標準情報 TR X 0037:2001

拡張可能なハイパテキストマーク付け言語 XHTML 1.0 解説



1. 公表の趣旨及び経緯

XHTML文書は, XMLに適合するため, 標準的なXMLツールを使用することによって容易に閲覧や編集が可能となり, その妥当性の検証も可能である。XMLに基づく利用者エージェントと結びついて機能することは, 今後のWeb環境の方向に適合することであり, 今後の利用者のニーズを充足させるために不可欠である。

XMLを導入することによって, 名前空間を用いて他のタグセットによる記述の導入を可能にし, さらにそれに基づくモジュール化を可能にする。XHTMLのモジュール化そのものは, W3Cで検討されている"Modularization of XHTML"[1]によって規定され, それによってXHTMLのサブセット化と拡張との実装を容易にする。つまり, ハンドヘルド装置, 携帯電話などのようにXHTML要素のサブセットだけをサポートすればよい簡素なアプリケーション, 追加要素の導入を必要とする大規模アプリケーションなどに対して, 一貫した方法で容易に対応が可能になる。また文書プロファイルへの適合性は,相互運用性の保証のための基礎を提供する。

XHTMLの勧告案は, 既に1999年12月に発表され, その後の実装によってその内容を修正して勧告を完成している。勧告内容のブラウザへの組込みも行われている。

そこで通商産業省の工業技術院は, "文書処理及びフォントの標準化調査研究委員会(DDFD)"に対してXHTML 1.0のTR化作業を委託した。DDFDではその作業グループ(DDFD-WG)が, 2000年度にXHTML 1.0のTR化の作業を担当し, 2000年11月に標準情報(TR)の原案を完成して工業技術院に提出している。


2. 審議中の主要検討課題

2.1 訳語

訳語選定に際しては,標準情報 TR X 0033:2000 ハイパテキストマーク付け言語 (HTML) 4.0[2], JIS X 4156:2000 ハイパテキストマーク付け言語(HTML)[3], 及びSGML関連規格において使用している訳語との整合を配慮した。

この規格で採用した主な訳語を次に示し, 今後の関連規定の作成等に際しての参考とする。

解説表1 類似用語又は同じ用語の訳し分け

原語 訳語 備考
facility 機能定義
feature 機能
functionality 機能性
script スクリプト スクリプト言語などの意味
script 文字列 単なる文字の連なりの意味

解説表2 主な訳語

原語 訳語
attribute minimization属性最小化
'classic' HTML 4'従来の'HTML4
embedded style sheet埋込みスタイルシート
encoding attribute specification符号化属性指定
form feed改ページ
formal public identifier公式公開識別子
generic XML共通XML
grammatical word boundaries文法上の語境界
hand held deviceハンドヘルド装置
heterogeneity異種性
HTML Working Group charterHTML作業グループ規約
internet media typeインタネットメディア型
inter-word space語間スペース
line feed改行
local system convention局所システム規約
meta http-equiv statementhttp-equivメタ文
migrate移行する
minimized form最小化形式
non-empty element非空要素
overlapping重なり
parse tree解析木
platformプラットフォーム
practice作法
processing instruction処理命令
production生成規則
programming practiceプログラミング作成
prose description説明的記述
public identifier公開識別子
reformulation再定式化
renditionレンダリング
SGML Open CatalogSGML公開カタログ
structuring unit構造化の単位
suitability適切さ
unterminated element終端していない要素
validate妥当性を検証する
validation妥当性検証
well-formedness整形式性
whitespace handling空白処理
wrap包み込む
zero-width spaceゼロ幅スペース

2.2 章・節などの構成

W3Cの規定は, 必ずしもJIS又は標準情報(TR)の様式には整合していないため, 整合化の対応が必要である。しかしTRの読者が原規定を参照する際の便を考慮すると, 章・節構成はなるべく原規定のそれを保存することが望まれる。そこで, 次に示すだけの修正(章・節番号の変更なし)を施して, この標準情報(TR)を構成した。

2.3 その他の翻訳表記上の規則

原規定は, HTMLを用いて記述されている。この標準情報(TR)も原則として, 原規定のタグを保存することにしたが, 特に次の点に留意した。

2.4 W3Cからの要求

この標準情報(TR)の公表に際して, W3Cから和文及び英文による次の記載を求められている。この記述は原規定にはないため, ここに示して, W3Cの要求に応えることとする。

規定に準拠しているかどうかの基準となる版は, W3Cのサイトにある原規定とする。

この標準情報(TR)は原規定と技術的に同一であることを意図しているが, 翻訳上の誤りはあり得る。

The normative version of the specification is the English version found at the W3C site.

Although this TR is intended to be technically identical to the original, it may contain errors from the translation.


3. 懸案事項

翻訳作業の過程で原規定における幾つかの誤りが明らかになり, この標準情報(TR)ではそれらの誤りを訂正してある。W3Cでの次版への検討のために, それらを次に示すError ReportとしてW3Cに提出した。

a) 2.2, DTD
The description "a collection of XML declarations" should be "a collection of XML markup declarations".
b) C.8, para 2
The description "in XML 1.0 Section 2.5" should be "in XML 1.0 Section 2.3".
c) C.9
The description "on the xml declaration" should be "on the XML declaration".


4. 参考文献

[1] W3C Candidate Recommendation, Modularization of XHTML, http://www.w3.org/TR/xhtml-modularization, 2000-10-20

[2] TR X 0033:2000 ハイパテキストマーク付け言語 (HTML) 4.0, 2000-09-01

[3] JIS X 4156:2000 ハイパテキストマーク付け言語(HTML), 2000-10-20


5. 原案作成委員会

原案作成委員会である(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の"文書処理及びフォントの標準化調査研究委員会"(DDFD)は, 学識経験者, メーカ及び利用者で構成され, その委員会の中に実際の翻訳作業を行う作業グループ(DDFD-WG)が設置されている。それらの構成員を次に示す。

解説表3 文書処理及びフォントの標準化調査研究委員会 構成表

氏名 所属
(委員長) 池田 克夫 京都大学
(幹事) 小町 祐史 松下電送システム株式会社 (SC34専門委員会委員長)
安達 淳 株式会社沖データ
内山 光一 株式会社東芝
小笠原 治 社団法人日本印刷技術協会
高沢 通 大日本スクリーン株式会社
高橋 亨 株式会社日立製作所
窪田 明 通商産業省機械情報産業局
八田 勲 通商産業省工業技術院標準部
大久保 彰徳 株式会社リコー
宮本 義昭 日本ユニシス株式会社
(工技院) 永井 裕司 通商産業省工業技術院標準部
(事務局) 内藤 昌幸 財団法人日本規格協会

解説表4 作業グループ(DDFD-WG) 構成表

氏名 所属
(主査) 小町 祐史 松下電送システム株式会社 (SC34専門委員会委員長)
(幹事) 内山 光一 株式会社東芝
(幹事) 高橋 亨 株式会社日立製作所
安達 淳 株式会社沖データ
今郷 詔 株式会社リコー
小笠原 治 社団法人日本印刷技術協会
奥井 康弘 株式会社日本ユニテック
海田 茂 ネクストソリューション株式会社
内藤 広志 大阪工業大学
萩野 剛ニ郎 電気通信大学
内藤 求 株式会社シナジーインキュベート
渡部 賢一 日本規格協会
(オブザーバ) 浅利 千鶴 浅利会計事務所
(工技院) 永井 裕司 通商産業省工業技術院標準部
(事務局) 内藤 昌幸 財団法人日本規格協会