この解説は,標準仕様書(TS)本体及び附属書に規定・記載した事柄,並びにこれらに関連した事柄を説明するもので,標準仕様書(TS)の一部ではない。
多目的インターネットメール拡張(MIME)は,インターネット公式プロトコル規定STD11(RFC 822)で規定されるインターネットメールのフォーマットを拡張し,US-ASCIIテキスト以外のメールを利用可能にする。MIMEは,インターネットでの日本語の電子メールの送受信を可能とし,電子メールにファイルを添付することも可能にする。これらの機能は,現在のインターネットメールにはなくてはならない。インターネットメールだけでなく,ワールドワイドウェブにおけるコンテンツフォーマットの種類の指定にも使用され,ウェブサーバの運用及びウェブ利用者エージェントでのコンテンツ閲覧のためにも必要となる。したがって,MIMEは,電子メールの拡張フォーマットであると考えるより,もっと広範なインターネット上のコンテンツのメディア記述のための統一的な枠組みであると考える方が適切といえる。
MIMEの枠組みによって定義される内容型は数多くあり,例えば,TR X 0045 [ディレクトリ情報のためのMIME内容型(RFC 2425に一致)]及びTR X 0046 [vCard電子名刺のMIMEディレクトリプロファイル(RFC 2426に一致)]は, MIMEの枠組みによって定義される。JIS X 4156 [ハイパテキストマーク付け言語(HTML)]による文書には,text/htmlというMIME内容型及び下位型が割り当てられる。これらの事例が示すとおり, MIMEは,JIS,標準仕様書(TS)からも頻繁に参照される基本的な規定であり,標準仕様書(TS)として公表することが望まれていたため,MIMEの規定を技術的内容を変更することなく翻訳を行って,公表するものである。
MIMEは,RFC 2045, 2046, 2047, 2048及び2049の五つのRFCで規定されるが,この標準仕様書(TS)TS X 0107は,RFC 2049を技術的内容を変更することなく翻訳したものである。
財団法人日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)に設置された電子出版技術調査研究委員会は,2001年度から2003年度の活動として,MIME関連のRFCを翻訳し,標準情報(TR)及び標準仕様書(TS)の原案を作成した。RFC 2045に対応するTR X 0069は,日本工業標準調査会 標準部会の情報技術専門委員会の審議を経て,2002年11月に公表された。RFC 2046及び2047に対応する原案は,TR制度の改定に伴う編集上の修正を2003年度に行い,標準仕様書(TS)として,日本工業標準調査会 標準部会の第14回情報技術専門委員会(2003年12月開催)で公表を承認され,2004年4月にTS X 0070, TS X 0071として公表された。
2003年12月の時点ではRFC 2048及びRFC 2049の翻訳作業は終了していたもののTS原案としては提出されていなかった。第14回情報技術専門委員会で,第4部及び第5部についても第1部から第3部と同様にTSとして公表することが望まれるとの意見が出された。e-Book標準化調査研究委員会は,2004年度の活動として,電子出版技術調査研究委員会で作成した翻訳原稿を引き継ぎ,標準仕様書(TS)としての原案作成作業を行い,2005年2月に経済産業省に提出した。
RFC 2048に対応するTS X 0106及びこの標準仕様書(TR)すなわちRFC 2049に対応するTS X 0107は,工業標準化法に基づいて日本工業標準調査会 標準部会の情報技術専門委員会(2005年3月開催)で公表を承認された。TR X 0069は,編集上の修正を行って,TS X 0069として公表される。
訳語の選定に当っては,JIS X 0032 (電子メール用語)に訳語があって類似の意味で使われている場合には,その訳語を採用した。ただしここでは,JIS X 0032での定義と必ずしも同一の定義で用いられているわけではないことに注意。
この標準仕様書(TS)で使った主な訳語を解説表2.1に示す。MIME関連の一連の規定で共通に出現する語に付いては,TR X 0069の解説に示してあるので,あわせて参照してほしい。
原語 | 訳語 |
---|---|
conformant MIME implementation | MIME適合実装 |
MIME conformance | MIME適合性 |
MIME conformant user agent | MIME適合利用者エージェント |
