CSSでは,パタン一致化規則は,どのスタイル規則が文書ツリーの要素に適用されるかを決定する。これらパタンは,選択子と呼ばれるが,単純な要素名から豊富な文脈パタンにまで範囲が及んでよい。ある要素に対してパタンの条件がすべて真となる場合,その選択子は,その要素と一致する。
選択子の文書言語要素名が大文字と小文字とを区別するかどうかは,文書言語に依存する。例えば,HTMLでは,要素名は大文字と小文字とを区別しないが,XMLでは大文字と小文字とを区別する。
次の表は,CSS2選択子の構文を要約している。
パタン | 意味 | 記述される節 |
---|---|---|
* | あらゆる要素と一致する。 | はん(汎)用選択子 |
E | あらゆるE要素(すなわち,型Eの要素)と一致する。 | 型選択子 |
E F | E要素の子孫となるあらゆるF要素と一致する。 | 子孫選択子 |
E > F | 要素Eの子となるあらゆるF要素と一致する。 | 子選択子 |
E:first-child | 要素Eが親の最初の子の場合に要素Eと一致する。 | :first-child 擬似クラス |
E:link E:visited | 要素Eがハイパリンクのソースアンカであって,そのハイパリンクのターゲットがまだ訪問されていない(:link)か又は既に訪問された(:visited)もlのである場合に,要素Eと一致する。 | リンク擬似クラス |
E:active E:hover E:focus | ある利用者の動作中に,Eと一致する。 | 動的擬似クラス |
E:lang(c) | 型Eの要素が(人間の使う)言語cで表されている(文書言語が言語を決定する方法を指定する)場合に,その要素と一致する。 | lang() 擬似クラス |
E + F | 要素Eが直前にあるあらゆるF要素と一致する。 | 隣接選択子 |
E[foo] | "foo"属性集合(値は問わない)をもつあらゆるE要素と一致する。 | 属性選択子 |
E[foo="warning"] | "foo"属性値が"warning"とちょうど等しくなるあらゆるE要素と一致する。 | 属性選択子 |
E[foo~="warning"] | "foo"属性値がスペースで区切った値のリストであって,それら値の一つが"warning"とちょうど等しいあらゆるE要素と一致する。 | 属性選択子 |
E[lang|="en"] | "lang"属性が左から"en"で始まる値のハイフンで区切ったリストをもつあらゆるE要素と一致する。 | 属性選択子 |
DIV.warning | HTMLだけ。DIV[class~="warning"]と同じ。 | クラス選択子 |
E#myid | IDが"myid"に等しいあらゆるE要素と一致する。 | ID 選択子 |
単純選択子とは,型選択子又ははん(汎)用選択子のいずれかの直後に,ゼロ個以上の属性選択子,ID 選択子又は擬似クラスが順不同で続くものとする。単純選択子は,その構成要素がすべて一致する場合に,一致する。
選択子とは,結合子で区切られた一つ以上の単純選択子の連鎖とする。結合子とは,空白,">"及び"+"とする。空白は,結合子とその周囲の単純選択子との間に現われてもよい。
選択子と一致する文書ツリーの要素を,選択子の主体 と呼ぶ。単一の単純選択子から構成される選択子は,その要件を満たすあらゆる要素に一致する。連鎖に単純選択子及び結合子を前付けすることによって,付加的な一致化制約が与えられ,それによって, 選択子の主体は,常に,最右の単純選択子に一致する要素の部分集合となる。
一つの擬似要素を,連鎖の最後の単純選択子に追加してもよい。その場合,スタイル情報は,各主体の下位部分に適用される。
いくつかの選択子が同じ宣言を共有する場合,それらを,コンマで区切られたリストにグループ化してもよい。
同一の宣言をもつ三つの規則を一つに圧縮する例を次に示す。
H1 { font-family: sans-serif } H2 { font-family: sans-serif } H3 { font-family: sans-serif }
この例は,次の例と同じである。
H1, H2, H3 { font-family: sans-serif }
CSSは,複数の宣言及び簡略記述特性を含む他の"簡略記述"機構も提供する。
"*"と書かれるはん(汎)用選択子は,あらゆる要素型の名前と一致する。はん(汎)用選択子は,文書ツリーにおけるあらゆる単一要素と一致する。
はん(汎)用選択子が単純選択子の唯一の構成要素ではない場合,"*"は省略してもよい。その例を次に示す。
*[LANG=fr]
と[LANG=fr]
とは同じとする。
*.warning
と.warning
とは同じとする。
*#myid
と#myid
とは同じとする。
型選択子は,文書言語要素型の名前と一致する。型選択子は,文書ツリーの要素型のあらゆるインスタンスに一致する。
次の規則は,文書ツリーのすべてのH1要素と一致する。
H1 { font-family: sans-serif }
