この文書は, 1994年1月に発行されたOrange Book: Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0を翻訳して, 技術的内容を変更することなく作成した標準仕様書(TS)である。本文中に指定された項目については, 原文の同項目の内容を引用するものとし, それら以外については, 原文を全文翻訳した。
この標準仕様書(TS)は, コンパクトディスク(CD)の情報を1回だけ書込みでき, 何回も再生することができる追記形コンパクトディスク(CD-R)システムについて規定する。記録されたCD-Rディスクは, JIS S 8605に互換性があるので, 従来のCDプレーヤで再生できる。CD-Rフォーマットは, オーディオ及びデータの両方の記録を可能にする。
CD-Rのシステムにおいて, ディスクは, 記録によって反射率減少を示す記録材を含む。記録後, CD-Rディスクは, Red Bookのディスク規定の章に示す規定を満す。未記録のCD-Rディスクは, トラッキング, CLVのスピード及びタイミングのための蛇行案内溝をもつ。記録は, 溝で行う。2種類の記録モード, つまり(例えば, 実時間オーディオ用の)標準速及び2倍速をサポートする。
備考1 CD-DAシステム(Red Book 84〜86ページ)と同様に, CD-Rシステムは, 8cmの"シングルCD"の可能性を提供する。
備考2 Red Bookのディスク規定の章を参照する際には, 74〜83ページ(CD-Videoの規定)は除く。
備考3 データ応用においては, 拡張ディスク[いわゆる複セション(11.参照)]の概念を用いてもよい。論理フォーマットが異なるため, 複セションディスクは, "複セション互換"のCDプレーヤだけによって完全に再生される。
備考4 データ応用については, オーディオ情報の代わりにデータを記録するために必要であれば, この標準仕様書(TS)における"Red Book"という用語は, JIS X 6281又は"Green Book"に置き換えられなければならない。
JIS S 8605-1993, コンパクトディスクディジタルオーディオシステム
備考1 IEC 908:1987, Compact disc digital audio systems が, この規格に一致している。IEC 908:1987は, 既に改訂されて, IEC 60908:1999として発行されている。
備考2 Red Book: Compact Disc Digital Audio System Description は, IEC 60908:1999に一致している。この標準仕様書(TS)では, JIS S 8605に含まれないRed Bookの規定内容については, このRed Bookを参照する。
JIS X 6281:2005, 120mm再生専用形光ディスク(CD-ROM)
備考1 ISO/IEC 10149:1995, Data interchange on read-only 120mm optical data disc (CD-ROM)が, この規格に一致している。
備考2 Yellow Book: Compact Disc Read Only Memory System Description が, この規格に対応している。
Green Book: CD-I Full Functional Specification, N.V. Philips and Sony Corporation
1.4.1.1 ATER (ATIP error rate) フレーム全数に対する, 10秒間の平均誤ATIPフレームの個数。
1.4.1.2 ATIP (absolute time in pregroove) 蛇行の変調を付加されて, 溝に含まれる時間コード情報。4.参照。
1.4.1.3 オーディオディスク (audio disc) データディスクでない記録済みディスク。
1.4.1.4 オーディオトラック (audio track) データトラックでないトラック。
1.4.1.5 ブロック (Block) JIS X 6281が定義する2352バイトの単位。
1.4.1.6 CLV (constant linear velocity) 一定線速度。
1.4.1.7 CW (continuous wave) 連続波。レーザ光出力は一定レベルとする。
1.4.1.8 データディスク (data disc) 各セションが1個以上のデータトラックを含むディスク。
1.4.1.9 データトラック (data track) サブコードQチャネルのCONTROLに"Data track"と指定されたトラック。
1.4.1.10 偏差 (deviation) 効果長偏差。公称値と比較して, 時間間隔分析によって測定した, 特定の(I3〜I11)ピット又はランドの長さのエラー。附属書B9参照。
1.4.1.11 EFM (eight to fourteen modulation) 8-14変調。6.参照。
1.4.1.12 終了化 (finalization) リードイン領域及びリードアウト領域を記録する動作。
1.4.1.13 (案内)溝 [(pre-)groove] 同一のクロッキング及び時間コードの情報が両端に見られる案内トラック。
1.4.1.14 複合形ディスク (hybrid disc) 最初のセションがスタンプ記録されている 複セションディスク。複合形ディスクでは, 記録済み情報とスタンプ記録情報とが共存してよい。
1.4.1.15 ジッタ (jitter) 時間間隔分析によって測定した, 特定の(I3〜I11)ピット又はランドの前縁及び後縁の間の時間変化量の1σ値。附属書B9参照。
1.4.1.16 ランド (land) ラジアル信号については, 二つの溝の間の領域。HF信号については, ピットの間の領域。
1.4.1.17 レーザ変調 (laser modulation) 記録の際に, レーザが"書込み方式"に従って, ON-OFFされる。
1.4.1.18 スタンプ記録情報 (mastered information) マスタを作成するときに, ディスクの製造過程においてディスク上にピットとして記録される情報。
1.4.1.19 複セションディスク (multi-session disc) (サブコードQチャネルのモード5において最初のリードイン領域に表示される)一つ以上のセションを含む又は含むことができるディスク。
