標準情報 TR X 0045:2001

ディレクトリ情報のためのMIME内容型 解説



この解説は,標準情報(TR)の本体及び付属書に規定・記載した事柄,並びにこれらに関連した事柄を説明するもので,標準情報(TR)の一部ではない。


1. 公表の趣旨及び経緯

1.1 公表の趣旨

インタネットの電子メールを使って,名前,組織名,電話番号,電子メール用番地などを伝えることは日常的に行われているが,それらのデータフォーマットの標準化,すなわち,電子的な名刺情報交換の標準化は,電子商取引, 個人情報処理などの分野における情報処理システムの相互運用性の確保,利用者の利便性の向上に寄与すると考えられる。

ディレクトリ情報のためのMIME内容型は,ディレクトリ情報を,特定のディレクトリサービス又はプロトコルからは独立に,一般的な枠組みとして,MIME内容型を定義したものである。名刺情報などの特定のアプリケーションに特有な情報を運ぶためには,プロファイルと呼ばれる特定のフォーマットを定義し登録することができ,その一つとして,RFC 2426で規定されるvCard電子名刺のMIMEディレクトリプロファイルがある。RFC 2426は,標準情報 TR X 0046:2001 vCard電子名刺のMIMEディレクトリプロファィルとして公表されている。

この標準情報(TR)は,IETFにより公表されたRFC 2425 - A MIME Content-Type for Directory Informationを技術的内容を変更することなく翻訳したものであって,将来JIS化ができる可能性のある技術情報等の早期公開によってJIS化の前提となる合意の形成を促進させるという目的のため,タイプUの標準情報(TR)として公表するものである。

1.2 公表の経緯

財団法人日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の電子出版技術調査研究委員会は,電子的な名刺情報交換の標準化によって,電子商取引, 個人情報処理などの分野における情報処理システムの相互運用性の確保,利用者の利便性の向上に寄与すると考え,その作業グループ3(WG3)の2000年度の活動の一つとして,電子的な名刺情報交換の標準化に関する調査研究を実施した。その結果,電子的な名刺情報交換のためのデータフォーマットとして広く用いられているvCardに関連する規定を標準情報(TR)として公表することは有用であることを提言した。

電子出版技術調査研究委員会の作業グループ3(WG3)は,通商産業省工業技術院(当時)からの委託を受けて, RFC 2425 - A MIME Content-Type for Directory Information及びRFC 2426 - vCard MIME Directory Profileの翻訳及び標準情報(TR)の原案作成を行い,2001年3月に提出した。


2. 審議中の検討事項

2.1 翻訳に関連する事項

2.1.1 訳語

この標準情報(TR)で使用した主な訳語を次に示し,今後の関連規定の作成等に際しての参考とする。

解説表2.1 訳語一覧
原語訳語
Content-Type内容型
directoryディレクトリ
directory serviceディレクトリサービス
backslash escape technique逆スラッシュエスケープ技法
email電子メール
folding行継続
inline information行内情報
Internet mailインタネットメール
line break technique改行技法
line delimiting行区切り
root body partルート本体部分
unfolding行非継続
white pages電話帳

2.1.2 章・節の構成

RFCの原規定は,必ずしもJIS又はTRの様式には整合していないため,変更が必要である。しかしTRの読者が原規定を参照する際の便を考慮すると,章・節構成はなるべく原規定のそれを保存することが望まれる。そこで,次に示すだけの修正を施して,TR原案とした。3.から20.の章・節構成は,原規定と同一である。


3.原案作成委員会の構成表

この標準情報(TR)の原案を作成した財団法人日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の電子出版技術調査研究委員会,及び作業グループ(WG3)の構成表を,次に示す。

解説表3.1 電子出版技術調査研究委員会構成
氏名所属
(委員長)池田克夫京都大学
(幹事)小町祐史松下電送システム株式会社
大久保彰徳株式会社リコー
長村玄株式会社ドキュメント・エンジニアリング研究所
高沢通大日本スクリーン製造株式会社
(委員)内山光一株式会社東芝
小笠原治社団法人日本印刷技術協会
礪波道夫社団法人日本新聞協会(読売新聞社)
八田勲経済産業省産業技術環境局
(オブザーバ)有木靖人社団法人日本新聞協会
稲橋一行経済産業省産業技術環境局
永井裕司経済産業省産業技術環境局
(事務局)内藤昌幸財団法人日本規格協会

解説表3.2 作業グループ(WG3)構成
氏名所属
(主査)小町祐史松下電送システム株式会社
(幹事)平山亮金沢工業大学
(委員)今門政記インフォコム株式会社
内山光一株式会社東芝
海田茂ネクストソリューション株式会社
志田智株式会社インターネット総合研究所
矢ケ崎敏明キヤノン株式会社
大久保彰徳株式会社リコー
安達淳株式会社沖データ
(オブザーバ)澤田位財団法人日本規格協会
市川孝アドビシステムズ株式会社
山本太郎アドビシステムズ株式会社
有木靖人社団法人日本新聞協会
永井裕司経済産業省産業技術環境局
(事務局)内藤 昌幸財団法人日本規格協会