目次 | | 次

標準情報(TR) TR X 0005-1998 追補1(1998)

分散環境における構成部品モデル 解説



1. 公表の趣旨及び経緯

TR X 0005:1998"分散オブジェクト指向のプログラム言語及びその環境"は, Java言語規定(Java Language Specification)を与えると共に, その利用環境を明確にする。特にその3.6.1において, Java言語で実現したコンポーネントフレームワーク及びAPIであるJava Beansに言及し, コンポーネントをJavaで実装することが, Javaの利点であるプラットフォーム非依存性, セキュリティ, ネットワーク機能, GUI機能などを生かすことを示している。

しかし実際のJava Beansの内容については, 規定されていない。このTR X 0005:1998の不備を補って, 分散オブジェクト指向のプログラム言語及びその環境に関する標準情報(TR)としての利用価値を高めることが, TR X 0005の原案段階において既に関連業界から強く求められていた。

この要求に応えるため, (財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)のマルチメディア/ハイパメディア調査研究委員会は, その作業グループ(WG4)の1997年度の活動としてJava Beansの翻訳作業に着手し, 1997年度末にTR X 0005:1998の追補として原案作成を行い, その年次報告書に掲載した。

2. 審議中の主要検討課題

2.1 訳語

Java Beansの翻訳に際しては, 原則としてJava言語規定の翻訳に用いた訳語を採用している。ただし次の訳語については, Java Beansでの意味を考慮して, 別の訳語を用いている。

   原語       Java Beansでの訳語   Java言語規定での訳語
  component        部品                 構成要素

Java Beansの規定には, beanが普通名詞及び固有名詞として現れる。そこで普通名詞はビーンと片仮名で表記し, 固有名詞についてはbeanと表記して, 明示的に訳し分けを行っている。

原規定において現れる表記の揺れ,JavaBeans及びJava Beansについては, 翻訳に際してJava Beansに統一している。

3. 原規定との比較

原規定は,ISO又はJISの様式に基づいてなく,通常のJIS又は標準情報(TR)がもつ,適用範囲,引用規定,定義の箇条を含んでいない。これらの箇条を追加することによって,通常の標準情報(TR)の様式に近づけ, しかも箇条番号の原規格との不一致をなくすために,この標準情報(TR)追補では,これらの箇条をまとめて“0. 標準情報としての導入”とした。その中の“0.2 引用規定”として, 原規定の“related document”の記述を示す。

附属書 Dの訳語対照表は, 原規定にはない。この訳語対照表は, 原規定の用語との対応を明らかにすると共に,今後の関連規格等を作成する際の指針を与えるために,翻訳に用いた訳語を示す。

この標準情報(TR)追補は, Java Beans 1.01のPDF版を翻訳して, それにHTMLタグを付与してWebでの扱いを容易にしている。原規定がハイパリンクのないPDFで記述されているので, 目次からのリンク以外のハイパリンク追加は原則として行っていない。出版された標準情報(TR)追補は, その日本語Web版をHTMLブラウザによって印刷した出力である。

4. 懸案事項

この標準情報(TR)追補のWeb版は, 原案作成段階では原案作成委員会のWeb上に置かれ, それに対して原案作成委員によるレビュー及び修正が繰返された。その原案はSun Microsystems, Inc.によってもレビューいただくことになっており, 次に示すWebを同社に通知して, 頻繁に更新される原案に対する同社によるレビューを容易にした。

http://www.y-adagio.com/public/standards/tr_javabeans/jb10_idx.htm
このレビューは今後も継続され, 必要に応じてコメントに基づく内容修正を行う。

5. 原案作成委員会

この標準情報(TR)追補の原案を作成した(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター(INSTAC)のマルチメディア/ハイパメディア調査研究委員会及び作業グループ(WG4)の委員構成を, その順に次に示す。

マルチメディア/ハイパメディア調査研究委員会
氏名所属
(委員長)池田 克夫京都大学
(幹事)鯵坂 恒夫和歌山大学
(幹事)小町 祐史松下電送株式会社
(幹事)藤村 是明電子技術総合研究所
内山 光一株式会社東芝
久保田 靖夫大日本印刷株式会社
黒川 利明日本アイ・ビー・エム株式会社
斎藤 伸雄凸版印刷株式会社
澤田 位財団法人日本規格協会
滝川 啓NTTソフトウェア株式会社
田畑 孝一図書館情報大学
橋爪 邦隆通商産業省工業技術院標準部
長谷川 敬太日本電信電話株式会社
二本松 勝株式会社日立製作所
平山 亮ヒューレット・パッカード日本研究所
振角 秀行通商産業省機械情報産業局
古瀬 幸広国際大学グローバルコミュニケーションセンター
松本 充司早稲田大学
柳町 昭夫日本放送協会放送技術研究所
オブザーバ掘 純一郎日経BP社
(事務局)山中 正幸財団法人日本規格協会


作業グループ(WG4)
氏名所属
(主査)小町 祐史松下電送株式会社
(幹事)内山 光一株式会社東芝
上村 圭介国際大学グローバルコミュニケーションセンター
北野 敬介日本サン・マイクロシステムズ株式会社
黒川 利明日本アイ・ビー・エム株式会社
郡山 龍株式会社アプリックス
澤田 位財団法人日本規格協会
山東 滋株式会社日立製作所
田中 義之通商産業省機械情報産業局
仁保 信市株式会社東芝
乃木 篤株式会社CSK
湯原 孝志通商産業省工業技術院標準部
オブザーバ浅利 千鶴浅利会計事務所
オブザーバ滝川 啓NTTソフトウェア株式会社
オブザーバ古瀬 幸広立教大学
オブザーバ吉川 徹志通商産業省機械情報産業局
(事務局)山中 正幸財団法人日本規格協会


目次 | | 次