1.4.1.20 正規化プッシュプル率(NPPR) (normalized push pull ratio) 記録前の正規化プッシュプル振幅が, 記録後の正規化プッシュプル振幅によって除算したときの結果の値。1.4.3における"記録後の信号"を参照。記録前のプッシュプル振幅は, 記録前の溝レベルIgに正規化される。記録後のプッシュプル振幅は, 記録後の平均溝レベルIga(1.4.3参照)に正規化される。
1.4.1.21 OPC (optimum power control) 最適パワー制御。附属書B3参照。
1.4.1.22 P0 OPCによって決定された最適記録パワー。
1.4.1.23 Pit 記録済みの又はスタンプ記録されたI3〜I11効果。
1.4.1.24 PCA (power calibration area) パワー較正領域。1.4.2参照。
1.4.1.25 PMA (program memory area) プログラムメモリ領域。1.4.2参照。
1.4.1.26 ランダムEFM (random EFM) ランダムなEFMデータであって, 次の特徴をもつ。
a) 主チャネルでは, ランダムデータ記号(例えば, 記録済み白色雑音オーディオ信号)。
b) サブコードチャネルでは, sync及びCRCを除くすべてのサブコードのバイトは, 固定値に設定されなければならない。固定値は, "FF"又は"00"であることが望ましい。
1.4.1.27 記録済み情報 (recorded information) CD-Rディスクの記録過程において, ディスク上にピットとして記録される情報。
1.4.1.28 予約済み (reserved) 例えば, "予約済みでzeroに設定された"とは, それ以上の通知が行われるまでは, 値をzeroに設定しなければならない。将来, 他の値の使用が指定されることもある。
1.4.1.29 セション (session) リードイン領域, プログラム領域及びリードアウト領域から成るディスクの領域。
1.4.1.30 単セションディスク (single session disc) 複セションディスクでないディスク。
1.4.1.31 蛇行 (wobble) ディスクの中の案内溝は完全ならせん(螺旋)ではなく, 次のとおり蛇行している。
a) 30 nmの基準振幅
b) 54〜60μmの空間的周期。4.参照。
1.4.1.32 書込み方式 (write strategy) "レーザ変調"の厳密な記述。ディスクの測定に必要な記録に使用しなければならない書込み方式は, 2.における"レコーダの光ピックアップ"に記述されている。
単セションディスクの場合には, 次の三つの記録状態を定義する。
複セションディスクの場合には, 最終セションは部分記録されていても, 終了化されていてもよい。すべてのその前のセションは終了化されていなければならない。1.4.2では, 複セションディスクに適用できるテキストをかっこ内に示す。複セションディスクの可能なレイアウトを図11.1に示す。
備考1 終了化したディスク(又は複セションディスクの最初の終了化したセション)だけが従来のCDプレーヤで再生できる。
備考2 各ディスク領域の詳細規定については, 5.を参照されたい。複セションディスクの詳細規定については, 11.を参照されたい。
CD-Rシステムは, 例えば別の時間に別のレコーダで, ディスク(セション)を何回も中断される記録動作で記録することができる。
データ構造については, 5.を参照されたい。情報領域は, 次の5部分に分けられる。
(単セション)ディスクを終了化した後, CD-RディスクはRed Bookの定義及び規定に対して互換性をもち, したがって従来のCDプレーヤで再生できる。終了化したディスク(セション)の情報領域は, 次の3部分からなる。
I0 | 空領域レベル | ||||||||||
Ilランドレベル
| Ig | 記録前の溝レベル
| RCb=2*(Il-Ig)/(Il+Ig) | 記録前のラジアルコントラスト
| 0.1μmラジアルオフセット時の | |I1-I2|/Ig 記録前のプッシュプル量 | (I1-I2)は, (f<5kHzで)低域フィルタリングの後測定される。附属書B6及びRed Bookの15.1を参照。 Iw=(I1-I2) | 蛇行信号 | (I1-I2)は, (10kHz<f<30kHzで)帯域フィルタリングの後測定される。 Iw(rms)/|I1-I2|(pp) | 正規化蛇行信号 | 附属書B7を参照。 |
Itop | 記録されたI11信号のトップレベル
Red Bookの14参照。 |
Iga, (Ila) | 記録後の平均溝レベル(ランドレベル) Iga (Ila)は, AC結合する前に溝(ランド)で測定される平均HF信号(τ=15μs)と定義する。 |
RCa=2*(Ila-Iga)/(Ila+Iga) | 記録後のラジアルコントラスト |
I3/Itop, I11/Itop | I3及びI11の信号の変調振幅 Red Bookの14.を参照。 |
0.1μmラジアルオフセット時の |I1-I2|/Itop | 記録後のプッシュプル量 (I1-I2)は, (f<5kHzで)低域フィルタリングの後測定される。附属書B6及びRed Bookの15.1を参照。 |
Rtop=R0*(Itop/I0) | Itopを基準とする記録済みディスクの反射率 R0は, ディスクの空領域の反射率。附属書B2及びB8を参照。 |
(|I1-I2|/Ig)/ (|I1-I2|/Iga) | 正規化プッシュプル率(NPPR) 1.4.1及び附属書B6を参照。 ・|I1-I2|/Igは, 記録前に測定。 ・|I1-I2|/Igaは, 記録後に測定。 |
幾つかの異なる測定との望ましい比較のため, 2.において規定するすべての特性の試験記録及び測定に使用しなければならない周囲条件, 光ピックアップユニット及び書込み方式を定義する。
測定及び機械的検査は, 他に特記がない限り, 次の制限内の温度・湿度・気圧の任意の組合せで実施される。
周囲温度 | 15℃〜35℃ |
相対湿度 | 45%〜75% |
気圧 | 86 kPa〜106 kPa |
