標準仕様書 TS X 0097:2003

統一資源識別子(URI) 共通構文 解説



1. 公表の趣旨及び経緯

財団法人日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の中に設けられた電子出版技術調査研究委員会は, World Wide Web Consortium (W3C)が規定する一連のWeb文書関連規定のTR化を行ったきた。それらに基づく文書情報は, ネットワーク環境で交換されることが多く, Internet Engineering Task Force (IETF)が規定するプロトコルと密接な関係がある。

そこで電子出版技術調査研究委員会の作業グループWG3は, 2001年度の活動としてこれらのプロトコルの調査を行い, 多くのWeb文書関連規定から参照される次のプロトコル規定が重要であって標準情報(TR)として公表することが望ましいことを確認した。

電子出版技術調査研究委員会は, これらのTR化作業を作業グループWG3の課題として2001年度から開始し, URIのTR原案を2003年3月に完成して, 経済産業省産業技術環境局に提出した。

URIは, XML関連規格としてもオブジェクトの識別のための重要な位置付けを担う。解説表1.1に, SGML関連規格と比較してその位置付けを示す。

解説表1.1 XML関連規格の中でのURIの位置付け
機能 XML関連規格 SGML関連規格
情報構造の記述 XML (JIS X 4159) SGML (JIS X 4151)
オブジェクト間のリンク付け  XLinks (TR X 0076) HyTime (JIS X 4155)
オブジェクトの識別 URI (TR X 0097) JIS X 4172
構造変換及びスタイル指定 XSLT (TR X 0048) + XSL (TR X 0088DSSSL (JIS X 4153)
マーク付け語彙の統合 Namespace (TR X 0023) Namespaceに相当するコンセプトはない。 


2. 審議中の主要検討課題

2.1 訳語

訳語選定に際しては,IETFの関連プロトコルを規定する他のTRとの整合を配慮した。この標準仕様書(TS)で採用した主な訳語の例を解説表2.1に示し, 今後の関連規定の翻訳に際しての参考とする。

解説表2.1 訳語一覧
原語訳語
absolute絶対(的な)
auhtority機関
canonicalization algorithm正準化アルゴリズム
clear test暗号化しないテキスト
commercial at-sign "@"単価記号"@"
component構成要素
conflict衝突する
construct構成子
crosshash番号記号
delimiter区切り子
escapeエスケープ
escape sequenceエスケープシーケンス
fragment identifier素片識別子
fully qualified domain name完全限定ドメイン名
generic共通(の)
govern支配する
idempotent多重呼出し不変な
location位置
locator位置指定子
loophole抜け道的な互換性
mapping写像
merge併合する
name名前付けする
naming名前付け
pathパス
prior先行する
punctuation mark約物
registry登録簿
relative相対(的な)
reserved予約済み
scheme方式
segment断片
separator分離子
transcribability転写可能性
triplet三つ組み
uniform resource identifier統一資源識別子
uniform resource locator統一資源位置指定子
uniform resource name統一資源名
universal resource identifier普遍資源識別子

2.2 章・節構成

IETFの規定は, 必ずしもJIS又は標準仕様書(TS)の様式には整合していないため, 整合化の対応が必要である。しかしTSの読者が原規定を参照する際の便を考慮すると, 章・節構成及び章・節の順序表示はなるべく原規定のそれらを保存することが望まれる。そこで, 次に示すだけの修正を施して, この標準仕様書(TS)を構成した。

2.3 その他の翻訳表記上の配慮

原規定は, プレーンテキストとして記述されている。この標準仕様書(TS)はそれに最小限のHTMLタグを付けて読み易さ及び交換性を向上させた。その際に次の配慮を施してある。


3. 参考文献

本体の9. 引用規定に示す

US-ASCII "Coded Character Set -- 7-bit American Standard Code for Information Interchange", ANSI X3.4-1986
は, ISO/IEC 646 IRVに対応している。


4. 原案作成委員会

この標準仕様書(TS)の原案を作成した財団法人日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の電子出版技術調査研究委員会及びその作業グループ(WG3)の構成表を,次に示す。委員氏名及びその所属は,原案作成を完了した年度である2002年度末のものである。

解説表4.1 電子出版技術調査研究委員会 構成表
氏名所属
(委員長)池田 克夫大阪工業大学
(幹事)小町 祐史パナソニックコミュニケーションズ株式会社
大久保 彰徳株式会社リコー
長村 玄ネクストソリューション株式会社
高沢 通大日本スクリーン製造株式会社
内山 光一株式会社東芝
(委員)小笠原 治社団法人日本印刷技術協会
礪波 道夫社団法人日本新聞協会(読売新聞社)
木戸 達雄経済産業省産業技術環境局
(オブザーバ)三瀬 元康社団法人日本新聞協会
高橋 昌行経済産業省産業技術環境局
(事務局)内藤 昌幸財団法人日本規格協会

解説表4.2 作業グループ(WG3) 構成表
氏名所属
(主査)小町 祐史パナソニックコミュニケーションズ株式会社
(幹事)平山 亮金沢工業大学
(委員)今門 政記株式会社モスインスティテュート
内山 光一株式会社東芝
志田 智株式会社インターネット総合研究所
矢ケ崎 敏明キヤノン株式会社
大久保 彰徳株式会社リコー
(オブザーバ)安達 淳株式会社沖データ
澤田 位財団法人日本規格協会
市川 孝アドビシステムズ株式会社
山本 太郎アドビシステムズ株式会社
三瀬 元康社団法人日本新聞協会
長村 玄ネクストソリューション株式会社
高橋 昌行経済産業省産業技術環境局
(事務局)内藤 昌幸財団法人日本規格協会