文書作成者が,選択子を文書ツリーにおける他の要素の子孫である要素と一致させたいと考える場合もある。例えば,"H1要素が含むEM要素に一致させる"などである。子孫選択子は,パタンのそれらの関係を表現する。子孫選択子は,空白で区切られた二つ以上の選択子から構成される。形式"A B
"の子孫選択子は,要素B
がある先祖要素A
の任意の子孫である場合に,一致する。
例えば, 次の規則を考える。
H1 { color: red } EM { color: red }
これらの規則の意図は,色を変更することによってテキストを強調することにあるが,次のような場合には,その効果は失われる。
<H1>This headline is <EM>very</EM> important</H1>
H1の内部のどの場所にEMが出現する場合でも,常にテキスト色を青に設定する規則を先の規則に補足することによって,このような場合に対応する。
H1 { color: red } EM { color: red } H1 EM { color: blue }
3番目の規則は,次の素片のEMに一致する。
<H1>This <SPAN class="myclass">headline is <EM>very</EM> important</SPAN></H1>
DIV * P
この選択子は,DIV要素の孫,又はそれより後の子孫であるP要素と一致する。"*"のいずれの側にも空白がある点に注意すること。
次の規則における選択子は,子孫及び属性選択子を結合しているが,"href"属性集合をもち,DIV内部に存在するP内部に存在する,あらゆる要素と一致する。
DIV P *[href]
子選択子は,要素がある要素の子である場合に一致する。子要素Aは,">"で区切られる二つ以上の選択子から構成される。
次の規則は,BODYの子であるすべてのP要素のスタイルを設定する。
BODY > P { line-height: 1.3 }
次の例は,子孫選択子と子選択子とを結合している。
DIV OL>LI P
これは,LIの子孫であるP要素と一致している。たたし,このLI要素はOL要素の子であって,OL要素はDIVの子孫でなければならない。">"結合子の周囲のオプションである空白は,取り除かれている点に注意すること。
要素の最初の子の選択に関する情報については,以降の:first-child擬似クラスを参照のこと。
隣接兄弟選択子は,E1 + E2という構文をもつ。ここで,E2を選択子の主体とする。E1及びE2が文書ツリーにおいて同じ親を共有し,E1の直後にE2がくる場合に,この選択子は一致する。
文脈によっては,隣接ボックス間の上下方向のマージンをつぶすなど,隣接要素が,自動的に表示が処理されるフォーマット化オブジェクトを生成することもある。"+"選択子によって,文書作成者は,隣接要素に付加的なスタイルを指定できる。
次の規則は,P要素がMATH要素の直後にくる場合には,字下げしないほうがよいことを述べている。
MATH + P { text-indent: 0 }
次の例では,H1とその直後のH2を分離する上下方向のスペースを縮小している。
H1 + H2 { margin-top: -5mm }
次の規則は,前の例の規則と似ているが,属性選択子が追加されている点が異なる。そのために,(スペースを縮小するという)特別なフォーマット化が発生するのは,H1がclass="opener"をもつ場合に限られる。
H1.opener + H2 { margin-top: -5mm }
CSS2によって,文書作成者は,ソース文書で定義される属性と一致する規則を指定することができる。
属性選択子は,次の四つの方法で一致してよい。
[att]
[att=val]
[att˜=val]
[att|=val]
属性値は識別子又は文字列でなければならない。選択子の属性名及び属性値が 大文字及び小文字を区別するかどうかは,文書言語に依存する。
例えば, 次の属性選択子は, "title"属性を指定するすべてのH1要素 と一致する。その値は問わない。
H1[title] { color: blue; }
次の例では,選択子は "class"属性が正確に値 "example"を有する すべてのSPAN要素と一致する。
SPAN[class=example] { color: blue; }
複数の属性選択子は,要素のいくつかの属性を参照するために, 又は同じ属性が 何度現われるかを参照するために使用できる。
ここでは,選択子が, "hello" 属性が値"Cleveland"を正確に有し, "goodbye" 属性が値 "Columbus"を正確に有するSPAN要素すべてに一致する。:
SPAN[hello="Cleveland"][goodbye="Columbus"] { color: blue; }
次の選択子は, "="と "˜="との相違を記述する。例えば, 最初の選択子は"rel"属性に対する値 "copyright copyleft copyeditor" と一致する。2番目の選択子は "href"属性が値"http://www.w3.org/"を有する場合に 限り一致する。
A[rel˜="copyright"] A[href="http://www.w3.org/"]