b)〜f)については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0 の対応する項目による。
規定する特性 | 要件 | 備考 | |
2 | 外径 | ||
2.5 | ディスクの不均衡 | < 0.04 N | 10回転/sで測定。 |
8〜20.3 | 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0 の対応する項目による。 | 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0 の対応する項目による。 | 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0 の対応する項目による。 |
規定する特性 | 要件 | 備考 | |
ad 8.4 | 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0 の対応する項目による。 | 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0 の対応する項目による。 | 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0 の対応する項目による。 |
ad 9.3 | リードイン領域の開始直径 | 46 +0.0/-0.02 mm | 対応する開始時間はリードイン領域の中のATIPに表示(4.4を参照)。 |
ad 14, 14.5〜18.3 | 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0 の対応する項目による。 | 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0 の対応する項目による。 | 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0 の対応する項目による。 |
この章は(原規定に合わせて)意図的に存在しない。
ATIP(案内溝による絶対時間情報)によって, CD-Rディスクは, モータ制御情報(キャリア周波数)及び時間コード情報(キャリア周波数の変調)を含む。
ATIPの時間コードは, ディスク上のどこでも単調に増加する。図4.2を参照。
4.1, 4.2については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0 の対応する項目による。
1ATIPフレームのフォーマットは次のとおりとする。
ビット数 | 4 | 8 | 8 | 8 | 14 |
ビット | 111 | 11111112 | 222222222 | 23333333333444 | |
位置 | 1234 | 56789012 | 34567890 | 12345678 | 90123456789012 |
データ | 同期 | 分 | 秒 | フレーム | CRC 余り |
4.3.1については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0 の対応する項目による。
ATIP時間情報のフォーマットは, サブコードQの中及びCD-ROMヘッダの中の時間符号化と同一とする。ATIP時間情報は, 次のとおり最上位ビット(MSB)先頭の2進化10進数(BCD)で表現される。
分 | 2桁のBCD, 位置5に最上位ビット(MSB) |
秒 | 2桁のBCD, 位置13にMSB |
フレーム | 2桁のBCD, 位置21にMSB |
通常の時間コードに加えて, リードイン領域において, 特別なCD-R情報がATIP時間コードの中に符号化される。その特別な情報は, 分, 秒及びフレームのバイトのMSB(ビット5, 13, 21)の組合せによって識別される。
連続するATIPフレームの列は, 次のとおりとする。図4.1を参照。
bit | 5 | 13 | 21 | ||
0xxxxxxx | 0xxxxxxx | 0xxxxxxx | プログラム領域の時間 | ||
0xxxxxxx | 0xxxxxxx | 1xxxxxxx | 予約 | ||
0xxxxxxx | 1xxxxxxx | 0xxxxxxx | 予約 | ||
0xxxxxxx | 1xxxxxxx | 1xxxxxxx | 予約 | ||
1xxxxxxx | 0xxxxxxx | 0xxxxxxx | リードインの時間 | ||
1xxxxxxx | 0xxxxxxx | 1xxxxxxx | 記録パワー/ディスク応用* ** | ||
1xxxxxxx | 1xxxxxxx | 0xxxxxxx | リードインの開始時間* | ||
1xxxxxxx | 1xxxxxxx | 1xxxxxxx | 最大リードアウト開始可能時間* |
例1
最大リードアウト開始可能時間: 70 45 15
11110000 11000101 10010101
例2
リードインの開始時間: 97 41 00
10010111 11000001 10000000
図4.2も参照されたい。
*: リードイン領域の30個のATIPフレーム中の1個。3個の特別な符号化フレームがあるので, 10個のATIPフレーム中の1個が特別な情報を含む。
**: 記録パワー/ディスク応用
MSBの組合せ101(ビット5, 13, 21)をもつ分, 秒及びフレームのバイトには, 次の2種類の特別な符号化がある。
bit 5 | =1 | リードイン領域 |
bit 6〜bit 8 | λ=785 nm及びT=25℃の場合のmWで示す最適記録パワー | |
=000〜1111 | 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0 の対応する項目による。 | |
bit 9〜bit 12 | =0000 | 予約 |
bit 13 | =0 |
bit 14〜bit 20 | ディスク応用コード |
bit 14=0 | 限定使用ディスク bit 15〜20=000000: 一般目的ディスク bit 15〜20=それ以外: 特別目的ディスク 特別なディスク応用の符号化のために予約。 |
bit 14=1及びbit 15〜20=000000 | 非限定使用ディスク |
bit 14=1及びbit 15〜20=それ以外 | 予約 |