non-MIME message | 非MIMEメッセージ |
non-MIME user agent | 非MIME利用者エージェント |
RFCの原規定は,必ずしもJIS又はTSの様式には整合していないため,編集上の修正が必要になる。TSの読者が原規定を参照する際の便を考慮すると,箇条はなるべく原規定のそれを保存することが望まれる。そこで,次に示すだけの修正を施して,TS原案とした。2.から8.及び附属書Aから附属書Cの箇条は,原規定のそれに一致している。
この標準仕様書(TS)の原案を作成した財団法人日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)の電子出版技術調査研究委員会及びその作業グループ(WG3)並びにe-Book標準化調査研究委員会及びその作業グループ(WG1)の構成表を,次に示す。
氏名 | 所属 | |
---|---|---|
(委員長) | 池田 克夫 | 大阪工業大学 |
(幹事) | 内山 光一 | 株式会社東芝 |
(幹事) | 大久保 彰徳 | 株式会社リコー |
(幹事) | 小町 祐史 | パナソニック コミュニケーションズ株式会社 |
(幹事) | 長村 玄 | ネクストソリューション株式会社 |
植村 八潮 | 東京電機大学出版局 | |
礪波 道夫 | 読売新聞社 | |
内藤 求 | 株式会社シナジー・インキュベート | |
中村 幹 | 株式会社印刷学会出版部 | |
平山 亮 | 金沢工業大学 | |
赤木 孝次 | 社団法人日本新聞協会 | |
矢ケ崎 敏明 | キヤノン株式会社 | |
堀坂 和秀 | 経済産業省産業技術環境局 | |
(事務局) | 内藤 昌幸 | 財団法人日本規格協会 |
氏名 | 所属 | |
---|---|---|
(主査) | 小町 祐史 | パナソニック コミュニケーションズ株式会社 |
(幹事) | 内山 光一 | 株式会社東芝 |
(幹事) | 平山 亮 | 金沢工業大学 |
今門 政記 | モスインスティテュート株式会社 | |
石野 恵一郎 | アンテナハウス株式会社 | |
大久保 彰徳 | 株式会社リコー | |
内藤 求 | 株式会社シナジー・インキュベート | |
長村 玄 | ネクストソリューション株式会社 | |
藤島 雅宏 | 有限会社イー・エイド | |
矢ケ崎 敏明 | キヤノン株式会社 | |
山田 篤 | 財団法人京都高度技術研究所 | |
(オブザーバ) | 浅利 千鶴 | 浅利会計事務所 |
(オブザーバ) | 赤木 孝次 | 社団法人日本新聞協会 |
(オブザーバ) | 堀坂 和秀 | 経済産業省産業技術環境局 |
(事務局) | 内藤 昌幸 | 財団法人日本規格協会 |
氏名 | 所属 | |
---|---|---|
(委員長) | 池田 克夫 | 大阪工業大学 |
小町 祐史 | パナソニックコミュニケーションズ株式会社 | |
大久保 彰徳 | 株式会社リコー | |
長村 玄 | ネクストソリューション株式会社 | |
内山 光一 | 東芝ソリューション株式会社 | |
植村 八潮 | 東京電機大学出版局 | |
礪波 道夫 | 読売新聞 | |
内藤 求 | 株式会社シナジー・インキュベート | |
中村 幹 | 株式会社印刷学会出版部 | |
平山 亮 | 金沢工業大学 | |
矢ケ崎 敏明 | キヤノン株式会社 | |
赤木 孝次 | 社団法人日本新聞協会 | |
堀坂 和秀 | 経済産業省産業技術環境局 | |
(事務局) | 内藤 昌幸 | 財団法人日本規格協会 |
(事務局) | 宮古 牧子 | 財団法人日本規格協会 |
氏名 | 所属 | |
---|---|---|
(主査) | 小町 祐史 | パナソニックコミュニケーションズ株式会社 |
内山 光一 | 東芝ソリューション株式会社 | |
平山 亮 | 金沢工業大学 | |
大久保 彰徳 | 株式会社リコー | |
石野 恵一郎 | アンテナハウス株式会社 | |
内藤 求 | 株式会社シナジー・インキュベート | |
長村 玄 | ネクストソリューション株式会社 | |
矢ケ崎 敏明 | キヤノン株式会社 | |
藤島 雅宏 | 株式会社イー・エイド | |
山田 篤 | 財団法人京都高度技術研究所 | |
赤木 孝次 | 社団法人日本新聞協会 | |
堀坂 和秀 | 経済産業省産業技術環境局 | |
(事務局) | 内藤 昌幸 | 財団法人日本規格協会 |
(事務局) | 宮古 牧子 | 財団法人日本規格協会 |