標準情報 TR X 0077:2003

Xフォーム1.0 解説



1. 公表の趣旨及び経緯

1.1 公表の趣旨

Webの普及により, Webブラウザから情報入力することが多くなり, HTMLのフォームでは対応できないより高機能なフォームへの要求が高まっている。Xフォームはこの要求に応えるXML応用であって, 従来のHTMLフォームをデータモデル,インスタンスデータ及び利用者インタェースに分けることによって,内容から表示を分離し, データの流通性, 再利性を高める。

Xフォームのこの機能に対する強い要求に応えるため, World Wide Web Consortium(W3C)から公表された XForms 1.0原案を翻訳して, 標準情報(TR)として公表することとした。

1.2 公表の経緯

財団法人日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の中に設けられた"XML関連の標準化調査研究委員会"において, 日本における電子申請機構の実現の意義と様式類電子化の実装の現状の問題点とがが指摘され, 様式類に対する次の課題の標準化への努力の必要性が提案[1]された。

XFA (XML Forms Architecture)
XMLを基礎においた様式のキャプチャー, 表示出力, データ移動などを実現し, 紙ベースのプロセスを電子的なプロセスに容易に移行することを目指す。
XForms
様式表現とデータを分離して扱うことを目的としてトランスレータを必要とすることなく, XMLデータを受け入れ, また生成することを目指す。
XFDL (Extensible Forms Description Language)
行政, 商取引などに用いられている複雑な様式とデータとを総合的に扱うために1998年から検討されている記述形式であり, 様式上での計算を可能としたり, 入力項目の精査, デジタル署名の適用などを可能とする。

この提案を受けて, INSTACの電子出版技術調査研究委員会は, 2001年度からXFormの調査研究を開始し, 2002年9月に標準情報(TR)の原案を完成して経済産業省産業技術環境局に提出した。


2. 審議中の主要検討課題

2.1 用語

この標準情報(TR)では, 採用した主な訳語を解説表2.1に示し, 今後の関連規定の作成等に際しての参考とする。

解説表2.1 主な訳語
原語訳語
strong typing強い型付け
electronic commerce電子商取引
typographical conventions組み体裁の規約
typesetting convention植字規約
model item propertyモデル項目特性
form controlフォーム制御
recalculation再計算
stylingスタイル付け
interaction対話


3. 懸案事項

3.1 改正の必要性

World Wide Web Consortium(W3C)から公表された原規定はまだ勧告(Recommendation)の段階に至ってなく, この標準情報(TR)の原案作成中においても, 改訂が行われている。この段階においても, TRとして公表することの意義があるとの判断に基づき, このTRは公表された。

このTRの公表の後も, 原案作成委員会は原規定の動向を調査し, 必要に応じて, TRの改正を行うことが望まれる。

3.2 標題の翻訳

W3Cの規定は, 完全表記とその短縮形とが併記されることが多いが, XFormは短縮形だけの単一表記でその標題が表されている。この翻訳に際して, これまでの翻訳TRの事例を参照しつつ, 今後の翻訳の指針として次の規則を検討した。

完全表記と短縮形との併記による標題は, 完全表記に対応する翻訳表記に原規定の短縮形(英語)をそのまま付す。その例を次に示す。

- XML Linking Language (XLink) の翻訳標題は XMLリンク付け言語(XLink) とする。
- XSL Transformations (XSLT) の翻訳標題は XSL変換(XSLT) とする。
- XML Path Language (XPath) の翻訳標題は XMLパス言語(XPath) とする。

単一表記による標題は, 翻訳表記だけとする。その例を次に示す。

- XForms の翻訳標題は Xフォーム とする。
- XML Schema の翻訳標題は XMLスキーマ とする。


4. 参考文献

[1] XML関連の標準化調査研究委員会, わが国におけるXML標準化への提言, 2001-03


5. 原案作成委員会

この標準情報(TR)原案を作成した(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の電子出版技術調査研究委員会及び作業グループWG1の委員構成を, それぞれ解説表5.1, 解説表5.2に示す。

解説表5.1 電子出版技術調査研究委員会
氏名所属
(委員長)池田 克夫大阪工業大学
(幹事)小町 祐史松下電送システム株式会社
(幹事)大久保 彰徳株式会社リコー
(幹事)長村 玄株式会社ドキュメント・エンジニアリング研究所
(幹事)高沢 通大日本スクリーン製造株式会社
(幹事)内山 光一株式会社東芝
礪波 道夫日本新聞協会(読売新聞社)
小笠原 治社団法人日本印刷技術協会
木戸 達雄経済産業省産業技術環境局
(オブザーバ)高橋 昌行経済産業省産業技術環境局
(オブザーバ)有木 靖人日本新聞協会
(事務局)内藤 昌幸財団法人日本規格協会

解説表5.2 作業グループ WG1
氏名所属
(主査)小町 祐史松下電送システム株式会社
(幹事)内山 光一株式会社東芝
(幹事)大久保 彰徳株式会社リコー
奥井 康弘株式会社日本ユニテック
海田 茂ネクストソリューション株式会社
内藤 求株式会社シナジー・インキュベート
内藤 広志大阪工業大学
矢ケ崎 敏明キヤノン株式会社
長村 玄株式会社ドキュメント・エンジニアリング研究所
(オブザーバ)浅利 千鶴浅利会計事務所
(オブザーバ)佐々木 徹アドビシステムズ株式会社
(オブザーバ)藤島 雅宏有限会社イー・エイド
(オブザーバ)高橋 昌行経済産業省産業技術環境局
(オブザーバ)山田 篤財団法人京都高度技術研究所
(事務局)内藤 昌幸財団法人日本規格協会