bit 21 | =1 | |
bit 22〜bit 28 | =0000000 | 予約 |
4.5〜4.7については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0 の対応する項目による。
ディスク全体でATIP同期とサブコード同期との位置間の許容誤差は, 0±2 EFMフレームとする。
ATIP同期の位置は, 同期を同期パターンとして決定できる位置と定義する。これは, ディスク上の物理的同期パターンの直後になる。
サブコード同期の位置は, ディスク上の物理的同期パターンの開始位置と定義する。図5.2を参照。
記録されたQチャネルの絶対時間は, ATIP時間と同一とする。
数回の異なる書込み動作で(例えば, 異なる時刻に別のレコーダで)ディスクを記録することを, インクリメンタル記録と定義する。インクリメンタル記録の場合に, リンク付け規則を考慮しなければならない。
リンク位置は, EFM信号の記録が開始可能及び停止可能であるディスク上の物理的位置とする。
公称リンク位置は, サブコード同期パターンの開始後の26 EFMフレームとする。記録間のギャップは許されない。記録間に, 最大12 EFMフレームの重ね書きができる。
記録の開始位置及び停止位置は, 次の範囲内でなければならない。
パワー較正領域においては, 別のリンク付け規則が採用される。5.3を参照。
EFM記録の列の開始及び終了に際しては, 少なくても1インタリーブ長のデジタル無音を推奨する(オーディオ応用だけ)。
1組の記録済みのリンクブロック, ランインブロック, 利用者データブロック, ランアウトブロックをパケットと呼ぶ。パケット中の利用者データブロックの個数をパケットサイズと呼ぶ。
[最小遅延符号化器を使うCIRC/EFM符号化(Yellow Bookの33ページを参照)の前の]ブロック同期の開始は, サブコードの同期開始の後 +36 EFMフレーム及び -10 EFMフレームの範囲内にある。
リンクブロックは, 5.2.1に規定するとおり, リンク位置を含むブロックとする。データトラック内の各EFM記録は, 1パケットとして記録されなければならない。そこで各記録は, 4個のランインブロック, 最少1個の利用者データブロック及び2個のランアウトブロックが後に続く1個のリンクブロックで開始しなければならない。
各データトラックは, 利用者データをもつ最少1個のパケットを含まなければならない。リードイン領域及びリードアウト領域の開始及び終了においては, ランインブロック及びランアウトブロックの記録はオプションとする。
リンクブロック, ランインブロック, 利用者データブロック及びランアウトブロックの識別は, モードバイト(ブロックヘッダの中, Yellow Bookの101ページを参照)の中にある。このモードバイトのレイアウトを次に示す。bit 7が最初のビットであり, MSBとなる。
bit 7〜5 | ブロック表示子 | |
=000 | データブロック | |
=001 | 4番目のランインブロック | |
=010 | 3番目のランインブロック | |
=011 | 2番目のランインブロック | |
=100 | 最初のランインブロック | |
=101 | リンクブロック 5.2.1の一般リンク付け規則に従うEFMデータの物理的リンク付け | |
=110 | 2番目のRun-outブロック | |
=111 | 最初のRun-outブロック | |
bit 4〜2 | 予約 | |
bit 1〜0 | JIS X 6281のモード表示 | |
=00 | モード0 | |
=01 | モード1 | |
=10 | モード2 | |
=11 | 予約 |
5.3については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0 の対応する項目による。
プログラムメモリ領域(PMA)は, リードイン領域の開始前の00:13:25 ATIPにおいて開始する。PMAは, リードイン領域の開始時間に終了する。その情報は, リードイン領域のATIPに符号化される。4.4を参照。
PMAはディスク上の記録に関する情報を含む。この情報は, サブコードQチャネルに符号化される。
PMAは, 次の3種の情報を含む。
スキップ機能は, オーディオディスクだけについて定義される。データトラックがディスク上に存在しなければ, CD-Rディスクはオーディオディスクとする。
予約済みトラックは, その中にデータが未だ完全には記録されていないが, トラックの開始及び停止の時間がPMAの中に記録されているデータトラックとする。ディスク又はセション(11.を参照)を終了化する前に, ディスクの終了化した部分の予約済みトラックのすべてを記録しなければならない。
予約済みトラックがプログラム領域の最初のトラックでなく, このトラックにデータが記録されていなければ, 予約済みトラックの開始時間とその前のトラックの停止時間との差は, 00:02:00でなければならない。
予約済みトラックが, 固定長のパケットにインクリメンタル記録されるとき, パケットサイズは, そのトラックのすべてのブロックが記録される方法(附属書の図B11.1を参照)で決定されなければならない。これは, トラックの開始時間及び停止時間が次の式に従わなければならないことを意味する。
停止時間 - 開始時間 = パケット数 * (パケットサイズ + 7) - 5
不完全トラックは, その中に一連のインクリメンタル記録されたデータパケットが記録されているデータトラックとする。不完全トラックの開始時間及び停止時間は, PMAに記録されない。不完全トラックの開始に際して, トラック記述ブロック(5.6.5.2を参照)を含むプレギャップ(5.6.5.1を参照)を記録しなければならない。
ディスク上には1個までの不完全トラックをもつことができる。不完全トラックのトラック番号は, 1に等しいか, PMAに記録された最終トラックのトラック番号に1を加えたものに等しい。不完全トラックは, 次のどれかの状態にあることが許容される。
PMAにおける中断なし記録動作は, 常に10の倍数のサブコードフレームで実行されなければならない。10フレームからなるこのユニティの中では, 連続するフレームは, サブコードQチャネルのZEROバイトに, 0(最初のフレーム)から9(最終のフレーム)にラベル付けされる。PMAの記録された部分では, このZEROバイトは, 0から9までのこの巡回カウントを連続的に繰返さなければならない。