次の規則は, "lang" 属性の値が"fr"である要素,即ち言語がフランス語である要素をすべて隠蔽する。
*[LANG=fr] { display : none }
次の規則は"en", "en-US", 及び "en-cockney"など, "en"で始まる"lang"属性の値に関して一致する。
*[LANG|="en"] { color : red }
同様に,次の聴覚スタイルシート規則により,スクリプトを各役割に応じて異なる 音声で読み上げることができる。
DIALOGUE[character=romeo] { voice-family: "Lawrence Olivier", charles, male } DIALOGUE[character=juliet] { voice-family: "Vivien Leigh", victoria, female }
一致化は,文書ツリーの属性値に関して生じる。HTML以外の文書言語に対しては,デフォルト属性値がDTD又はその他の場所で定義されてもよい。スタイルシートは,デフォルト値が文書ツリーに含まれていなくとも動作するように設計されていることが望ましい。
例えば,デフォルト値が"decimal"である属性"notation"を有する要素EXAMPLEを考慮 する。 DTD素片を次に示す。
<!ATTLIST EXAMPLE notation (decimal,octal) "decimal">
スタイルシートが次の規則を包含するとする。
EXAMPLE[notation=decimal] { /*... default property settings ...*/ } EXAMPLE[notation=octal] { /*... other settings...*/ }
上の場合で,この属性がデフォルトで設定されるケースを 理解し,明示的ではない場合は,次の規則が追加されるかもしれない。
EXAMPLE { /*... default property settings ...*/ }
この選択子が属性選択子ほど 固有ではないため,その使用はデフォルトの場合に限られる。 デフォルトと同じスタイルをとらない他のすべての属性値が明示的に保護される点に注意 すること。
HTMLで使用されるスタイルシートについては,"class"属性の一致化の 際に,文書作成者は "˜=" 表記法の代わりにドット(.)表記法を使用 してよい。従って,HTMLの場合, "DIV.value" 及び"DIV[class~=value]"の意味は同じである。 "."の直後に属性値を続けること。
例えば, class˜="pastoral"を有するすべての要素にスタイル情報を割り当てる ことができる。その例を次に示す。
*.pastoral { color: green } /* all elements with class~=pastoral */又は次でもよい。
.pastoral { color: green } /* all elements with class~=pastoral */
次は, class˜="pastoral"を有するH1要素だけにスタイルを割り当てる。
H1.pastoral { color: green } /* H1 elements with class~=pastoral */
次の規則により, 最初のH1インスタンスは緑のテキストにはならず,二番目の H1インスタンスが緑になる。
<H1>Not green</H1> <H1 class="pastoral">Very green</H1>
"class"値の部分集合と一致するため,各値の前に"."を配置しなければならない。ただ し, 順は問わない。
例えば,次の規則は,"class"属性が "pastoral" 及び "marine"を包含するスペースで区切られた値のリストに割り当てられたP要素 すべてに一致する。
P.pastoral.marine { color: green }
class="pastoral blue aqua marine"の場合にこの規則は一致するが, class="pastoral blue" の場合は一致しない。
備考 CSSは"class" 属性を非常に重視し, 文書作成者は,頭の中では,HTMLのDIV及びSPANなど表示にほとんど関連しな い要素に基づいて自身の"文書言語"を設計でき,"class"属性を通じてスタイル情報を 割り当てられるようになっている。文書言語の構造的要素は意味を認識し,容認すること が多いが,文書作成者定義のクラスはそうではないため,文書作成者はこれを実行することを回避 することが望ましい。
文書言語は型IDであると宣言される属性を包含してよい。型IDの属性を特別に するということは,そういった二つの属性が同じ値を有することができないという ことである。どのような文書言語であっても,ID属性は要素を一意に識別するため 使用できる。HTMLでは,ID属性はすべて"id"と命名される。XMLアプリケーション では,ID属性の命名は異なるが,同じ制限が適用される。
