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9. SGML/XML応用

9.3 ODF/OOXML,(2) OOXML(オフィス開放形XMLファイルフォーマット)



ODFのISOでの追認に対抗するため,マイクロソフトはWord処理系に基づくXMLベースの交換フォーマットOOXML(Office Open XML)をECMAに提出してECMA規格とした後,ECMAからFast-track手続きを用いてISO/IEC JTC1に提出した. この規格原案はISO/IEC DIS 29500として配布され,2007年9月を期限とするDIS投票が行われた.日本は次の技術的理由で条件付き反対を表明した.

(a) ほとんどのXML検証器で,規格の一部であるW3C XML Schemaが動作しない.
(b) IETFの承認なしにpack URIスキームを利用している.
(c) パッケージ中のパート名としてASCII以外の文字が使えない.
(d) 利用できるスキーマ言語がW3C XML Schemaに限られている.

DIS投票の結果,Pメンバの賛成投票が53.2%であったため原案承認に至らず,膨大な投票コメントに対する対処を検討するため(各国のコメントに基づいてISO/IEC DIS 29500を改善するため)の投票結果対処会議(BRM)が2008年2月にジュネーブで開催された.

このBRMにおいて,日本から提出した主要コメントの中で,OOXMLとODFとの協調要請についてはスコープ外として審議されなかったが,他の主要コメントについては満足すべき対処が行われた.他国からの主要コメントについても積極的な対処が検討され,アクセシビリティの改善,過去との互換性のための機構を切り出すフレームワーク,マルチパート化などに大きな改善がなされた.

BRMの対処結果を考慮して,2008年3月を期限とする再投票が行われ,Pメンバの賛成投票75%を得て,ISO/IEC DIS 29500は承認された.この再投票に際して,日本は賛成を投じている.しかし反対投票を投じた国がこの結果に不満を感じ,特に4ヶ国は承認手続きに対して不服申立て(appeal)を行っている.

このような議論になると,もはや加速化手続きを使った意味はなくなる.ISO,IECの通常手続きを用いて国際規格を開発するよりも短期間に国際規格を開発できるというデファクトスタンダード標準化組織の活動に対する否定的な意見も出始めている.


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