サブコードフレーム中の情報である特別な内容は, 項目と呼ばれる。項目は, 五つの連続するサブコードフレームの中で5回繰返される。ユニティは10個のサブコードフレームから成るので, 項目のこれらの五つの連続する繰返しは, 0から4に又は5から9にラベル付けされる。奇数個の項目を記録しなければならないときは, 常に10の倍数のサブコードフレームにおいて記録されなければならないので, これらの項目の最終のものは, 通常の5回ではなく, 10回繰返される。この場合, 10回の連続する繰返しは, ZEROバイトに0から9にラベル付けされる。最初の項目は, PMAの開始時間に記録される。
サブコードQチャネルフレームの符号化を次に示す。表5.4及び表5.5を参照。
S0, S1 | 符号化規則は, JIS S 8605の17.3に従う。 |
CONTROL | bit 1(Copy Bit)を除き, 5.6.3のCONTROLを参照。 POINTが指定するトラックのすべての部分でCopy Bitが"1"であるときだけ, ADR=1(TOC項目)ならば, Copy Bitは"1"(著作権なし)。 備考 トラックの正確な著作権状態は, プログラム領域で 常にチェックされなければならない。 |
TNO | = 00 |
ZERO | = 0〜9 10個のサブコードフレームのユニティで連続するフレームをラベル付けするカウンタ。 最初のフレームは0にラベル付けされ, 最終のフレームは9にラベル付けされる。 |
ADR | ADRの値は, どんな情報が項目の中にあるか決定する。5.4.1を参照。 |
= 1 "目次情報"項目 記録されたトラックのトラック番号, 開始時間及び停止時間。 a) POINT = 01〜99: この記録済みトラックがトラック番号nをもつとき, POINTの値をnとする。 b) PMIN, PSEC, PFRAMEの値が, POINTによって指示される記録済みトラックの開始時間を示す。 c) MIN, SEC, FRAMEの値が, POINTによって指示される記録済みトラックの終了時間を示す。 | |
= 2 "ディスク識別"項目 この項目の使用はオプション。PMAに1回だけ記録してよい。各ディスクの識別に使用できる6桁の数字をこの項目に記録する。使用しないとき, ADR=2は存在しない。 a) MIN, SEC, FRAMEは, それぞれBCD符号化された2桁の数字を含む。6桁すべてがディスク識別となる。この6桁の数字は, ランダムに決定されなければならない。 b) PSECは, ディスクフォーマットを規定する。可能な値(16進)を次に示す。 00: CD-DAディスク又はCD-ROMディスク 10: CD-Iディスク 20: CD-ROM XAディスク 他のすべての値は予約されている。 c) POINT, PMIN, PFRAMEは予約され, zeroに設定される。 | |
= 3 "スキップトラック"項目 この項目の使用はオプション。これらの項目には, 再生中にスキップしなければならない6個までのトラック番号を記入できる。使用しないとき, ADR=3は存在しない。 a) POINT = 01〜21: これが, PMAに示されるJ番目のスキップトラック指示であるとき, POINTの値をJとする。 b) MIN, SEC, FRAME, PMIN, PSEC, PFRAMEは, ディスクの再生中にスキップしなければならないトラックのトラック番号をそれぞれ含むことができる。6トラックより少ない指定の場合, 残りのバイトはzeroに設定しなければならない。 | |
= 4 "非スキップトラック"項目 この項目の使用はオプション。これらの項目は, 以前に与えられた"スキップトラック"割当てを取消すために使用する。使用しないとき, ADR=4は存在しない。 a) POINT = 01〜21: これが, PMAに示されるK番目の非スキップトラック指示であるとき, POINTの値をKとする。 b) MIN, SEC, FRAME, PMIN, PSEC, PFRAMEは, "スキップトラック"項目において以前に示されるトラックのトラック番号をそれぞれ含むことができる。このトラックは, 今度は通常どおり再び再生できる。6トラックより少ない指定の場合, 残りのバイトはzeroに設定しなければならない。 | |
= 5 "スキップ時間間隔"項目 この項目の使用はオプション。これらの項目は, ディスクのプログラム領域中の時間間隔を再生中にスキップしなければならないことを示するために使用する。使用しないとき, ADR=5は存在しない。 a) POINT = 01〜40: これが, PMAに示されるM番目の"スキップ時間間隔"指示であるとき, POINTの値をMとする。 b) PMIN, PSEC, PFRAMEの値は, POINTによって指示される"スキップ時間間隔"番号Mの開始時間を与える。 c) MIN, SEC, FRAMEの値は, POINTによって指示される"スキップ時間間隔"番号Mの停止時間を与える。 | |
= 6 "非スキップ時間間隔"項目 この項目の使用はオプション。これらの項目は, 以前に与えられた"スキップ時間間隔"割当てを取消すために使用する。使用しないとき, ADR=6は存在しない。 a) POINT = 01〜40: これが, PMAに示されるN番目の"非スキップ時間間隔"指示であるとき, POINTの値をNとする。 b) MIN, SEC, FRAME, PMIN, PSEC, PFRAMEは, それぞれ"スキップ時間間隔"番号M(ADR=5を参照)として以前に示される時間間隔の番号Mを含む。この間隔は, 今度は通常どおり再び再生できる。6トラックより少ない指定の場合, 残りのバイトはzeroに設定しなければならない。 | |
= 7〜F 予約 |
備考1 どのレコーダも, PMAの完全なスキップ情報の結果としてスキップされなければならないすべての時間間隔及びトラックに適切に反応しなければならない。
備考2 ディスクが終了化したとき, スキップ情報をリードイン領域(5.5を参照)に記録しなければならない。リードイン領域に記録できる"スキップトラック"項目及び"スキップ時間間隔"項目の数は, 40個までの時間間隔及び21個までのトラックに制限される。