文書言語のID属性により,文書作成者は,文書ツリーのある要素インスタンスに識別子 を割り当てることができる。CSS ID選択子はその識別子に基づいて要素インスタンス を一致させる。CSS ID選択子は,直後にID値が続く"#"を包含する。
次のID選択子は,ID属性が 値"chapter1"を有するH1要素と一致する。
H1#chapter1 { text-align: center }
次の例では,スタイル規則はID値 "z98y"を有する要素と一致する。 従って,規則はP要素について一致する。
<HEAD> <TITLE>Match P</TITLE> <STYLE type="text/css"> *#z98y { letter-spacing: 0.3em } </STYLE> </HEAD> <BODY> <P id=z98y>Wide text</P> </BODY>
しかし,次の例では, スタイル規則は "z98y"というID値を有するH1要素にしか 一致しない。この例では,規則はP要素と一致しない。
<HEAD> <TITLE>Match H1 only</TITLE> <STYLE type="text/css"> H1#z98y { letter-spacing: 0.5em } </STYLE> </HEAD> <BODY> <P id=z98y>Wide text</P> </BODY>
ID選択子は属性選択子よりも優先順位が高い。例えば,HTMLでは, 選択子#p123は, 段階に関しては, [ID=p123]よりも固有である。
備考 XML 1.0 [XML10]では,
どの属性が
要素のIDを包含するかという情報は,DTDに包含される。XMLを構文解析する場合,
UAsは常にDTDを読取るわけではなく, そのため,要素のIDが何であるかはわからない。
スタイルシート設計者が,これは事例であるとわかっているか,又は疑っている場合,
代わりに標準的な属性選択子を使用することが望ましい。すなわち,
#p371
ではなく,[name=p371]
を使用するのである。しかし,
標準的な属性選択子の段階順は,ID選択子とは異なる。宣言に"!important"優先順位を付
加する必要がある。次はその例である。 [name=p371]
{color: red ! important}
。当然,
XML 1.0 文書の要素はDTDはなく,IDは全く存在しない。
CSS2では, スタイルは,通常,文書ツリーの位 置に基づいて要素に添付される。単純なモデルで十分であることが多いが, 文書ツリーの構造によっては,一般にシナリオを 公開できない場合もある。例えば,HTML4.0 ([HTML40]参照)では, 段落の最初の行を表す要素はないため, それを表す単純なCSS選択子もない。
CSSは擬似要素及び 擬似クラスの概念を導入し, 文書ツリーの外部に存在する情報に基づくフォーマット化を可能にしている。
擬似要素も擬似クラスも文書ソース又は文書ツリーには現われない。
擬似クラスは,擬似要素が選択子の 主体の後に現われる場合に限り,選択子のどの場所でも 現われることができる。
擬似要素及び擬似クラス名は,大文字と小文字とを区別しない。
相互に排他的な擬似クラスもあれば,同時に同じ要素に適用できる擬似クラスもある。 規則が競合する場合は,標準的な 段階順 が結果を決定する。
適合する利用者エージェントは 選択子の:first-line又は:first-letterに関する規則をすべて無視するか,又は,代わりにこれらの 擬似要素上の特性の部分集合をサポートしてよい。
:first-child 擬似クラスは, ある他の要素の最初の子である要素と一致する。
次の例では, 選択子はDIV要素の最初の子であるあらゆるP要素と一致する。 規則はDIVの最初の段落について,字下げをやめさせる。
DIV > P:first-child { text-indent: 0 }次の選択子は次の素片のDIV内部にあるPと一致する。
<P> The last P before the note. <DIV class="note"> <P> The first P inside the note. </DIV>しかし,次の素片の2番目のPとは一致しない。
<P> The last P before the note. <DIV class="note"> <H2>Note</H2> <P> The first P inside the note. </DIV>
次の規則は,最初の子であるP要素の子孫であるあらゆるEM要素について,フォント のウェイトを'太字'に設定している。
P:first-child EM { font-weight : bold }
匿名ボックスは 文書ツリーの一部ではないため,最初の子を算出する際にカウントされない点に 注意すること。
例えば, 次の規則のEMは,Pの最初の子である。
<P>abc <EM>default</EM>
次の二つの選択子は等しい。
* > A:first-child /* A is first child of any element */ A:first-child /* Same */
