財団法人日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の中に設けられた電子出版技術調査研究委員会は, World Wide Web Consortium (W3C)が規定する一連のWeb文書関連規定のTR化を行ったきた。それらに基づく文書情報は, ネットワーク環境で交換されることが多く, Internet Engineering Task Force (IETF)が規定するプロトコルと密接な関係がある。
そこで電子出版技術調査研究委員会の作業グループWG3は, 2001年度の活動としてこれらのプロトコルの調査を行い, 多くのWeb文書関連規定から参照される次のプロトコル規定が重要であって標準情報(TR)として公表することが望ましいことを確認した。
電子出版技術調査研究委員会は, これらのTR化作業を作業グループWG3の課題として2001年度から開始し, URIのTR原案を2003年3月に完成して, 経済産業省産業技術環境局に提出した。
URIは, XML関連規格としてもオブジェクトの識別のための重要な位置付けを担う。解説表1.1に, SGML関連規格と比較してその位置付けを示す。
機能 | XML関連規格 | SGML関連規格 |
---|---|---|
情報構造の記述 | XML (JIS X 4159) | SGML (JIS X 4151) |
オブジェクト間のリンク付け | XLinks (TR X 0076) | HyTime (JIS X 4155) |
オブジェクトの識別 | URI (TR X 0097) | JIS X 4172 |
構造変換及びスタイル指定 | XSLT (TR X 0048) + XSL (TR X 0088) | DSSSL (JIS X 4153) |
マーク付け語彙の統合 | Namespace (TR X 0023) | Namespaceに相当するコンセプトはない。 |
訳語選定に際しては,IETFの関連プロトコルを規定する他のTRとの整合を配慮した。この標準仕様書(TS)で採用した主な訳語の例を解説表2.1に示し, 今後の関連規定の翻訳に際しての参考とする。
原語 | 訳語 |
---|---|
absolute | 絶対(的な) |
auhtority | 機関 |
canonicalization algorithm | 正準化アルゴリズム |
clear test | 暗号化しないテキスト |
commercial at-sign "@" | 単価記号"@" |
component | 構成要素 |
conflict | 衝突する |
construct | 構成子 |
crosshash | 番号記号 |
delimiter | 区切り子 |
escape | エスケープ |
escape sequence | エスケープシーケンス |
fragment identifier | 素片識別子 |
fully qualified domain name | 完全限定ドメイン名 |
generic | 共通(の) |
govern | 支配する |
idempotent | 多重呼出し不変な |
location | 位置 |
locator | 位置指定子 |
loophole | 抜け道的な互換性 |
mapping | 写像 |
merge | 併合する |
name | 名前付けする |
naming | 名前付け |
path | パス |
prior | 先行する |
punctuation mark | 約物 |
registry | 登録簿 |
relative | 相対(的な) |
reserved | 予約済み |
scheme | 方式 |
segment | 断片 |
separator | 分離子 |
transcribability | 転写可能性 |
triplet | 三つ組み |
uniform resource identifier | 統一資源識別子 |
uniform resource locator | 統一資源位置指定子 |
uniform resource name | 統一資源名 |
universal resource identifier | 普遍資源識別子 |
IETFの規定は, 必ずしもJIS又は標準仕様書(TS)の様式には整合していないため, 整合化の対応が必要である。しかしTSの読者が原規定を参照する際の便を考慮すると, 章・節構成及び章・節の順序表示はなるべく原規定のそれらを保存することが望まれる。そこで, 次に示すだけの修正を施して, この標準仕様書(TS)を構成した。
原規定は, プレーンテキストとして記述されている。この標準仕様書(TS)はそれに最小限のHTMLタグを付けて読み易さ及び交換性を向上させた。その際に次の配慮を施してある。
本体の9. 引用規定に示す
US-ASCII "Coded Character Set -- 7-bit American Standard Code for Information Interchange", ANSI X3.4-1986は, ISO/IEC 646 IRVに対応している。
この標準仕様書(TS)の原案を作成した財団法人日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の電子出版技術調査研究委員会及びその作業グループ(WG3)の構成表を,次に示す。委員氏名及びその所属は,原案作成を完了した年度である2002年度末のものである。
氏名 | 所属 | |
---|---|---|
(委員長) | 池田 克夫 | 大阪工業大学 |
(幹事) | 小町 祐史 | パナソニックコミュニケーションズ株式会社 |
大久保 彰徳 | 株式会社リコー | |
長村 玄 | ネクストソリューション株式会社 | |
高沢 通 | 大日本スクリーン製造株式会社 | |
内山 光一 | 株式会社東芝 | |
(委員) | 小笠原 治 | 社団法人日本印刷技術協会 |
礪波 道夫 | 社団法人日本新聞協会(読売新聞社) | |
木戸 達雄 | 経済産業省産業技術環境局 | |
(オブザーバ) | 三瀬 元康 | 社団法人日本新聞協会 |
高橋 昌行 | 経済産業省産業技術環境局 | |
(事務局) | 内藤 昌幸 | 財団法人日本規格協会 |
氏名 | 所属 | |
---|---|---|
(主査) | 小町 祐史 | パナソニックコミュニケーションズ株式会社 |
(幹事) | 平山 亮 | 金沢工業大学 |
(委員) | 今門 政記 | 株式会社モスインスティテュート |
内山 光一 | 株式会社東芝 | |
志田 智 | 株式会社インターネット総合研究所 | |
矢ケ崎 敏明 | キヤノン株式会社 | |
大久保 彰徳 | 株式会社リコー | |
(オブザーバ) | 安達 淳 | 株式会社沖データ |
澤田 位 | 財団法人日本規格協会 | |
市川 孝 | アドビシステムズ株式会社 | |
山本 太郎 | アドビシステムズ株式会社 | |
三瀬 元康 | 社団法人日本新聞協会 | |
長村 玄 | ネクストソリューション株式会社 | |
高橋 昌行 | 経済産業省産業技術環境局 | |
(事務局) | 内藤 昌幸 | 財団法人日本規格協会 |