備考3 PMAの中で, スキップされるトラック及びスキップされないトラックの実際の結果は, 21を超えてはならない。
リードイン領域は, ディスクの情報及び記録済みトラックの情報を含む。 リードインでは, 情報はQチャネルに符号化されている。サブコードQモードが, Red Bookに従って使用される。
モード1は常に存在する。モード1のフォーマットはRed Bookに従い, 記録済みトラックの開始位置を含む。5.5.2のモード1を参照。
モード5は, ディスクが複セションディスクでなければ, オプションとする。11.を参照。 モード5の中で, 複セションディスクの識別が定義される。5.5.2のモード5を参照。オプションで, モード5は, ディスクの再生中にスキップされなければならない記録済みトラック又は記録済みトラックの部分(時間間隔)の情報を含む。
モード1及びモード5の両方が存在するとき, それらは交互に置かれていなければならず, 各サブコードブロックは3回繰返される。使用に際して, モード1及びモード5はそれぞれ, 10個の連続したサブコードブロックから少なくとも3個を使用する。
リードイン領域において, ATIP時間コードは, サブコードチャネルQのMIN, SEC, FRAMEに符号化された時間の値と同一とする。
リードイン領域の終了は, ATIP及びサブコードQの両方において, 99分, 59秒, 74フレームの時間コードで符号化される。
ディスクを終了化するとき, 目次情報(TOC: Table of Contents)がリードイン領域に書き込まれる。ディスクを終了化した後は, ディスク上に追加記録することはできない。目次情報は, ATIPに表示されるとおり(4.4を参照), リードイン領域の開始時間から始まる。
TOCでは, 項目は各3回繰返される。完全なTOCは, リードイン領域の中で連続的に繰返される。モード1及びモード5の両方が存在するとき, 各モードは別々に繰返されなければならない(表5.6を参照)。リードイン領域は, 絶対時間99:59:74で停止する。これは直径 50 +0.0/-0.4 mmに対応する。
S0, S1 | TNO | 00
| CONTROL
| bit 1(Copy Bit)を除き, 5.6.3のCONTROLを参照。 | POINTが指定するトラックのすべての部分でCopy Bitが"1"であるときだけ, ADR=1(TOC項目)ならば, Copy Bitは"1"(著作権なし)。 備考 トラックの正確な著作権状態は, プログラム領域で常にチェックされなければならない。 ADR = 1
| モード1 | MIN, SEC及びFRAMEは, ディスク上の絶対時間を表示する。それらは, ATIP時間と同一でなければならない。 ZEROは, 00とする。 POINT = 01〜99 PMIN, PSEC及びPFRAMEの値は, POINTによって指示される記録済みトラックの開始位置を与える。 POINT = A0 a) PMINは, プログラム領域の中の最初の記録済みトラック番号の値を与える。 b) PFRAMEは, 00とする。 c) PSECは, ディスクフォーマットを規定する。可能な値(16進)を次に示す。 00: CD-DA及びCD-ROM 10: CD-I 20: CD-ROM-XA POINT = A1 a) PMINは, プログラム領域の中の最後に記録されたトラックの番号の値を与える。 b) PSEC及びPFRAMEは, 00とする。 POINT = A2 PMIN, PSEC, PFRAMEは, リードアウト領域の開始位置を与える。 CRC: Control, ADR及びQデータ(MSB先頭)に関する16ビットCRC。ディスク上では, パリティビットは反転している。余りは, zeroで検査されなければならない。検査多項式は, 次のとおり。 P(X)=X16+X12+X5+1
ADR = 5
| モード5 | POINT = B0 このポインタは, POINT=C0と共に, 複セションディスクの識別に用いる。ディスクが複セションディスクでなければ, POINT=B0は存在しない。 a) MIN, SEC, FRAMEは, 複セションディスクの記録可能領域における次の可能なプログラム領域の開始時間を与える。 複セションディスクの最終セションがそのディスクの最終セションと指定されると, MIN, SEC, FRAMEは, FF, FF, FFの値(16進)を含む。POINT=B0は, ディスクの最終セションのリードイン領域において省略できる。 b) PMIN, PSEC, PFRAMEは, 複セションディスクの記録可能領域の最外周リードアウト領域の最大開始時間を与える。 c) ZEROは, モード5に存在する異なるポインタの数を与える。 POINT = B1 a) MIN, SEC, FRAME, ZERO, PFRAME = 00 b) PMINは, スキップ間隔ポインタ(POINT=01〜N)の数N(N≦40)を与える。 c) PSECは, POINT=B2〜B4におけるスキップトラックの割当ての数M(M≦21)を与える。 スキップ間隔ポインタもスキップトラックの割当ても使用しないときは, POINT=B1は存在しない。 POINT = B2〜B4 MIN, SEC, FRAME, ZERO, PFRAMEはそれぞれ, 再生中にスキップされなければならないトラック番号の値を与える。ブロック中の残りの未使用バイトは, 00で埋めなければならない。全く使用されなければ, POINT=B2〜B4は存在しない。 POINT = 01〜40 これらは, スキップ間隔ポインタであって, 再生中にスキップされなければならない記録済みディスクの間隔(時間間隔)を表示する。間隔は, 履歴順に記録しなければならない。使用したスキップ間隔ポインタの数Nは, POINT=B1において与えられる。スキップ間隔ポインタが使用されないとき(N=0), POINT=01〜40は存在しない。 a) PMIN, PSEC, PFRAMEの値は, 再生中にスキップされなければならないディスク上の間隔の開始時間を与える。 b) MIN, SEC, FRAMEは, a)に示される間隔の停止時間を与える。 c) ZERO=00は, 予約。 POINT = C0 このポインタは, POINT=B0と共に, 複セションディスクの識別に用いる。POINT=C0は, 複セションディスクの最初のリードイン領域だけに存在する。 a) MIN: このディスクの最適記録パワーのための値。この値は, リードイン領域の中でATIPに符号化された値からコピーされなければならない。(4.4の, "分"バイトにおいて, MSB組合せ101をもつ特別に符号化されたATIPフレームを参照。)