利用者エージェントは,一般に,以前に訪問されたリンクとは異なる未訪問リンクを 表示する。CSSは擬似クラス ':link' 及び':visited'を提供して,それらを区別する。
備考 かなりの時間が経過した後, 利用者エージェントは訪問リンクを未訪問の ':link' 状態に戻すことを選択してよい。
二つの状態は相互に排他的である。
文書言語は,どの要素がハイパリンクソースアンカであるかを決定する。例えば, HTML 4.0では, リンク擬似クラスは "href" 属性を有するA要素に適用される。従って. 次の二つのCSS2宣言には類似の効果 がある。
A:link { color: red } :link { color: red }
次のリンクが訪問されている場合を考える。
<A class="external" href="http://out.side/">external link</A>その場合,次の規則により,リンクは青になる。
A.external:visited { color: blue }
対話式の利用者エージェントは,利用者の動作に反応して,レンダリングを 変更する場合がある。CSSは,共通の事例について,三つの擬似クラスを提供する。
これらの擬似クラスは,相互に排他的ではない。要素は同時に複数の 擬似クラスを一致させる。
CSSは,どの要素が上位の状態にあるか,又は状態がどのように入力され,放置される かを定義しない。スクリプトは要素が利用者イベントに再動作するかどうかを変更し, 様々な装置及びUAが要素に位置指定したり,又は要素を活性化する方法は 数多く存在する。
利用者エージェントは,擬似クラス遷移により,現在表示されている文書を 再フローすることは要求されない。例えば,スタイルシートは,:activeリンクの 'font-size' が非活性リンクの'font-size' よりも大きいことが望ましいことを指定するが,読者がリンクを選択する場合, 文字の位置が変更されるため,UAは対応するスタイル規則を無視してもよい。
A:link { color: red } /* unvisited links */ A:visited { color: blue } /* visited links */ A:hover { color: yellow } /* user hovers */ A:active { color: lime } /* active links */
A:hover規則の'color' 特性を段階化規則が隠蔽する場合がある ため,A:hoverはA:link及びA:visited規則の後に配置されなければならない点に注意す ること。同様に,A;activeは,A:hoverの後に配置されるため,活性色(ライム色)は, 利用者がA要素を活性化する場合にも,その上に停止する場合にも適用されることになる。
動的な擬似クラスの組み合せ例を次に示す。
A:focus { background: yellow } A:focus:hover { background: white }
最後の選択子は,擬似クラス:focus及び擬似クラス:hoverにあるA要素と一致する。
フォーカス輪郭線のプレゼンテーションについては,動的なフォーカス輪郭線のセクションを参照のこと。
備考CSS1では, ':active'擬似クラスは,':link' 及び ':visited' と相互に排他的であった。それはもはや問題ではない。要素は':visited'及び':active' でも,又は':link'及び':active'でもよく,標準的な段階化規則はどの特性を適用する かを決定する。
文書言語が,要素の人が話す言語がどのように決定されるかを指定する 場合,その言語に基づき要素を一致するCSSの選択子を書込むことが可能である。 例えば,[HTML40]では, 言語は, "lang"属性,META要素及び/又はHTTPヘッダのようなプロトコルか らの情報の組み合せで決定される。 XMLは,XML:LANGと呼ばれる属性を使用し,言語決定には 他の文書言語固有の方法が存在する。
擬似クラス':lang(C)'は,要素が言語Cにある場合に,一致する。ここでのCは 言語符号であり, HTML 4.0 [HTML40] 及び RFC 1766 [RFC1766]で指定されている。それは '|=' operatorに対する方法と同じ方法で一致化される。
次の規則は,フランス語又はドイツ語のいずれかのHTML文書に,引用符を設定する。
HTML:lang(fr) { quotes: '« ' ' »' } HTML:lang(de) { quotes: '»' '«' '\2039' '\203A' } :lang(fr) > Q { quotes: '» ' ' «' } :lang(de) > Q { quotes: '«' '»' '\2039' '\203A' }
