規格協会及び(財)光産業技術振興協会, 平成12年3月

[8] 2000年度 新エネルギー・産業技術総合開発機構研究受託成果報告書, 新規産業支援型国際標準開発事業 光ディスクシステムの相互運用性確保のための標準化, (財)日本規格協会及び(財)光産業技術振興協会, 平成13年3月


4. 原案作成委員会

この標準情報(TR)の原案は, 財団法人光産業技術振興協会に設けられた光ディスクシステム相互運用性検討委員会の作業部会で作成され, 光ディスクシステム相互運用性検討委員会のレビューを受けた。これらの委員会の委員構成を, それぞれ解説表4.2及び解説表4.1に示す。

解説表4.1 光ディスクシステム相互運用性検討委員会の構成
氏名所属
(委員長)板生 清東京大学
(副委員長)小町 祐史松下電送システム株式会社
大山 永昭東京工業大学
田中 邦麿帝京平成大学
谷口 隆厚生労働省 健康政策局
国分 明男財団法人ニューメディア開発協会
大久保 彰徳社団法人日本事務機械工業会
沢田 要川鉄情報システム株式会社
福島 能久松下電器産業株式会社
松井 猛株式会社リコー
松本 誠二ヤマハ株式会社
吉岡 誠富士通株式会社
(オブザーバ)岩田 悟志経済産業省商務情報政策局
(オブザーバ)八田 勲経済産業省工業技術院
(オブザーバ)福永 健文新エネルギー・産業技術総合開発機構
(オブザーバ)山村 修蔵財団法人日本規格協会
(オブザーバ)斉田 英一株式会社アプリックス
(オブザーバ)寺田 康彦株式会社ビー・エイチ・エー
(研究員)石原 聰財団法人光産業技術振興協会
(研究員)増田 岳夫財団法人光産業技術振興協会
(事務局)中島 眞人財団法人光産業技術振興協会
(事務局)佐伯 利一財団法人光産業技術振興協会

解説表4.2 光ディスクシステム相互運用性検討委員会 作業部会の構成
氏名所属
(主査)小町 祐史松下電送システム株式会社
(幹事)沢田 要川鉄情報システム株式会社
(幹事)松井 猛株式会社リコー
伊藤 精悟株式会社東芝
大久保 彰徳社団法人日本事務機械工業会
蒲田 順株式会社富士通研究所
高桑 伸行パイオニア株式会社
角田 重雄ヤマハ株式会社
中根 和彦三菱電機株式会社
長谷川 司株式会社日立製作所
日置 敏昭三洋電機株式会社
福島 能久松下電器産業株式会社
吉岡 誠富士通株式会社
吉田 正敏富士通株式会社
(オブザーバ)田中 義之経済産業省商務情報政策局
(オブザーバ)田中 勉経済産業省産業技術環境局
(オブザーバ)橋本 雅之財団法人日本規格協会
(オブザーバ)斉田 英一株式会社アプリックス
(オブザーバ)八谷 祥一株式会社アプリックス
(オブザーバ)寺田 康彦株式会社ビー・エイチ・エー
(研究員)石原 聰財団法人光産業技術振興協会
(研究員)増田 岳夫財団法人光産業技術振興協会
(事務局)中島 眞人財団法人光産業技術振興協会
(事務局)佐伯 利一財団法人光産業技術振興協会