d) PMIN, PSEC, PFRAMEは, 複セションディスクの最初のリードイン領域の開始時間を与える。 CRC: CONTROL, ADR及びQデータ(MSB先頭)に関する16ビットCRC。ディスク上では, パリティビットは反転している。余りは, zeroで検査されなければならない。検査多項式は, 次のとおり。 P(X)=X16+X12+X5+1 備考 異なるスキップ間隔は, 互いにオーバラップしてはならない。スキップ間隔は, スキップトラック指示とオーバラップしてはならない。 |
リードイン領域がデータトラックとして符号化されているとき(Yellow BookのVI.3を参照), ヘッダアドレスと, 最小遅延符号化器を使ったCIRC/EFM符号化(Yellow Bookの33ページを参照)の前のサブコードQ相対時間とは同一でなければならない。
プログラム領域は, 記録済みトラック, 予約済みトラック又は不完全トラックから成る。トラック内の追加記録は, そのトラックの最終記録の直後に開始しなければならず, リンク付け規則(5.2を参照)を満たさなければならない。
プログラム領域の開始径は50 +0.0/-0.4 mmとし, 最外周の直径は116 mmとする。
プログラム領域において, ATIP時間コードは, サブコードQ絶対時間(AMIN, ASEC, AFRAME)と同一とする。
プログラム領域の最初のATIP及びサブコードQの時間コードは, zero(0分, 0秒, 0フレーム)とする。
ヘッダのアドレスと最小遅延符号化器を用いたCIRC/EFM符号化(Yellow Bookの33ページを参照)の前のサブコードQ絶対時間とは同一とする。
プログラム領域中のQチャネルのデータは, 5.6.3で特記する場合を除き, Red Bookに従う。
TNO, INDEX | トラック番号及びインデクス番号 | |
AMIN, ASEC, AFRAME | 未記録ディスクのATIPに従う絶対時間 | |
MIN, SEC, FRAME | トラック内の相対時間 | |
ZERO | bit 7〜0 = 00000000 | 予約 |
CONTROL | トラック内の情報種別の識別(ビット3は, 最初のビット及びMSB) | |
bit 3〜0 | 符号化識別。同一トラック内で符号化識別を変更できるのは, "プリエンファシスなしオーディオ"と"プリエンファシス付きオーディオ"との間だけ。 | |
= 00x0 | プリエンファシスなしの2オーディオチャネル | |
= 00x1 | プリエンファシス付きの2オーディオチャネル | |
= 01x0 | 中断なし記録されたデータトラック | |
= 01x1 | インクリメンタル記録されたデータトラック | |
= 10x0 | 予約 | |
= 10x1 | 予約 | |
= 11x0 | 予約 | |
= 11x1 | 予約 | |
bit 1 | このCopy Bitの3状態は, 連続1 , 連続 0, 又は交互 1/0。同一トラックの中で, Copy Bitの状態は変更できる。 | |
= 連続 0 | トラックは著作権保護される。 | |
= 連続 1 | トラックは著作権保護されず, コピーが許される。 | |
= 交番 1/0 | トラックは, コピーライト保護されたトラックの1次又はそれ以上の生成コピーとする。1と0との交番周波数は, 9.375Hz(デューティサイクル50%)であり, それは, 連続して4サブコードフレームが1で4フレームが0となることを意味する。この交番ビットは, "非限定使用の"(4.4を参照)ディスクに用いなければならない。 |
プログラム領域中の最初の2秒については, Pビット=1とする。ディスクの残りの部分では, Pビットはzeroに設定されるか, 又はRed Bookに規定されるとおり使用されなければならない。
チャネルR〜Wは, Red Bookに従う。それらは, 使用されないときは, zeroでなければならない。PMAにおいては, チャネルR〜Wは予約とし, zeroに設定される。
すべてのデータトラックは, プレギャップで開始しなければならない。中断なし書込みされたすべてのデータトラックは, 最小2秒のポストギャップを付けて終了することが望ましい。
プレギャップの使用は, 附属書B10に示す。
- JIS X 6281又はGreen Bookにおいてプレギャップの使用が規定されているとき, これらの規定に従った定義を使用しなければならない。このプレギャップの2番目の部分は, トラック記述子ブロック(5.6.5.2を参照)を含む。
- JIS X 6281又はGreen Bookにはプレギャップが全く規定されていないとき, 2秒(150ブロック)のプレギャップを記録しなければならない。このプレギャップは, トラック記述子ブロックを含む。
プレギャップは, 次のとおり特徴付けられる。
トラックがインクリメント記録されるとき, プレギャップ(の2番目の部分)は, 1パケットで構成されなければならず, 4番目のランインブロックで終了しなければならない。トラックの最初の利用者データブロックのヘッダアドレスは, トラックの開始時間でなければならない。
トラックがインクリメント記録されなければ, プレギャップ(の2番目の部分)及びそのトラックのすべての利用者データブロックは, 1パケットに記録されなければならない。これをトラックアトワンス記録と呼ぶ。
トラック記述子ブロックは, 利用者データフィールドの中に, 現トラックのトラック属性の情報を含む。これは, オプションとして, すべての先行トラックのトラック属性を含む。
トラック記述子ブロックの中の利用者データフィールドは, 次の二つの部分から成る。
最終トラック記述子ユニットの終了と, トラック記述子ブロックの利用者データフィールドの終了との間の未使用バイトは, zeroで埋められる。