2番目のペアとなっている規則は,親の言語に従って,実際に,Q要素で 'quotes'特性を設定する。引用符の選択は,通常, 引用符そのものではなく,引用符の周囲の要素の言語に基づいているため, このようにするのである。上の場合は,英語のテキスト中に, “à l'improviste”というフランス語が入っており,英語の 引用符を使用している。
:first-line 擬似要素は特別なスタイルを段落のフォーマットされる最初の行に 適用する。その例を次に示す。
P:first-line { text-transform: uppercase }
上の規則は,"すべての段落の最初の行の文字を大文字に変換する"という意味である。 しかし,選択子"P:first-line"は実際のHTML要素のどれにも一致しない。 この選択子は, 適合する利用者エージェントが すべての段落の冒頭で挿入する擬似要素に一致する。
最初の行の長さは,ページの幅,フォントサイズなど,多くの要因に依存する点に 注意すること。従って,通常のHTML段落は次となる。
<P>This is a somewhat long HTML paragraph that will be broken into several lines. The first line will be identified by a fictional tag sequence. The other lines will be treated as ordinary lines in the paragraph.</P>上の例の行に改行を発生させると次となる。
THIS IS A SOMEWHAT LONG HTML PARAGRAPH THAT will be broken into several lines. The first line will be identified by a fictional tag sequence. The other lines will be treated as ordinary lines in the paragraph.これは,:first-lineに対する 虚構のタグ列 を 包含するため,利用者エージェントが"再度書込み"をしてもよい。 この虚構のタグ列により,特性がどのように継承されるかが示される。
<P><P:first-line> This is a somewhat long HTML paragraph that will </P:first-line> be broken into several lines. The first line will be identified by a fictional tag sequence. The other lines will be treated as ordinary lines in the paragraph.</P>
擬似要素が実要素を分割する場合,虚構のタグ列が望ましい効果を 記述できることが多い。虚構のタグ列は要素を閉じて,再度開く役割 を果たす。従って,前の段落をSPAN要素でマーク付けすると,次となる。
<P><SPAN class="test"> This is a somewhat long HTML paragraph that will be broken into several lines.</SPAN> The first line will be identified by a fictional tag sequence. The other lines will be treated as ordinary lines in the paragraph.</P>:first-lineに対する虚構のタグ列を挿入する場合に,利用者エージェントは, SPANに適切な開始タグ及び終了タグを生成することができる。
<P><P:first-line><SPAN class="test"> This is a somewhat long HTML paragraph that will </SPAN></P:first-line><SPAN class="test"> be broken into several lines.</SPAN> The first line will be identified by a fictional tag sequence. The other lines will be treated as ordinary lines in the paragraph.</P>
:first-line 擬似要素はブロックレベル要素だけに添付できる。
:first-line擬似要素は行内レベル要素に類似しているが, 一定の制限がある。 :first-line 擬似要素:に適用されるのは フォント特性, 色特性, 背景特性, 'word-spacing', 'letter-spacing', 'text-decoration', 'vertical-align', 'text-transform', 'line-height', 'text-shadow', 及び 'clear'に限られる。
:first-letter 擬似要素は,一般的な表示上の効果である "initial caps"及び "drop caps" に使用される。 'float'特性が'none'である場合,この種の 最初の文字は,行内レベル要素に類似する。そうでない場合は,浮動要素に類似する。