5.6.5.3, 5.6.5.4については, 原規定 Recordable Compact Disc System, Part 2 CD-WO version 2.0 の対応する項目による。
ブロック同期の開始(最小遅延符号化器を用いて符号化する前, Yellow Book33ページを参照)は, (検出された)ATIP同期の後 -10 EFMフレーム及び +36 EFMフレームの中にある(図5.2を参照)。
リードアウト領域の記録済みEFMは, JIS S 8605に示される規定に従って符号化される。
リードアウトの最終の可能な開始時間は, ATIPに符号化される(4.4を参照)。 リードアウト領域は, 少なくても直径幅で1.0 mmとし, 1.5分の最小可能記録時間をもつ。
リードアウト領域では, ATIP時間コードは, サブコードQの絶対時間(AMIN, ASEC, AFRAME)と同一とする。
JIS S 8605の13.〜15.を参照。
オーディオトラック: JIS S 8605の16.を参照。
データトラック: Yellow Bookの27〜38ページを参照。
オーディオトラック: Red Bookの"CONTROL AND DISPLAY SYSTEM"を参照。
データトラック: Yellow Bookの"CONTROL AND DISPLAY SYSTEM"を参照。
Red Bookの1ページ及び1aページを参照。
Yellow Bookの1ページ, 1aページ及び100〜112ページを参照。
リードイン領域, プログラム領域及びリードアウト領域から成るディスク上の領域をセションと呼ぶ。 ディスクが一つより多くのセションを含むとき, このディスクを複セションディスクと呼ぶ。 複合形ディスクは, 最初のセションがスタンプ記録されたセションである複セションディスクとする。
データディスクだけが, 複セションディスクになることができる。データディスクのどのセションも, 少なくても一つのデータトラックを含まなければならない。
ディスク上のすべてのセションは, 同じディスクフォーマットで記録されなければならない。5.4.3のADR=2/PSEC及び5.5.2のADR=1/PSECを参照されたい。
セションのリードイン領域及びリードアウト領域が記録されると, セションは終了化する。 ディスクがレコーダから取り出されるときには, 最終セション以外のすべてのセションは終了化されなければならない。ディスクの最終記録済みセションは, "最終セション"として指定でき, この場合には追加セションの記録は禁止される(5.5.2を参照)。
複セションディスクのPCA及びPMAは, 両方とも5.3及び5.4の定義に従う。
ディスクがレコーダから取り出されるときには, PMAは, 不完全トラックの例外はあるが, そのディスクのすべてのセションの全トラックのデータを含まなければならない。
備考1 スタンプ記録されたセションの場合, このセションを反映したPMAの部分が, ディスク上にスタンプ記録又は記録されなければならない。
備考2 一つ以上のセションが終了化しても, PMAは, ディスクがレコーダから取り出される前に更新されなければならない。
ディスク上の最初のセションは, 通常, 既存のCDプレーヤで読み取れる。ディスク上の最初のセションのデータは, 11.3において他に特記がない限り, 5.に従って記録される。
最初のセションのリードイン領域のTOCは, 次の(可能な)セションへのサブコードチャネルQのポインタ(モード5及びPOINT=B0, 5.5.2を参照)を含む。 最初のセションのリードアウト領域の長さは, 01:30:00(分:秒:フレーム)でなければならない。
備考 単セションディスクの終了化については, 5.を参照されたい。
2番目以降のセションのリードイン領域のデータは, 11.4.1において他に特記がない限り, 5.5に従って記録される。
リードイン領域の長さは, 01:00:00(分:秒:フレーム)とする。 リードイン領域の中の(及び終了での)サブコードQチャネルの時間コードは, ATIP時間コードのコピーとする。 あるセションのリードイン領域に記録される目次情報は, このセションだけのデータを含む。
2番目以降のセションのプログラム領域のデータは, 11.4.2において他に特記がない限り, 5.6に従って記録される。
プログラム領域の開始時間は, その前のセションのリードイン領域においてモード5及びPOINT=B0を用いて符号化される。 セションの最初のトラック番号は, その前のセションの最終トラックより1だけ大きい値をもつ。 セションの最初のトラックは, 5.6.5.1で定義するとおり, 2s(150ブロック)のプレギャップで開始しなければならない。
2番目以降のセションのリードアウト領域のデータは, 11.4.3において他に特記がない限り, 5.7.2に従って記録される。
リードアウト領域の長さは, 00:30:00(分:秒:フレーム)とする。 サブコードチャネルQのモード5において, そのセションの最初の利用者データブロックのポインタが符号化される。
サブコードチャネルQの符号化は, 11.4.3.1において他に特記がない限り, JIS X 6281及びGreen Bookに従う。
モード5は, 複セションディスクの2番目以降のセションで使用しなければならない。モード1及びモード5は, 交互順に置かれなければならず, 各サブコードブロックは3回繰り返される。モード1及びモード5はそれぞれ, 10個の連続するサブコードブロックから少なくとも3個を占める。
ADR = 1 | モード1 符号化は, JIS X 6281及びGreen Bookに従う。 | ||||||||
ADR = 5 | モード5
|
複合形ディスクの記録可能な部分(図11.1を参照)は, 2.1の未記録ディスクに示される規定を満たさなければならない。
複合形ディスクのスタンプ記録された部分及び利用者記録された部分(図11.1を参照)は, 2.2の記録済みディスクに示される規定を満たさなければならない。しかし, Rtopの最大変化(±3%, Red Bookの4ページ及び附属書B2を参照)及びプッシュプルの最大変化(±15%, Red Bookの7ページを参照)の関しては, 利用者記録された部分とスタンプ記録された部分とを各々別々に満たすことが許される。