:first-letter擬似要素に適用される特性を次に列挙する。 フォント特性 , 色特性, 背景特性, 'text-decoration', 'vertical-align' (ただし,only if 'float' が 'none'の場合だけ), 'text-transform', 'line-height', マージン特性 埋込み特性, 境界特性, 'float', 'text-shadow', 及び 'clear'。
次のCSS2は二行にまたがって最初の文字をドロップキャップにしている。
<!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.0//EN"> <HTML> <HEAD> <TITLE>Drop cap initial letter</TITLE> <STYLE type="text/css"> P { font-size: 12pt; line-height: 12pt } P:first-letter { font-size: 200%; font-style: italic; font-weight: bold; float: left } SPAN { text-transform: uppercase } </STYLE> </HEAD> <BODY> <P><SPAN>The first</SPAN> few words of an article in The Economist.</P> </BODY> </HTML>
この例をフォーマットしたものを次に示す。
虚構のタグ列を次に示す。
<P> <SPAN> <P:first-letter> T </P:first-letter>he first </SPAN> few words of an article in the Economist. </P>
:first-letter 擬似要素タグは内容,即ち,最初の文字に隣接しているが, :first- line 擬似要素開始タグは 添付される要素の開始タグの直後に挿入される点に注意すること。
伝統的なドロップキャップフォーマット化を実現するために,利用者エージェントは フォントサイズを,下線寄りに近づけてもよい。同様に,フォーマット化の際, グリフ輪郭線を考慮してもよい。
最初の文字に優先する句読点 (Unicode [UNICODE]で定義 される,"open" (Ps), "close" (Pe), 及び "other" (Po) 句読点クラスの文字)が含むことが望ましいが,その例を次に示す。
:first-letter 擬似要素が一致するのは, ブロックレベル要素の一部に限られる。
ある文字連結の処理方法について,固有の規則をもつ言語もある。例えば,オランダ語で は,"ij"という文字の連結が単語の冒頭に現われる場合,両文字とも :first-letter 擬似 要素内部にあると考えるほうがよい。
次の例は,擬似要素が重なるとどのように対話する かを示している。各P要素の最初の文字は緑であり,フォントサイズが'24pt'である。 最初のフォーマットされた行の残りは'blue'であり,段落の残りは'red'である。
P { color: red; font-size: 12pt } P:first-letter { color: green; font-size: 200% } P:first-line { color: blue } <P>Some text that ends up on two lines</P>
行区切りが"ends"という単語の前で発生すると仮定すると,この素片に対する虚構のタグ列 は次となる。
<P> <P:first-line> <P:first-letter> S </P:first-letter>ome text that </P:first-line> ends up on two lines </P>
:first-letter 要素が :first-line要素の内部にある点に注意すること。 :first-lineで設定される特性は :first-letterによって継承されるが,同じ特性が :first-letterで設定される場合は,上書きされる。
':before'及び ':after' 擬似要素は,生成される内容を要素の内容の前後に挿入する ために使用できる。それらは生成テキストで説明されてい る。
H1:before {content: counter(chapno, upper-roman) ". "}
:first-letter擬似要素及び :first-line擬似要素と :before及び :afterとを組み 合わせたものは,挿入テキストを包含する要素の最初の文字又は行に適用される。
P.special:before {content: "Special! "} P.special:first-letter {color: #ffd800}
これにより"Special!"の"S"が金色でレンダリングされることになる。